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    itHayuRi

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    夏の間に書きたかったけれどまとまらなかった三本

    『ベビードールとむーちん』
    そのまんま、下品な色物です。pixivに置かせてもらっている芸能AUのss。OOCひどいですが、しっかり風信と慕情のつもりで書いています。本当に下品ですが、楽しく書いています。

    ・大好きな风情作品(上質なセンシティブ。素敵な风情)とネタ被りしている。
    ・芸能AUは一話一エロと決めているのにいたせなかった。

    #現代AU风情
    #FengQing

    ベビードールとむーちん「馬鹿なのか?」
    「お前がな」

    思わずこぼれた呟きに、間髪入れず嫌味が被る。
    噛みつく気力もなく、風信は衣装を広げて上から下までじっくり眺め、ぽいと放った。

    「こんなもんを着て公衆の面前にたてって? クソだ。クソすぎる」
    「罰ゲームというのはそういうものだろう。着たくないなら勝てばよかったんだ。わざと負けてやったくせに、文句をつけるな」

    慕情は冷たく言い放って、ぎろ、と風信を睨みつける。
    てきぱきと衣装を選ぶと、メイク用の鏡の方へと去っていった。
    完全に、機嫌を損ねている。

    それもそのはず。
    コンサートの宣伝を兼ねて出演した深夜バラエティでのミニゲーム。時代劇に出演中の女優コンビとの、おもちゃの弓を使った射的対戦だった。
    負けた方が『ベビードールを着てメリーゴーランドに騎馬』という下品な内容だったため、女優コンビの清純派の方が割と本気で嫌がって、かなり集中して勝負に向かっていた。しかし、女優コンビのもう片方がフォローのしようもないくらい下手くそで、三本与えられた矢の一本も、的にかすりもしない。
    慕情も風信も、小さい点数の的を狙って点差が付きすぎないようにしていたが、最終ターンで風信が弓を番える時点で既に、仙楽コンビが女優コンビの点数を越えていた。最後の射手である風信が、一発アウトのマイナス百点の的を倒さない限り、仙楽コンビが負けようはなかったのである。

    「お前はああいう気位の高い清楚系が好きだもんな。わざわざ負けてやるくらい」
    「そうじゃない」
    「へえ。じゃあたまたま狙いを外して、ど真ん中にあるたったひとつのマイナスの的を射抜いたのか。古武道の稽古でSランク、師範に流派を継がないかとまで言われたお前が、あんなちゃちな弓を使った近的ゲームで」
    「確かにわざとマイナスに当てはしたが、」
    「が? 負け確の的にわざと当てた『が』、負けるつもりはなかったって?」

    きっつい声音で言葉を遮られ、思わずひるむ。

    「お前は優しい好青年さまだもんな。言い訳はしなくていい。さっさと選んでさっさと着ろ。そこでぶちぶち言っていたって撮影が押すだけだ」

    ひるんだところに舌打ちされ、切って放り投げられる。

    慕情が冷たい。
    勝てる勝負をわざわざ負けて罰ゲームに巻き込んで文句まで聞かせているのだから仕方がないのかもしれないが、もうちょっとどうにかならないものだろうか。
    わざと当てた『が』、それは清純派の女優を庇いたかったわけではなく、これ以上、そうでなくとも色気むんむんのグラドル女優の方にセクシーランジェリーを着せるのが怖かったんだなどと言い訳を続けられる空気でもなく、風信はため息をついてシルクとレースの海を物色した。

    「しかしこれ、着られるサイズがあるか?」
    「着られなければ頭にでもかぶっておけばいい」
    「俺はどんな変態だ」

    いや、着用しようが頭にかぶろうが変態じみることに変わりはないのだが。
    ぶつくさ言いながら、なんとか破らず着られそうなガウンタイプの羽織を選び出して鏡の方を振り返る。

