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    さとこ様(_SATOKOOO)主催の
    #Hzbn夢ワンライ・ワンドロ一発勝負
    に参加したときのものです。

    👁夢
    お題:クリスマス

    #hzbn夢
    #Hzbn夢ワンライ・ワンドロ一発勝負

    お題:クリスマス 薄暗い中、息を潜める。
     目を凝らし、天井の裏から明るい部屋をのぞいた。
     ――ー今いるのは、ハズビンホテル。
     王様の娘が経営しているというからには、貴重なものもあるだろう。
     今日はクリスマスだ。もしかしたらプレゼントの中にお宝があるかもしれない。
     そんな淡い期待をしながら、黒い衣装に身をつつみ、泥棒としてハズビンホテルの天井裏に潜んでいた。
    「にしても思ったよりぼろいな…」
     
     ふと呟く。
     期待とは裏腹に、ホテルはおんぼろだ。これでは収穫もありそうにない。
     それに、共同経営者のラジオデーモンも、そろそろ自分の存在に気づいていそうだ。
     早く帰ろう。
    「ひっ」
     
     来た道を戻ろうとしたとき、黒い虫が、身体のうえを這っているのがみえた。
     虫は苦手だ。
     身体を硬直させていると、突然現れた針に刺されそうになった。
     
    「あはは! …あれ? 虫じゃない!」
     
     針を持っていたのは、一つ目の赤髪の小柄な女性だった。
     どうやら、ホテルの住民のようだ。CMで見たような気もする。
     
    「ねえ、誰? 何してるの?」
     
     ぎょろりとした赤い目がこちらを見つめる。
     
    「えっ、あ…」
    「あ! わかった! サンタさんだ! プレゼントちょうだい!」
     
     女性は、ぼろぼろの靴下をこちらに差し出してきた。
     
    「あ~、そう! そう、実はサンタなんだ。」
    「やっぱりそうだ! 私、ニフティ! みんなに紹介するからこっち来て!」
     どうにかごまかせたようだ。
     ほっとしたのも束の間、靴下をしまったニフティに手をひかれる。
     思ったよりも力が強く、ふりほどくこともできない。
     
    「プレゼントね、私悪い子がいいな!」
     
     そう言うニフティの笑顔はひどく邪悪だった。
     悪い子、というのは何かの隠語だろうか。
     
     ニフティに手をひかれながらどこかに連れていかれる道中、「どうしてサンタなのに黒いの?」「どこから来たの?」といったニフティの質問攻めに遭いながらも、天井裏から見ていた部屋に着いた。
     
     
     
     幸いなことに人はいなかった。
     部屋には、大きなクリスマスツリーがあり、その下にはたくさんのプレゼントが並んでいる。包装こそされているものの、明らかにアダルトグッズのようなものがあったり、安酒があったり、とやはり自分が期待していたような高級品はなさそうだ。
     
    「今日はプレゼントを交換するの! 私はこれ!」
     
     また邪悪そうだが、笑みを浮かべているニフティが取り出したのは、虫を紐で貫いたブレスレットだった。どうやらお手製のようで、紐のところどころにほつれがある。
     
    「サンタさんにもあげるね!」
     
     ひえ、と情けない声を出しそうになりながら、ブレスレットを受け取った。
     ブレスレットを渡したニフティは、こちらに期待の眼差しを向けている。自分へのプレゼントはないのか、と再度言っているのが分かる。
     
    「あ、じゃあ、これ…」
     
     ひとまず、その場をやりすごそうと、小さなぬいぐるみを渡した。
     違う家で宝石を盗んだ時に、宝石を隠してあったものだ。なんとなく気に入って、盗品を隠すのにも使えるので、たまに持ち歩いていた。
     
    「ありがとう!」
     
     ぬいぐるみを抱きしめるニフティの笑顔は、今までの邪悪なものとはうってかわって、かわいらしいものだった。少しだけ心が綻んだ。
     
    「あ、じゃあ…そろそろ…」
     今だ、と思い、別れを切り出すと、あっさり玄関まで案内してくれた。
     
    「またね! サンタさんみたいな悪い子!」
     
     手をぶんぶんとこちらに振るニフティに、ぎょっとしながら帰路に着いた。
     
    「しばらく、 泥棒悪い子 はやめておこうかな…」
     
     ――ー
     
    「ニフティ。機嫌が良さそうですね。」
    「サンタさんにお願いしてたんだけど、悪い子がきたの! すごくうれしかった!」
     
     ほら、とニフティが差し出したぬいぐるみには、虫のネックレスが掛けられていた。
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