ラギレオ未満「レオナさーん!いつものヤツ、借りるっすねえ」
ごろごろ、いつも通りベッドに寝転がっているレオナに声をかければゆらり、尻尾をしならせて返事が返ってきた。声で返事がされないのはいつものことで、一度だけ悪戯心と好奇心で「うん」とか「すん」とか言ったらどうだと盾を突けば真顔で「すん」と返ってきて以来、尻尾で返されても何も言わないことにした。はなから煩く言うつもりもなかったが、レオナの「すん」が余りにツボでしばらくは床をのたうち回ったものだ。
寮長室は立派なもので、でかいベッドだけでなく勉強机や椅子もどことなく豪華(な気がする)。ほら、椅子もこんなにふわふわ(当社比)でお尻も尻尾も痛くならないとラギーが喜んでから、好きに使えと使用許可を得ているので遠慮なく寮長室のものを使わせて貰っている。椅子を引いて座ればだいぶ使い込まれた魔法書の目次を開くと、レオナの匂い、ちょっとだけカビっぽい埃、そしてほんの僅かに知らない花っぽい匂いが優れた鼻腔を擽った。
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