    思わず、息を飲んだ。



    「おま、お前……、それ、その恰好を、人目に晒す気か!?」
    「お前のせいでな!」
    「そうじゃない! そうだけど、そうじゃなくて、」
    「なに? どうせ私が女ものの下着を着たって似合わない、二人でゲテモノ扱いされて、笑って終わらせるつもりだったのに、って?」

    ガーターベルトの位置を調整しながら、慕情がせせら笑う。

    そう。その、つもりだった。

    いくら慕情の顔が良くても、体つきは立派な男で、平均男性よりも体格がいいくらいだ。
    こんなものを着たって似合うはずがないと、タカをくくっていた。

    それなのに、これはなんだ。

    確かに男の体なのだ。
    男の体を、黒のレースが覆っているだけなのだ。
    背中がばっくり開いたキャミソールタイプのワンピースを着た身長190cm近い男。字面でみると厳つい。けれど、ぜんぜん、いかつくない。
    これは、駄目なやつではないだろうか。
    風信が慕情の肌の味を知り尽くしているからいやらしく見えるわけではなく、一般男性も普通に勃つやつじゃあ、ないのだろうか。

    雫型のジュエリーが揺れる尾てい骨から目が離せなくなって、風信は唾を呑んだ。呑んでも、だらだらと唾液が溢れてくる。それでいて、喉はひりつくほどに渇く。
    やばい、と思って背のくぼみから無理やり視線を引きはがす。けれど、どこを見たって魅力しかなくて、逃げられない!
    ただでさえ綺麗なうなじから腰のラインにはラメが塗られ、さんざん舐ったあとのように光っている。尻たぶにはチークが塗られ、ふんわり腰を覆い隠すレースの下が、もみくちゃに掴みちらかした事後の火照り感をかもしている。
    えろい。
    男らしい筋の張った体が、かえって征服欲を煽る。幾度挑んでも簡単には潰れそうにないその体が音を上げるまで貫いてやりたくなる。

    ふん、と鼻を鳴らして、慕情が風信に歩み寄る。
    歩くと、レースが胸の尖りにひっかかるのか、衣装がかくかく揺れる。
    見てはいけないと視線を落とすと、白い足をこれまた真っ白なふわふわのスリッパが覆っている。あざとい。慕情のシシャモ足にならピンヒールだって似合いそうなのに、あえて室内履きなのがいい。肌触りが良さそうで、足に口づけながら脱がしたい。押し倒してから足でつまんで落としてもいい。いや、慕情は立位だと足の甲で俺のふくらはぎを撫で上げる癖があるから、それも……。
    頭の中で慕情が乱れだして、慌てて頭を振る。

    そうじゃない。よく見ろ。
    目の前の慕情は嫣然と微笑み唇を舐めてみたりしてくるが、完全にがち切れている。目が燃えている。それでいて、纏う空気は冷たい。普段なら仁王立ちして白目を剥いている時に纏う空気なのだが、体を捻って首筋や尻筋を強調して婀娜めいた視線を流してくるところがやばい。これは、慕情の魅力わからせをしてくるやつだ。自宅でしてくれるなら大歓迎だが、カメラの前でやられるのはまずい。衆人環視の元であろうとこんな薄着で煽ってこられたら風信の風信が大人しくできるはずもない。風信だって薄着で隠すものもないので、社会的にしぬ。風信だけじゃない。確実にベビードール慕情を見る以前の性癖がしんで、新たな性癖に目覚める輩が続出する。演技じゃない素の艶姿を誰にも見せたくないし、それで興奮されでもしたら許せない!

    「む、慕情、悪かった」
    「何が」
    「お前をこんな罰ゲームに巻き込んで悪かった。謝るから、着替えないか? ほら、これなんてどうだろう。今着てるものよりちょっとはマシになる」

    風信は衣類ラックに向き直って衣装を漁る。まあまあ慕情に似合わなさそうなピンクのふりふりを選び出して、慕情に押し付ける。
    慕情の額に、青筋が浮いた。

    「…………マシ…………?」

    慕情が一瞬白目を剥き、風信はほっとする。
    しかし白目は一瞬で、慕情はすぐに表情を整えて鏡に向かった。トレードマークのポニーテールを解くと、軽くかき上げて髪を乱す。そのままふんわり持ち上げ、ハチの上でお団子を作った。風呂上がりによくしている、ゆるい結び方だ。

    悪化した!

