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    higuyogu

    @higuyogu

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    higuyogu

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    リマ1ギルド。会話のみ五層突破まで。
    BLあり。とっても自由な設定。

    世界樹リマ1 会話のみその1リマ1 ssその1
    ハ…ハウンド、金パラ♂。18歳
    めっちゃ背が高い。真面目な新米リーダー。

    ア…アリソ、赤ソド♀。16歳
    ハウンドの妹。天真爛漫でやや注意力に欠ける。

    リュ…リュウ、白黒メディ。23歳
    初恋の人と恋人になるために、はるばるエトリアに来た。

    タテ…タテワク、桃バード。自称18歳
    頑張っても13歳くらいにしか見えない、ひんそ小柄な子。実年齢は16歳。

    タ…タカラ、新アル。37歳
    ハウアリ兄妹が生まれた時から見守ってきた、お目付け役。年齢よりも見た目が若い。


    ホ…ホカケ
    タカラの兄。かつて冒険者として活動していたアルケミスト。今でもそれなりの頻度で樹海に潜らされている。樹海探索はもう完全引退したいと思っている。



    ○その1
    ハウンド「無事にメンバーとなってくれる方々が集まったことを喜ばしく思っている。まずは自己紹介をしよう。互いのことを知って良い関係を築きたい」
    リュウ「話し方固いなお前。緊張してる?」
    ハ「落ち着いている。俺はハウンド。父親から出された課題のために5層を目指す。よろしく」

    リュ「えーと、じゃあ俺はリュウです。衛生兵目指してます」
    アリソ「アリソです。ソードマンで登録しました。私も兄ちゃんと同じ理由で5層目指します。よろしくお願いします」
    リュ「え、兄妹なの?」
    ア「はい」
    ハ「そうだな」
    タカラ「タカラです。アルケミストです。そこの兄妹のお目付け役です」
    リュ「お姉さんもですか…身内率高い。自己紹介の最初に自分から言って、そういうのは」
    ハ「彼女達は言っていただろ」
    リュ「てめえに言ってんだ」

    ハ「そういうお前は、リュウとか言ったか。初恋の人を追いかけてこの街に来たんじゃなかったか?ナンパな奴だ」
    リュ「その初恋の人が君の本家のギルドに所属してるって聞いたからこのギルドを選びました!」
    ハ「なら親父のギルドに入ればよかっただろ」

    リュ「人には成長が必要だから。俺はまだひよっこ。ホカケさんを養うにはなんかもういろいろすごいことにならないとねー」
    ア「ホカケさんが初恋の人なの?でも確かにカッコいいもんね」
    ハ「ホカケさんの妹がタカラさんだぞ」
    リュ「え!あの、めっちゃ頑張ります」
    ハ「なんか不安になる奴だな」

    リュ「ところでそこの半裸の子は?」
    ハ「確かバードの…タテワクとかいったよな?」
    タテ「うん。わたし歌と踊るのが得意なの。みんなを元気付けるよ」
    ハ「お前は不気味だな。でもそういう奴ほど案外しぶといもんだ。よろしく頼む」
    リュ「この兄ちゃん大丈夫?態度強くない?」
    ア「ちょっとね…」

    ハ「というわけで、このメンバーを1人として欠くことなく深部まで辿り着きたい。皆、これからよろしく」
    リュ「よろしく〜」
    ハ「さっそく一階に行くぞ!ペンは持ったな?」
    リュ「あ、もう行くんだ。道具はそろってんの?」
    ア「えっと…まだ糸も買ってないみたい」
    リュ「おい待て!戻ってこーい!」


    ○その2
    ハ「ホカケさんにはもう会ったのか」
    リュ「かっこよかった。金髪最高」
    ハ「俺も金髪だが」
    リュ「憂いを帯びた青い瞳が素敵だった」
    ハ「俺も目は青い」
    リュ「あと背がめっちゃ高い」
    ハ「俺より少し低いくらいだったか?確かに背は高い方だ」
    リュ「お前黙れないの?」
    ハ「褒め方が雑だと思った」

    ハ「ギルドハウスは好きに使ってくれていいらしい。まあ宿は取っているが」
    リュ「うーん、ホカケさんっぽい匂い。ここにホカケさん座ってなかった?」
    ハ「ああ、昨晩親父に会いにきていたらしい。キモいなお前」
    リュ「なるほどね〜。じゃあこれはホカケさんの毛かな」
    ハ「俺と親父も金髪だぞ」

    リュ「でもこの椅子が匂いが濃い。この辺に落ちてる毛ならホカケさんのものだと言っていいのでは」
    ハ「今朝その席に座った」
    リュ「テメェ、なにホカケさんの椅子に座ってんだよ」
    ハ「たまたまそこで朝飯を食った」
    リュ「ハァ、萎え。でも一応取っておこ。あとで調べる」
    ハ「キモいなお前」


    ◆第一層

    ハ「この迷宮内で起きるイベントは全て親から聞いた話を実際の場に立って想像しているものだ。だから俺たちは二人組の女性には出会わない」
    リュ「その説明いらない」
    ハ「しかし地図を書く課題は全ての冒険者に等しく出される。地図を作らねば先には進めない」
    リュ「描けた?」
    ハ「操作が難しい」


    ハ「お前がもう少し剣の扱いが上手ければあの鹿も退けられたのにな」
    ア「うっさいな。なら兄ちゃんが全部の攻撃弾いてよ。その間に弱らせる」
    ハ「長期戦になったらこっちの方が体力ないんだから不利だろ。少しは考えろ」
    ア「先にバカなこと言ったのはそっちでしょ!」
    ハ「成長しろって話だったろ」

    リュ「なんであのヤバそうな動物を前にして喧嘩できんだろアイツら」
    タテ「タテワクわかんない」
    リュ「だよな。タカラさんからはなんか言わないんですか」
    タ「あとで痛い目見ると思うから、それまで好きにさせます」
    リュ「ねえ〜、タカラさん怒ってるよ。2人ともやめろって」


