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    ささみ

    @un_pfunco

    出戻り組、アークザラッド1.2が主に大好き。
    アーク推しです。BL(アーク右)

    Xでの過去作品を並べています。
    今回は一部エルアーの作品があります。(マンガとss未満)

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    ささみ

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    エルアーです。

    イラストでリクエストをいただいた続きに思いついたssです。
    誤字脱字がありましたら、心の目で補完してください(

    雨の日の話。「あ、しまった。」

    ちょっとは休め、とシルバーノアから追い出されたアークは
    特に用事もないが近くの街におりてみた。

    賑やかとはいかないが、それなりに人の営みが感じられるいい街だ。
    子供の笑い声や、行商人が呼び込みをしていたり。
    そんな人々の生活を少し離れた路地からのんびりと眺めていたのだが。

    雨に降られてしまった。
    少しぐらいなら止むのを待つか…と薄暗い空を眺めていたが
    雨脚は強くなり、雲も厚く覆われてきた。

    広場の人々も散り散りになり、街は雨の音だけが聞こえるだけだった。
    そして冒頭のセリフに戻る。

    本降りになってきてしまい、軒下にひっそりと身を寄せる。
    結構濡れてしまったようで、髪の毛からぽたりと水滴が垂れてくる。
    頬を伝う雫がくすぐったくて手で払い、べたっと張り付いた服が気持ち悪くて
    指でつまんで少しでも水をはじくようにしたが、効果は薄い。

    すぐ戻るつもりだったのもあり、自身の行き先を誰にも伝えていなかった。

    ざぁざぁと響く雨音に耳を傾ける。
    仲間が増えてから、あちらこちらに駆け巡る日々。
    こんな風に一人になるのはいつぶりなのだろうか。
    逃げ隠れてた時よりの孤独とは違う、一人の時間。
    きっと仲間に言えば、ゆっくりしておいでとにこやかにそういう時間を与えてくれるだろうが
    義務感なのか、真面目さ故なのか、そんな風にアークが望むことはなかった。

    (こんな事ならシルバーノアの近くにいれば良かったな)

    そうすれば雨が降れば部屋で次の航路を考えたりできたのに。
    本を読んでおけば少しはまた作戦のヒントにもなっただろうに。
    ふぅっと一人ため息をついていると。

    「おい」

    聞きなれた声が上から降ってくる。
    ちらりと見上げればそこには、ツンツン頭の少年が少々不満げな顔して立っていた。

    「あぁ、エルク?」
    「俺以外の何に見えるんだ」

    声にも表情にも出さなかったが、アークは少し驚いた。
    エルクが傘を持って自分を迎えに来てくれた事。
    しかも、誰にも言ってなかった行き先、まして少し大通りから外れた路地にいた自分を
    見つけるとは。
    これもハンターのなせる技なのかな?なんて的外れな事を考えていた。

    「せめてどこに行くか言えよ」
    「あぁ、すまない…でもよくわかったな?」
    「たまたま窓からこの街の方面に行くのが見えたんだよ。んで、その方向に雨雲があったから」

    その、と声が小さくなった。
    やっぱりハンターとしての能力が高い子なんだと、アークは違うところに関心をしていた。

    「ありがとう、さすがハンターだな」
    「はぁ?嫌味か?」
    「どこがだよ」

    能力の高さを単純に褒めただけなのに…とアークは少し納得がいかなかった。

    「おら、帰るぞ」
    「入れてくれるのか?それは助かる」

    傘を差しだされて、少し屈みながらエルクと一緒の傘に入る。
    傘を持とうか?とアークは提案したが、エルクはなぜかうるせぇと言ったまま歩き始めた。

    「あぁ、あそこの商店に傘が売ってるな。買ってこようか?」

    アークとしては、男二人で入るには小さい傘でエルクの肩が濡れてしまう事が気になったので
    それも提案してみたが、無駄遣いすんなと一蹴されてしまった。

    (君が無駄遣いをするななんて…)

    きっと言葉にしてしまえば、またエルクの機嫌を損ねてしまうかも…と思い口にはしなかった。
    シルバーノアまでの帰り道、特に会話もなく無言だったが
    エルクと歩く時間が不思議と心地のいいものだった。

    「濡れてんだからさっさと着替えろよ」

    ようやく目的地に着き、ふんっと鼻を鳴らし傘の水滴を払ってエルクは自分のマントを脱ぎ
    さっさと部屋に戻っていってしまった。

    「君も濡れてるんだからシャワーを…」
    ふっと曲がり角でエルクの姿が見えなくなってしまい、最後までは言えなかった。

    (あれ?)
    ふと、アークはエルクの顔が赤かった事に気が付いた。
    まさか風邪でも引いたのか?あとで様子を見に行こうか…と心の中で考えていたが
    頭の隅の方でどの精霊かがささやいた。
    『お前は鈍感な子だね』
    なんだか悪口を言われてしまったようで、なんだよ…とアークも濡れた服を脱ぎながら
    自室へ戻る事にした。

    その日の晩にポコと今日あった事を話していたら、ポコにまで「鈍感だなぁ」と笑われてしまった。


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