高校時代は、碁盤の目の如く張り巡らされた京都の街並みみたいに完璧だと思っていた男が、実はそうでもないと知ったのは一緒に暮らし始めてからのことだった。
互いに進学を決めて、頭の出来の差ゆえに別れた筈の道が重なったのは、お互い高校を卒業するまでの住まいから通うには少しばかり遠く、互いに進む大学が駅ふたつしか離れていなかったことにある。
沿線に大学が多いこともあり、学生向けのひとり暮らしのワンルームやルームシェア物件が豊富だ。
進学先が決まってから、ちょくちょくスマホから物件を見たりしていた。古泉も今のマンションからは引っ越すと言っていて、どういう間取りが良いとか駅からどれくらいまでなら許容範囲かなんてことを話す。ボードゲーム……確か、バトルラインで四敗していた古泉が穏やかな笑みを浮かべて嘯いた。
1218