    タテ「ねえアンタ。なんでわたしと寝ないの」
    リュ「だってハウンドと寝てるし。お前も男2人と寝んのやじゃない?」
    テ「楽勝」
    リュ「その自信怖いな。多分ギルドハウスならただで寝泊まりできんぞ」
    テ「それで?」
    リュ「いやそこで寝ろよ」
    テ「わたしに1人で寝ろって言うの⁈」
    リュ「アリソー、こいつ預かって」 


    ア「リュさんは鳥捌けるんですね」
    リュ「うん。母親に教え込まれた」
    ア「お母さんはレンジャーだったんですか?」
    リュ「いや?本人は専業主婦だって言ってたけど。でもとう…バードだったって話も聞いたな」
    ア「確かに、私のお母さんも剣と盾を使うけど鹿とか捌いてる」
    リュ「鹿を捌くのか…」

    別の日
    リュ「なんか、ここで食べる虫料理の方が美味い」
    ハ「お前は都会育ちだと思っていたが、虫も食ってたのか」
    リュ「母さんが好きでさ、よく捕まえてたな。俺はあんま好きじゃなかったけど」
    ハ「不味かったからか?」
    リュ「いや、あれでも上達したって親父は言ってた…」
    ハ「不味かったのか」


    リュ「でっかいカマキリ。あれに殺されたらカマキリのこと嫌いになりそう」
    ア「でも食べではありそうです」
    ハ「冗談はさておき、このルートで素通りできるぞ」

    リュ「おおさすが」
    ハ「先輩達の話のおかげだ。しかしこの部屋にも何かいる」
    リュ「この部屋も先輩のアドバイスで難なく突破だな?」
    ア「フリってやつですね!」
    リュ「絶対に違うからな」

    リュ「なんかこうも避け続けられると、すごくチートに頼ってるかんじ。先輩チート」
    ハ「使えるものは使う。例えばこんな迷宮内の落とし物とかもな」
    リュ「ふーん。たくまs」
    タテ「ギャアアア!シカ!シカア!」
    リュ、ア「……」
    ハ「これは罠だったか。ひいふう、お、500エン。糸を使用しても400エンは儲けてるぞ」


    リュ「前階は酷かった。さてこの階は?」
    ハ「いっぱい何かいるな」
    リュ「滅入る」
    ア「でも慎重に進めば当たらないはずです」
    タテ「ヤダ、追いかけてくるじゃない!」
    ハ「徘徊しているだけの可能性もあるし、追われていたとしても同じ速さで離れれば追い付かれん」
    リュ「それ時速100kmでも言える?」
    ハ「屁理屈を言うな」
    タテ「ギャァ!前からぁ!」
    ハ「挟み込まれたか。ううむ。猛進逃走」


    タテ「ねえ扉。入るでしょ」
    ハ「今まさに行き止まりに追い詰められているしな。ちょうど良かった。向こうの部屋でやり過ごそう」

    入室
    タテ「って、この部屋狭いんだけど!一歩も動けない!キャア!ちょっとどこ触ってんの!」
    ハ「この部屋に置かれている箱だが」
    タテ「じゃあわたしに触ってるのは、ギャァ!エダ!」
    リュ「ただの枝じゃん。この子うっせえな」


    タテ「服!破けた!だから動物って嫌いなの!」
    ハ「そんな薄い服を着ていればそうなる。なんだか探索が全く進まん」
    リュ「まあ今まで地図が真っ白だったし、相手の動きも見えなかったもんな。でも道が分かった今なら次の階まですぐだろ。このルートで行けば…」
    ハ「正面突破する」
    リュ「え?い、挑みに行くのか⁈」
    ハ「おいなんか行けそうだ!お前らも加勢しろ!」


    リュ「道が無駄に長い。親玉の根城まだなの?」
    ハ「本拠地を侵入されやすいような場所に構えるか」
    リュ「いやまあそうなんだけど、だるいなあ。抜け道ないの?」
    タカ「抜け道は作るものだから」
    ハ「お前はいい加減大人しくしてくれ」


    リュ「全滅したかと思ったけど夢だった」
    ハ「白い虎……仲間呼びがキツかったな。だが相手のやり方は分かった。次は勝てる」
    リュ「全滅したのは夢の中の出来事だから活かせる経験とか記憶とかないはずなんだけど」


    ホカケ「リュー君、頑張ってるんだってね」
    リュ「ほわ!ひへいえ、そんな、頑張ってるだなんて!」
    ホ「お薬いっぱい担いでくんでしょ?肩凝るねえ」
    リュ「えへへ、俺の肩もホカケさんに労われて喜んでますっ」
    ホ「何回くらい手当失敗したのぉ?」
    リュ「えっとお、5回くらい?まだ少ないですよね!」
    ホ「ドブネズミのこと思い出した……オエ」

    ※ドブネズミ……セ:ウミナミ 

    ホ「あの兄妹はどう」
    リュ「小さい頃から剣振り回してたって聞いてましたけど、実際頼もしいです。樹海初心者の俺も探索できてるくらいです」
    ホ「ふーん。ハウンド君も成長したんだねえ」
    リュ「妙に堂々としてますよね。考えはしっかりしてんですけど、あいつは人の気持ちを汲むことを覚えた方がいいです」

    ホ「語るじゃん。妹ちゃんは?」
    リュ「アリソは、戦いの時はすごい頼りにしてます。探索の時は静かですが、身内が多いからか冗談を言うこともあります。いや天然か?まあムードメーカーなんでしょう」
    ホ「へえそう。そういえば君のパーティ、バードいるんだっけ?君の母親、男だよ。まあ知ってるか」
    リュ「バードいますけど、めちゃくちゃ脈絡無いですね」

    リュ「母さんが男なんて初耳です」
    ホ「ふーん。ずっと騙されてたんだ」
    リュ「確かに。男?うーん、男だったって?ええ?」
    ホ「どんな気持ち」
    リュ「16年間も性別を騙し通すなんて、さすがは俺の母親です。ほら俺も女の子よりかわいいじゃないですか。えへっ。あ、血は繋がってないですけど」
    ホ「これだから元捨て子はやだね」


