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    かまあげ

    デュエスを書いてます
    らくがき→画像投稿したSS(いずれまとめて支部へ)
    供養→途中まで書いて満足したやつ
    かきかけ→力を…ください……

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    かまあげ

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    #デュエス
    ds

    眠いけどエのために起きてるデュ 夜も始まったばかりだというのにデュースはベッドに入っていた。たしか、陸上の大会が近いから、練習メニューが通常よりハードなものになっているのだとか。
    「まだ寝ないでよ」
    「……あぁ」
     必死にマジカルペンを動かしながら天蓋の向こうに声をかけると、おざなりな返事が返ってくる。あ、これ半分くらい意識飛んでるヤツじゃん。早くしないと本当に寝てしまいそうだ。
     エースはリドル寮長から頼まれていた雑用——今度のお茶会で使う茶葉の発注票記入をどうにか終わらせた。うん、ラインナップが前回と変わらないことはさておき、この組み合わせならハートの女王の法律違反にはならないはず。怒られないだけで及第点。
     ペンを置き、すっかり閉め切られた天蓋を急いでめくると、デュースは大あくびをかましているところだった。隙間から差しこむ部屋の明かりが眩しいのか、わずかに目を細める。
    「……ん」
     一緒に寝たいから詰めて。そんなこと今更言わなくても伝わるらしい。デュースは気怠そうな仕草でパーカーのポケットに突っ込んでいた左腕を伸ばして、できたスペースを顎で示してきた。照明を消してそこにもぐりこむ。真っ暗な天蓋の中、ふたりだけの世界の完成だ。
    「今日の練習で、フロイド先輩がゴール壊しかけてさー」
    「そうか……」
    「もー、ちゃんと聞いてねーだろ」
    「きいてる……」
    「明日の日替わりランチにオムライスあるんだって。お前が好きなふわとろのやつ。ソースも選べるらしいよ」
    「おー……」
     興味がありそうな話題にしたのにこの反応。やっぱり聞いてないんじゃん。思わず拗ね言が出そうになったが、続くデュースの行動で黙らされる羽目になる。
     オレが頭を乗っけていた左腕、その手で後ろ頭をくしゃりと撫でられた。猫っ毛の間をデュースの指が何度か通っていく。手つきはちょっと雑なのに嫌な感じはこれっぽっちもない。むしろ、……いや、やっぱなんでもない!
     エースの葛藤なんてデュースは何も知らないのだろう。そのままぐい、と頭を抱え込まれた。当然、オレの視界に入るのはデュースの胸元だけになる。暗くてわかりにくいけど、ドピンクのヒョウ柄。テンプレ不良のイメージを遥かに超えていくセンスだ。初めて見た時は息ができなくなるくらい笑った。
     今となっては。
     この部屋着すら、デュースらしくて好きだとか。……お前には絶対言ってやんねー。

     すう、すう。
     しばらく黙っていると穏やかな息づかいが聞こえてくる。とうとう寝やがった、コイツ。デュースの腕に収まったままの頭を捻って顔を覗き込むと、案の定、オレのヤンキー彼氏様はあどけない寝顔をさらしていた。あーもう、何から何までずるい。
    「バーカ」
     半ばヤケクソになって零した言葉は、あたたかな暗闇に溶けて消えていった。

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    かまあげ

    DOODLEウィンホリ中、NRCからの帰路にて空港で一晩を明かすデュエスの一幕。付き合ってないしカプ要素は限りなく薄い。
    ウィンホリの帰路 大変な経験を共に乗り越えた相手とは特有の絆が生まれるという。ミドルスクール時代、どこかの運動部のジャージを着た集団が話しているのをすれ違いざまに聞いた。大変な経験とは、彼らの所属する部活の厳しい練習だったり僅差で逃した勝利だったりを指すのだろうか。
     当時は他人事だと思って聞き流していたそれが、ナイトレイブンカレッジ入学以降少しだけわかるようになった気がする。例えば入学初日のドワーフ鉱山、死にそうな思いでどうにか魔法石を手に入れられた時、絶対に仲良くなれないと思っていた同級生とハイタッチしてしまったこととか。

     今回の状況も、それに当てはまるのだろうか。

     現在はウィンターホリデーの真っ只中だ。学園に残ると言っていた監督生から、僕やエースのマジカメに「スカラビアに監禁されている」というメッセージが来て、それを最後に連絡が途絶えてしまったときは本当に肝が冷えた。急いでエースと共に飛行機、電車、バス、船を乗り継いで賢者の島まで戻ってきたが移動の間じゅう生きた心地がしなかった。
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