    ◆第二層

    ハ「第二層だ。気を引き締めていこう。特にタテワク」
    タテ「このわたしを指名するなんて。でもそう簡単に落ちてやんないから」
    ハ「心意気は十分だが、慢心にならないようにな」
    タテ「言われなくてもわたしはガードが固いの」
    リュ「湿気やべえ〜」


    ア「熊と蠍だったらどっちがいいですか?お昼ご飯ですが」
    リュ「強いていうなら熊。あの熊、亜人みたいできもいけど」
    ア「蟹と熊なら?」
    リュ「うーん、熊。蟹は万一毒あるかも」
    ア「じゃあカニ焼きますね。脚には毒はないとお母さんから聞いています」
    リュ「なんで聞いた?」


    ハ「あのワイバーン、雷を吐いてこない」
    リュ「雷って吐けんのかよ」
    ハ「話に聞いていたのとは少し違うな。しかし抜け道の話は本当のようだ」
    ア「卵でしょ、探しにきたのは」
    ハ「何のために卵を持ち帰るんだ」
    ア「えーと…」
    リュ「樹海の生態調査のため」
    タテ「食べるの」
    ハ「なら頑張ろう」


    ア「鳥は食べられますね。間違いなく」
    リュ「なんでずっと食う話ばっかしてんの」
    ア「この先の第三層は蛙とか蟻になってくるらしいです。あと魚かな?肉っぽい肉を食べられるのはこの階層を逃すとしばらくありません」
    リュ「食料持ってきてんじゃん。それでいいじゃん」
    ア「お腹いっぱい食べたいんです!」
    リュ「樹海でやろうとすんなよ」


    ハ「エトリアっ子たる者、迷宮8階で5日間過ごすのは通過儀礼だ」
    リュ「じゃあ俺エトリアに住まない」
    ハ「ホカケさんはエトリア市民だが」
    リュ「ホカケさぁーん、ホカケさんに5日間も会えないなんて寂しいです…」
    ハ「5日間くらいいつものことだろ。行くぞ」
    リュ「やら〜!助けてえ!」

    1日目
    タテ「それでえ?このわたしと5日間過ごそうってわけ?スケベ」
    ハ「元気そうで何よりだ。30歩で1時間だったか?歩かないと時間は経たないから頑張ろう」
    リュ「へー、つまりホカケさんと永遠を過ごせる可能性があるのか。夢があるなあ」
    タ「永遠の命、欲しい?」
    リュ「永遠の寿命はいらないですが健康寿命は欲しいです」

    2日目
    リュ「24時間歩き通しっておかしくない?」
    ハ「歩くのは120時間だぞ。まああくまでシステム上での話だ。休憩はしているはずだ」
    リュ「じゃあ休もう。寝たい」
    ハ「ふむ。まだお前、TPに余裕があるな。もう少し歩くか」
    リュ「クソ馬鹿体力野郎が。うんこ踏め」

    3日目
    ア「ごっはん〜に蜘蛛の足」
    リュ「食えんの?」
    ハ「意外と蟹みたいだ」
    タテ「タテワクこれ食べなーい」
    ハ「食わず嫌いするな」
    タテ「こんなイガイガするの美味しくない!」
    リュ「アレルギーなのかも。かわいそうに」
    タテ「他になんか無いの?あらこの根っこ食べれそう」
    ア「それ毒、え齧っちゃった⁈」
    リュ「いや本当可哀想」

    タテ「ビィー、ビィー」
    ハ「今日の昼飯からずっとタテワクが不機嫌だ」
    リュ「あんなこともありゃそうなる」
    ハ「いい加減機嫌を直せ。無駄に体力を使うな」
    タテ「うっさい。喋んないで」
    リュ「ハウンドってモテねえだろ」
    ア「全然モテないです」
    ハ「お前らに言われると腹が立つ」

    夜 休憩
    タテ(寝)
    リュ「タテワク、熟睡してら。毒食ってからまともに休めて無かったから良かった」
    タ「そうね」
    タテ「ふうぅ…」
    リュ「寝言言うタイプか。ふふ」
    ハ「……」
    ア「明日何食べようかなー」
    ハ「アリソ、お前を見ると楽しくない気分になれて良いな」
    ア「ハア⁈それってどういうこと!」

    4日目
    朝 休憩明け
    タテ「お腹すいた」
    リュ「レーション粥」
    タテ「おいしくない」
    ハ「食べろ。さらに貧相になるぞ」
    タテ「食べない」
    リュ「あれは言葉の綾なの。元気にならないと心配だって言ってんの」
    タテ「やだ」
    ア「美味しいですけどね。そしたら全部貰っていいですか?」
    リュ「食うな」

    5日目
    ハ「リューは小言が多い。愚痴ばかりだ」
    ア「兄ちゃん、今言うことじゃない。街でやって」
    ハ「前から思っていた」
    リュ「そうかよ」
    ア「本当やめて」
    リュ「いやいいんだ。普段から、てことは溜め込んでたんだろ。悪かった。それに言ってもらった方がいいことってあるし、そういうことをきちっと言ってくれるハウンドのことは信頼してる」
    ハ「…チッ、気が削がれる」
    ア「ねえ!」
    リュ「アリソ、俺はなんとも思ってない」
    ハ「…………クソ。わる、かった」
    リュ「俺も。ちゃんとみんなで街に帰ろうな」
    ハ「ああ」
    ア「はい」

    クエスト達成!街
    タテ「もう樹海行かない!」
    ハ「そうか。休日明けの2日後にまたよろしく頼む」
    タテ「バカ!バカ!なんで2日後なのっ」
    ハ「行く当てがなければギルドハウスにいればいい。食事も出すように言っておく」
    タテ「訳わかんないっ」
    リュ「おお、積極的な言葉選び。成長してる」
    ア「一般的に見たらまだ微妙ですよ」

    宿 2人部屋
    リュ「寝床!やっとベッド〜!最高。体も洗ってさっぱり」
    ハ「お疲れ。やはり室内の方が落ち着くな。ところでお前、ホカケさんに会いに行かないのか」
    リュ「会ったから。ちょっとだけ。それよりさ、ハウンド君。俺からもいろいろお話ししたいことがあるんだ。聞いてくれる?」
    ハ「な、なんだ」

    リュ「怖がんなよ。ほらベッドに座ってお話ししよ?それでね、俺が小言多いのはお前らの所為なんだけど、理解してるよな」
    ハ「なんだ、怒って、たのかよ」
    リュ「あの場で喧嘩するわけねえだろ。そう言うとこだよ。狼に突撃しに行ったり、迷宮内の動植物食べようとしたり、仲間への言葉掛けが雑だったり、そもそも計画が蛮行だったり」
    ハ「すまん、悪かった。わ、悪かった、悪かったからっ」


    ハ「ケルヌンノス…とは一体なんだ」
    リュ「今俺らが倒した奴だ」
    ハ「前の層ほどfoeと絡みがあるわけでもなく、突然立ち塞がってくるから戸惑う」
    リュ「百獣の王なんだから今までの鳥獣と関係はあるだろ」
    ハ「似ていない」
    リュ「それを言ったら一層だって……まあ確かに似てないとは思う」


    ◆第三層

    ア「タカラさん、綺麗な場所ですね」
    タ「昔、兄さんがこの階で何が食べられるか教えてくれたことがあったけど、あの人は何でも口に入れちゃうからあまり参考にならなかった」
    ア「へー、タカラさんと同じなんですね!私もタカラさんから教わった食べ物、食べれたことがありません!ウミユリとか」
    タ「ふふ。脆弱」
    タテ「岩に刺さったんだけど!ヤダー!」


    リュ「ホカケさん、俺こないだ第三層に行ったんですよ。一面青くてホカケさんの目を思い出しちゃいました」
    ホ「僕の目ってあんなに毒々しいんだ」
    リュ「実際の目の色は朝日みたいに透き通ってて比べ物にならないくらい綺麗ですよ…。きゃっ♡ でも言われてみればホカケさんって毒々しいくらいの色気もあるのでぇ、うわっこれは大変です、これから三層に行くたびに俺どうにかなっちゃいます!」

    翌朝
    リュ「昨日ホカケさんとバー行ってさあ、うっかり1人で盛り上がってたらホカケさんに軽蔑の目で見られてえ」
    ハ「ああ」
    リュ「めっちゃやべえ。アレ本当、視線だけで孕ますやつだった。俺女の子になっちゃったかも。ホカケさんの子供を、俺が産むのか⁈」
    ハ「可哀想だホカケさん」


    ハ「蟻は卵を産むんじゃなかったか?」
    リュ「卵生の生き物はそうだろうな」
    ハ「女王は人の背丈もある塚を産み落とし、そこから子分が生まれてくるはずだ」
    リュ「目の前にあるものを楽しめよ。経験に勝るものはねえんだから」
    ハ「時期が違うのか…」
    タテ「蟻の水ヤダ!痛い!」


    ハ「魚釣り」
    リュ「勝手にやってろ」
    ハ「こうして静かに水面に集中していると、心なしか風景も遅くなって見える。冴えた神経が可視化されたようだ」
    リュ「ただの処理落ちだろ」
    ハ「風情がないぞ」
    リュ「電気ブレスだの蟻の卵だの言ってたお前には言われたくねえ」


    リュ「キャンプ処置ってなに?」
    ハ「Wikiには少量のTPでパーティを全快できるとある」
    リュ「またまた。嘘だろ」
    ハ「休養してスキルポイント振り直してこい」

    リュ「キャンプ処置強い」
    ハ「良かったな。これで探索が長くできる」
    リュ「なんかその、今までの俺、何だったんだろ。戦闘後にキュアとかエリアヒールとかとか無駄なことして」
    ハ「一応リマスターからの仕様らしい。気を落とすな」
    リュ「俺、新グラなのに」
    ハ「調査不足ではあったな」
    リュ「るせえ」


    ア「エイを倒したよ!」
    ハ「あのエイを放った奴…緑色の亜人だったが、アレは何者なんだ」
    リュ「正体不明なんだ。お前の父さん、5層の発掘してんのに?」
    ア「4層は極力通らないようにしてるんですよ。あの人こと、モリビト達の住処だし、目ぼしい物もないので」
    ハ「まあカリナンは取りにいくがな」
    リュ「なんかモリビト達さんが可哀想な気配がする」


    ◆第四層

    ホ「4層いくんだ。何人殺した?」
    リュ「なんの話ですか?モンスター?」
    ホ「モリビト」
    リュ「殺してないですよ」
    ホ「じゃあ楽しみだね」
    リュ「またまたあ」
    ホ「カマトトぶって」
    リュ「へ?俺…そんなにウブに見えますか?うへへ、ピュアなとこ、ホカケさんとおそろだなんて、エロい!」
    ハウ「約束通りリューを回収しに来たが、予想していたより酷いな。おい帰るぞ」

    リュ「ホカケさんとの距離がひらいちゃうっ。遠いよぉ〜つ」
    ホ「ソレいつもそんな?」
    ハ「普段は…もう少し真面目です」
    ホ「まあどうでもいいや。じゃあね」
    ハ「すみませんでした」
    ホ「なんでお前が謝んの?弁えろよ」
    ハ「はい。……やっぱり、こいつ置いておきます」
    リュ「ホカケさんの吐いた二酸化炭素おいしーい!パクパク」
    ホ「ゴミは持ち帰って」


    ハ「枯れ森は木が固いくせに抜け道ばかりで嫌になる」
    リュ「先駆けありがとう。助かる〜」
    ア「兄ちゃんの無駄な身長がやっと役に立ったね」
    タ「猪みたい」(褒め言葉)
    タテ「木の枝が刺さって嫌なんだけど!バカ!」
    ハ「なあ、メンバー全員、順繰りで先頭に立ってみないか?」


    タテ「もう待ってよ!服が引っかかる!」
    リュ「あーあ、紗のズボンがズタボロ。んなカッコで来るからだ。次回からはもっとコンパクトで強い生地にしろ」
    タテ「バードに言う言葉⁈」
    リュ「鈍臭いからだろ。ハウンドからも言ってやれ」
    ハ「見てない」
    リュ「うわっ、カチンコチン!こんな弊害もあんのか」


    リュ「広!ここで遭難したくねえ」
    ハ「この階からモリビトが出てくるはずだ。心してかかれよ」
    リュ「強いのか」
    ハ「変に人に似た姿をしているから、この階層で気が滅入る奴が多いんだ」
    ア「私はヤダ。戦うなら兄ちゃんがやってよ」
    ハ「ソードマンがサボるな」
    ア「嫌なの!」

    ハ「とまあこんな感じだ」
    リュ「妹を実例に使うなよ。でも殺生なしで行くこともできんだろ?」
    ハ「無い」
    タカ「無い」
    リュ「俺、用事思い出しちゃったから街に戻ろうかな」
    ア「リュさん逃げるんですか。私は逃げられないのに、あなたは後ろで杖振ってるだけなのに」
    リュ「すみません成仏してください」

    リュ「案外対峙したら人間じゃ無いかもしれねえ!やってやる!」
    ハ「対峙と退治をかけたか。稚拙で逆に面白い。あはは」
    リュ「てめえ覚えてろよ」


    リュ「いやー、いやー、博識あんま振ってなくて良かったです。あああ…」
    ア「でもリュさんはいいじゃないですか。私は斬りました。斬っちゃった」
    リュ「あれは、そう葉っぱ。よく人間に似た動く植物。メドゥーサツリーの仲間」
    ア「でも言葉使って連携とかしてて……」
    リュ「植物だって化学物質でコミュニケーションしてるから」
    ハ「情けないな」
    リュ「お前は情が無い。アハハ…」

    リュ「ねえー、今の俺らがこの辺来る必要なくない?乾燥してるし、ほらカッサカサ。木とか骨みたい。ホエー!」
    ハ「だが親の代では殲滅作戦まで出されていたそうだ。それに比べたらだいぶマシじゃないか」
    リュ「なおのことここ通る必要ないじゃん」
    ハ「この迷宮に分岐路などない。常に一本道だ。不正は良くない」
    リュ「うるせー!分岐道くらいあるわぁ!クソオオオッ…」


    タテ「FOEなのに雑魚戦と曲変わらなかったし、服また切れたーっ!!何で私ばっか切れんの!変!」
    ハ「あのカマキリはFOEではないし、その騒ぎ方は上層でもできただろ。服が切れるのは……流石に不思議になってきた」
    タ「ホーリーギフトの力」
    ハ「どういうことですか」
    タ「ちょっとしたアクシデントを乗り越えることで、その分何事もなかった時よりも鍛えられるの」

    ハ「そういうことだったのか……。通りで最近耐えることが増えて、その分俺は強くなっている…」
    リュ「今回は腰紐までざっくりいかれてら。本当、肉深くまで切れなくてよかったよ」
    タテ「あの、結び目…緩んでて…落ち……」
    ア「へわ⁈抑えたよ!み、見てない!見えてない!」
    リュ「白衣貸すから、ほらこれ巻けば平気だから、泣くな。あーあー」

    ハ「だ、大丈夫なのか?」
    リュ「こっち向くな!カチンコチンコマン!見張してろ!」
    ア「兄ちゃんの変態!アホ!」
    タテ「うう、う〜っ」(涙)
    ハ「これは…この状況で襲われたらひとたまりもないぞ。鍛えられるどころじゃない」
    タ「ホーリーギフト、恐るべし」
    ハ「ちょっとうるさいです」


    FOE(姫君、令嬢)
    リュ「見てみろタテワク。世の中にはあれくらい惜しげもなく見せびらかしているやつもいるんだ」
    タテ「あれ好きじゃない」
    リュ「俺もー。も少し隠してほしい。あと金髪碧眼猫背知的本当は純朴な美人かわいい年上がいい」
    ハ「後ろ!バフ撒き終わったからって、雑談をするな!」


    タテ「イワオロペネレプ」
    リュ「岩をも砕く者」
    タテ、リュ「♪♪♪〜」
    ハ「暇人どもが歌っている……」
    タ「あれもホーリーギフト!ファイヤ!」
    ハ「なんでもHGと言えばいいわけではないですよ。スマイト」

    タテ「勝ったー!」
    リュ「俺たちの勝利!HGで鍛えられたおかげだな〜」
    タテ「ふふん、もっと褒めなさい?」
    ハ「メディック、お前なんかしたか?」
    リュ「医術防御撒きました!イエイ!」
    ハ「お前の場合、杖で殴っても弱いもんな。ハアア。…モリビトは殺すの嫌なのにあの鳥はいいのか。彼らの神だぞ」
    リュ「鳥だからどうでもいいです」
    ハ「なんか納得いかん」


    リュ「ホッカケさーん、鳥退治しました!岩をも砕くネプ」
    ホ「モリビトは?」
    リュ「回答は控えさせていただきます」
    ホ「ビビリじゃん。見損なった。そんなで冒険者やってけんの」
    リュ「五層の磁軸に辿り着いたので問題ありません!」
    ホ「カリナンは?」
    リュ「俺は採掘しないので問題ないです」

    リュ「言うてホカケさん、カリナンとかに興味ないでしょ」
    ホ「お金は好きなほうだよ」
    リュ「ホカケさんってゴールド似合いそうですもんね。ピアスとか」
    ホ「ふうん。君は、耳になんかつけたりしてないの?首とか手には何もつけてないけど」
    リュ「ひゅへっ⁈ホカケさんの御手が俺の耳たぶを〜っ」

    ホ「何もつけてないんだ。つまんな」
    リュ「あは、あはあはっ。だってえ、つける必要ないです。俺、少しでも生存率上げないと。ただでさえ派手な地毛なのに」
    ホ「白黒のね」
    リュ「やっとホカケさんに会えたから、長生きしてホカケさんの人生を占領しないと。そのために装飾品は要らないです。もちろん結婚指輪とかぁ、プ、プレゼントは、身につけますけど」

    ホ「僕の人生を占領。ハハハ、おもしろ。君は勘違いしているかもしれないけど、僕がこうして会ってあげてるのは、君のご両親の話を聞いたり、面影を見ようとしているからだよ。君に興味がある訳じゃない」
    リュ「そうですか」
    ホ「けどね、この時間も無駄だったな。あんまり欲しいものが得られなかった。だからもう会わない」

    リュ「ホカケさん、そんなことされたら、俺はあなたの家に行きますけど、大丈夫ですか」
    ホ「通報する」
    リュ「では今度遊びに行きますね。手土産楽しみにしててください。お仕事、お気をつけて」
    ホ「本気で迷惑なんだけど」
    リュ「なら、俺の両親のことを知っていたなら、それこそ俺に会わなければよかったでしょう」

    リュ「俺達がどんなに執着深いか知らないはずないですよね」
    ホ「何の話。気持ち悪い。それじゃあね」
    リュ「親父の初恋の相手、母さんなんですって。10かそのくらいに会えなくなってから、忘れるように勉学に励んで、大きな街の学校に進学したらしいです。それから卒業して、就職すればいいのに何となく冒険者になって、たまたま、始めの街で再会できたそうです」

    リュ「ホカケさん、本当に帰っちゃったな。お婆ちゃんから聞いた話だけど。母さんも再会して、一目でひどく懐かしくなったって言ってた」
    ハ「迎えにきたが、今日はホカケさん先に帰ったのか」
    リュ「ううん。もう会わないって。だからこれからはホカケさん家に直に行く」
    ハ「勇気あるな」

    ハ「さっきの独り言は何だ?」
    リュ「俺の出身村の話。スッゲーどろどろしてんだ、あそこ。だから大きい街に3人で越してたんだけど」
    ハ「ふうん。どこでも確執みたいなものはあるんだな」
    リュ「お前のとこは特にやっかみすごそうだ」
    ハ「俺自身は別に大変な目に遭ったことはないがな」

    ハ「…しかし、ついに自分達の足で五層を歩くのか。不安だらけだが、案外どうにかなってしまう気もしている」
    リュ「頼もしいじゃん」
    ハ「皆のおかげだ。冒険者の道を選んだ以上、遠い先への展望を描くのは難しいかもしれないが、それでもかつての人の文明を自分の目で見て、解き明かしてみたかった。そして俺が今あるものを受け継ぎ、守れるようになりたい。そのためにも、自分達だけで乗り越える必要がある」

    リュ「課されたから、ではなく?」
    ハ「課題は与えられた指標だ。俺のやりたいことはその先にある」
    リュ「そうか。そりゃ頑張んないとだな。俺も頑張る」
    ハ「ああ。どうか、よろしくたのむ」


    ◆第五層

    ハ「磁軸以降の階での未踏破エリア探索許可が出た!」
    リュ「それはまた大胆な」
    ハ「あからさまに地形が違うからそういう扱いにするということではあるのだが、やはり嬉しいものだ」
    リュ「言うなよ」

    ハ「とは言え磁軸付近は地図は同じだ。ここが第五層か。今までの階層よりも異質だ」
    リュ「人工物だらけだな。この扉とか経年劣化したりしねえの?」
    ハ「確かこの間、丁番を修理したはずだ。ほらピカピカだろ。この扉は使用頻度が飛び抜けて高いから壊れやすいんだ」
    リュ「そういうの本当やめろよ。自由すぎる」


    リュ「階段が、多い!」息切れ
    ハ「確かに多い!いろんなところに設けてあるのは利便性のためだろうな。当時の施設の使用状況はどんなものだったんだろうなっ」
    リュ「何がそんなに楽しいの?疲れるだけなんだけど」
    ハ「楽しくないのか?」
    タテ「あんたの話はいつもつまんない」
    ハ「……なあ、この階段のヘリについてる金属の飾りだが、滑り止めなんじゃないか?」
    リュ「マジそういうとこ」


    ア「タカラさん、ヤドカリのこのパイロンってなんですか?」
    タ「チンコケース」
    ア「誰のですか」
    タ「ヤドカリに決まってるでしょう」
    ア「ホカケさんから聞いたんですか?」
    タ「兄さんはもっと下らないことを言う。バカにしないで」
    ア「バカにする以前の質でしたが…」


    リュ「なんか死んだ気がする。赤い花に眠らされて赤い蜂にボコられた気がする」
    ハ「病院のベッドで寝るのも新鮮でいいな」
    ホ「あのまま死んでれば良かったのにね」
    リュ「きゃーっ、神ホカケさんっ、破滅のホカケさんっ。うふふ…」
    ハ「ホカケさんがお見舞い来るなんてあり得ん…実は本当に死後の国なのか?」
    ホ「逆によく今まで生きてこれたね」

    タ「兄さん」
    ホ「お前に差し入れを持ってきたんだ。こいつらを連れて帰ってから付きっきりで様子見してただろ。随分お人好しになったじゃないか」
    タ「ジャガイモね。ありがとう。看病以外に何もすることが無いの」
    ハ(差し入れが芋?生の?)
    リュ(ふかしてあんだよ)

    ホ「タカラはいつこっちのギルドに戻ってくるんだ?」
    タ「兄さんだって最近は碌に探索行ってないくせに。アリソ達が課題をクリアして本家に組み込まれたら一緒に戻るつもり」シャリシャリ
    ホ「まあこいつらの巻き添えを食らって死ななければいい。無理はするなよ」

    タ「兄さんこそ。…それより兄さん、言っておきたいことがあるんだけど」
    ホ「何だ」
    タ「兄さんの冗談がいつも下らないのどうにかならないの?どうにかしてよ。もう50手前でしょう」
    ホ「え、何の話」
    タ「おかげでこの前馬鹿にされたんだけど」

    ア「もしかしてパイロンがチンコケースの話ですか?あれはだって、そもそもすごくつまらなかったですよ」
    タ「そんなことない!」
    ハ「ジャガイモを生のまま齧っているのは面白いです」
    タ「は?」
    ハ「すみません」
    ホ「胃がシクシクする」

    リュ「ホカケさん、大丈夫ですか」
    ホ「うざいね」
    リュ「でも俺はホカケジョーク好きですよ。人のことゴミ呼びとか、モリビト討伐回数チェックとか」
    ホ「それのどこがジョークなの」
    リュ「へ、本気?ホカケさんの本気でしたか⁈俺、ずっとホカケさんのマジハート味わってた?ふわわー!」
    ホ「帰ろ」


    ハ「すごくFOEに追いかけられることが多い」
    タテ「私何もしてないし」
    ハ「通路でも行き止まりに立ち入ると挟み込まれていることが多い」
    リュ「うーん。どこか徘徊してたのか?でもいたかな?不思議」
    タテ「私何もしてないから」
    ハ「何も言ってないだろ」


    ア「地図をある程度描いたらFOE、どこで湧くのか分かりやすくなりましたね」
    リュ「俺らが通り過ぎたタイミングで出現してたのかよ。汚ねえ〜」
    ア「いつの日かの500エンを思い出しますね」
    リュ「あったな。あの時はまんまと罠に嵌められたなぁ」
    ハ「談笑中申し訳ないが、今も袋小路に追い詰められているんだ。糸使うぞ」


    リュ「結晶の蔓と花、何これ」 
    ハ「氷カマキリがこれらの植物を切り刻んで卵を産みつけるそうだ」
    リュ「そんなことは聞いてない。植物なの?この辺りって壁もなんかの結晶に覆われてるし、何なんだこれ」
    ア「本当に邪魔ですよね。ここにもカマキリ来てくれればいいのに」
    リュ「出現しないモンスターの話をすんな」




    25階
    ハ「最深部の最奥、ここで親父は当時の街の長を殺したらしい」
    リュ「ど、どゆこと」
    ハ「それがどうしてそうなったのか、親父も分からないと言っていた。多分物理的に邪魔だったんだろう。デカかったとも聞いている」
    リュ「タカラさんは何か知らないんですか?」
    タ「その場にいなかったから分からない。でもそこらのモンスターと変わらなかったんじゃない?」
    リュ「申し訳ないですけど参考にならないな」

    ハ「今ではこの階から一軍の先輩方が探索に行っている。未知の病気の存在なども心配されたが、そういうこともなく順調に遺都は明らかにされている」
    リュ「お前もようやくそのチームに入れるってことか?」
    ハ「いずれかな。腕っぷしが強いだけでは調査はできん。今日はもう街に帰ろう」


    ハ「ただいま戻りました。本日、地下25階広場に辿り着きました」
    千鳥「そうか。何度か肝を冷やす報告も受けたが、誰も欠けることはなかったようだな」
    ハ「いえ、ご助力がなければ…」
    千「救援要請を届け、持ち堪えるのも力量のうちだと思うがな。地図のほうはいつ頃まとめられそうだ?」
    ハ「早ければ明日の晩に」
    千「そんなに急いでいないから、5日後の日中までに持ってきてくれればいい」

    タテ「あのおじいさん誰?」
    リュ「もっと若いだろ。ハウンドのお父さんだよ」
    タテ「フーン。あいつのエラソーな態度は親譲りなんだ」
    リュ「威厳があるって言うの」
    ア「この部屋にいるときのお父さんはちょっと背筋伸ばしてるよ。ホントはもうちょっと抜けてる」
    タ「それはアリソの前だからそうなのよ」

    千「このまま次の課題について話そうと思うのだが」
    ハ「この後用事がある者はいるか?」
    リュ「俺は残ります」
    ア「私もの、残ります」
    タ「なら私はタテワク連れて先に戻ります」
    タテ「なんでよ!」
    リュ「集中力保てなくて冷やかすだろ、さっきみたいに」
    タテ「しないし!」
    タ「早く来て」
    タテ「ギィヤー!」

    千「少し懐かしいな」
    ア「そうなの?」
    千「メディックがバードを宥めたり、バードが金切り声をあげたり…はははっ」
    リュ「……マジか…」
    千「脱線したが、地図を提出してもらった後は第六層の探索隊に加わってほしいと思っている。主に素材を収集する部隊だ」
    ハ「その部隊に加わる際、こちらの班のメンバーを入れ替えたり、他の隊に組み込んでもらうこともできますか」
    千「そうしたいなら構わん。合流先の隊も調整してくれるだろう。具体的な内容だが〜


    ハ「アリソは六層に行くのか?」
    ア「そのつもりだけど」
    リュ「六層って何?さらに力をつけろって言われたけど」
    ハ「ああ、五層のさらに下に真朱の岩室という場所があってな。あそこは人が住めるような場所ではないと聞く。そこで探索をこなせればエリート入りと言えるだろう」
    リュ「それをやってようやく調査隊になれんの?」
    ハ「5層の調査自体は経験を積めばやらせてもらえる。まあ目的は未開の地の調査だから余力があるに越したことはない」
    リュ「高みを目指せってか」

    ハ「俺は…正直1人だけで六層部隊に加わりたい。お前たちは置いていきたいと思っている」
    ア「なんで?私が役立たずって言いたいの?」
    ハ「いや、5層で練度を上げればいいと思う。死亡率が跳ねがる6層に行く必要はない」
    ア「私だって父さんと母さんの子供だよ。探索しかしてないっていうなら、事務作業もこっちに流せばよかったじゃない!」
    ハ「お前はまだ16だ!」
    リュ「おい、とりあえずタカラさんたちと合流すんぞ。皆んなで話し合うことだ」
    ハ「…分かった」

    宿で落ち合った
    タ「そう。六層に行くの。良いところだと思うけどね、故郷みたいで」
    リュ「故郷⁈ど、どんなですか」
    タ「真っ赤で肉肉しい」
    リュ「え?え?」
    ア「タカラさんはお兄ちゃんの判断をどう思いますか。私は行きますけど」
    タ「行きたいなら行けば?私はどこにでもついていくから」

    ハ「チッ、タカラさんはそう言いますよね。リュはホカケさんもいるから行かないよな?」
    リュ「うーん、タカラさんが故郷みたいだって言うなら行きたいかも」
    ハ「観光じゃないんだぞ」
    リュ「ホカケさんも歩いた場所なんだろ?ならやっぱり俺は行かないと。同じ苦しみは味わいたい」
    ハ「マゾが。……タテワク、お前まで変なこと言い出さないよな」

    タテ「なに、私だけ置いてくってこと」
    ハ「地上で待っていればいい」
    タテ「邪魔だから?」
    ハ「邪魔だ」
    タテ「分かった」退室

    ア「兄ちゃん、そんな言い方なくない?タテワクちゃん、出ていっちゃったけど」
    ハ「あいつが考えることは俺には分からん」
    ア「馬鹿なの?私追いかけてくる」
    リュ「待て、ハウンドが行け。今すぐ追いかけろカス」
    ハ「なんだと」
    リュ「行けよ!今すぐ出ろ!」
    ハ「お、追い出すな!」

    ア「行った?」
    リュ「一応走ってた。俺らも行くぞ。絶対回収しねえと」
    ア「ほんっとにああいうとこ理解できない。お兄ちゃんこそ6層に行かないほうがいいんじゃない?」
    タ「私も探しに行くの?」
    リュ「お願いします」


    リュ「あまり遠くには行ってないと思うんだけどなあ…」
    ア「リュさん!居ましたか?」
    リュ「聞き込みしてもダメ。隠れてんのかな。エトリアっ子的に目星つく?」
    ア「私が行くの禁止されてるエリアもありますので…」
    リュ「じゃあ俺そっちの方行ってみる。アリソは中央街をもう一周お願い」
    ア「気をつけてくださいねーっ」


    リュ「歓楽街進んでたらスラムまで来たな。冒険者が集まる街だもんなぁ」
    タ「リュウ、白衣は目立つ。こっち来なさい」
    リュ「タカラさん、こっちに居たんですか」
    タ「人の居場所なんてすぐ分かるでしょ?それより面白いの見れるから」
    リュ「え、いや時間が惜しいんですけど」

    面白いもの
    ハ「タテワク」
    タテ「よく来れたじゃない、こんな場所にアンタみたいな人が。それともいらっしゃいませって言えばいい?」
    ハ「地上というのはギルドハウスとか宿とか、そっちのことを言ったんだ」
    タテ「ここが私のお家の一つ。今はタイミングよく誰もいないし。ここを追い出されて私はギルドの方に来たから、あっちは私にとって家じゃない」

    ハ「だからとここに戻ったとして、樹海からは離れていて探索に行くには不便だろ」
    タテ「もう行かないよ。邪魔でしょ」
    ハ「い、いやあれは、あえて強い言葉を使っただけだ!お前には6層に来てほしくなくて」
    タテ「邪魔なんじゃない」
    ハ「お前は特に、危険な場所に連れていきたくないんだ。う、失うのが、怖いから…」

    タテ「私ここにいれば死なないし。バカじゃん」
    ハ「いや、離れたらギルドとしてやっていけない」
    タテ「私いらないでしょ」
    ハ「必要だ」
    タテ「歌うたってる人なんていっぱいいる」
    ハ「お前の歌がいい」
    タテ「キモーい」

    ハ「タテワク」
    タテ「帰って」
    ハ「俺はいつも側にお前がいてほしい。だから連れて帰る」
    タテ「ヤダ」
    ハ「持ち上げるぞ。しっかり掴まれ」
    タテ「ちょっと、ヤ!人攫い!離して!」

    リュ「人攫いは間違ってないかも」

    ハ「タテワク、俺が間違えていたと思う。六層にお前も来てほしい」
    タテ「はん、死んでほしいから?」
    ハ「違う。俺が死にたくないからだ」
    タテ「あんたは死なないでしょ」
    ハ「お前も死なないんじゃないのか」
    タテ「連れて行かれたら死ぬって言ったの誰」
    ハ「死なせないように守る。だから側にいてくれ」
    タテ「バカバカしい」

    リュ「やっと帰りだしたか」
    タカラ「あの親子、女の子の好みが似てる」
    リュ「それは聞きたくなかったです」


    ハ「すっかり日が落ちたな」
    タテ「いつまで私のこと持ってんの」
    ア「兄ちゃん!やっと帰ってきた!人に迷惑かけてんの分かってる⁈」
    ハ「反省してきたんだ。大目に見ろ」
    ア「お前が言えることじゃない!」

    リュ「あー、アリソ。お疲れ。まあお兄さんがどんなふうにタテワク口説いてたから教えるからさ、少し許してやれ」
    ア「口説いてたの?」
    タ「口説いてた。また距離を詰めるのはこれからでしょうね」
    ハ「な、タカラさんまさか」
    タ「かわいい兄弟が悲しむところは私だって見たくないから」

    リュ「なんだっけ、お前を死なせないから六層来てほしい、だっけ?」
    タ「そう」
    ア「ヘェ〜」
    ハ「ち、ちがっ」
    タテ「違うの?」
    ハ「側にいてほしいから死なせないんだ!俺はこいつをギルドハウスに連れてく!これ以上好きに喋んなよっ」
    リュ「タテワクも連れてくならメンバーは変わらないの?」
    ハ「変わらん!お前らも早く寝ろ!」
    リュ「寝るんだー」
    タ「わかーい」

    翌朝 ギルドハウス
    リュ「おはざーっす、ハウンド君ー?地図まとめにきたよー?」
    ハ「リュか。アリソもいる」
    ア「私は昨日言い足りなかった分の文句を言いにきたんだけど、眠そうだね」
    ハ「ねれるかよ」
    タテ「あんた寝てないの?バカじゃない」

    リュ「タテワクは元気そうだな」
    タテ「そりゃ私はちゃんと寝たもん。あとね、こいつもそんな悪い人じゃないって分かったから、あんまいじめないでね」
    ア「…えっ」
    リュ「健全すぎ!でもかえっておかしなことにはなってるか?あはは」
    ア「へ」
    リュ「ハウンド、早く顔洗って飯食ってこい。清書先にやってるから早くしろよ」
    ハ「ううう…」


    五層まで 終わり
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