    それは良くない。毛量が多いおかげでかろうじて隠されていた背筋やうなじが、すっきり見えてしまう! それで何でまたラメを手に取る!? ただでさえ釘付けになる個所をどうして更に強調するんだ!!!!


    「これでいい。色物は色物らしく、下品な笑いをとってやる」

    ふんっと風信を睨みつけると、慕情はガウンも羽織らずに控室から出て行ってしまう。

    「おい馬鹿、むー」
    「おお、仕上げてきたねえ。風信はまだ?」

    慌てて呼び戻そうとしたけれど、慕情は廊下に待ち構えていたらしいプロデューサーにさっそく捕まってしまった。

    「まだ衣装が決められないみたいで。もう少しかかります」
    「ふうん? もし入るサイズがなかったら、下着の上にでもひっかけといてくれたらいいよ! どうせ衛生品で買い取りするから、破れたとしても問題ないし」

    プロデューサーが扉の向こうから風信にも声を掛けてくる。

    「思った通り、慕情で取れ高は十分だ。あ、騎馬して牛乳とか飲んでもらってもいい?」

    下世話な企画に定評のあるプロデューサーが評判通りのひらめきを発揮する。

    「問題ありません」
    「問題しかないわ!」
    「あー、はいはい。風信はNGね。あ、それなら風信は飲む前に溢して、慕情にかけちゃうっていうのはどう?」

    さらっと慕情が頷くのに被せて叫ぶが、響かない。ただただ状況が悪化する。

    「食べ物を粗末にするのは、ちょっと」
    「そうだねえ。じゃあ水ならいい?」
    「まあ、それなら」
    「OK。手配するわ。風信は慕情の下手の馬に乗って、必ず後ろに溢してね。前だとモザイクになっちゃうから。気をつけてよ」

    後ろだって卑猥だろうが、いっそ全身にモザイクをかけろと叫びかけて、どうにか耐える。仕事仕事、相手は有力なプロデューサーで、くそ色物企画でもこれは仕事だ。出がけに霊文にも言い含められたじゃないか。何なら台本の表紙にもでかでか美文字で『短気は損気』と……書いてくれていた筋書きがみえていやがったなこんちくしょう!

    とにかく慕情をこのまま一人で先にスタジオ入りさせるわけにはいかないので、言われた通り衣装を引っ掛けて廊下に飛び出す。
    あっぶなかった。
    セクハラじじいが鼻の下を伸ばして慕情を引き寄せ、ワンピースの裾をめくろうとしているのを間に入って阻止する。プロデューサーは鼻を鳴らして、風信の頭から爪先まで視線で辿った。

    「いいねえ。衣装がはちきれそう。もうワンサイズさげても良くない?」
    「そんなもん、痛くて5分も着ていられません」
    「そっかあ、ここも、いい具合に食い込んでるもんねえ。うん、よし、設営おわってるからスタジオに入って」
    「はい」

    肩ひもがきつい脇のあたりをするりと撫でられ、完全にセクハラだろうと舌打ちする。人の顔色を読むのは上手い男なので、ぱっと切り替えて仕事の顔に戻った。歩き出したプロデューサーの後ろにつく慕情の肩を掴んで引き留める。

    「なあ、着替えろって」
    「必要ない」
    「絶対、さっきのふりふりがいい」
    「あんなもの、私に似合うわけがないだろう。まあこれだって、清楚で高潔な美女がお好きなお前からみたら、滑稽なだけなんだろうけど?」
    「滑稽なもんか! エロすぎて誰にも見せたくないから、せめて似合わないようにしたいんだ!」

    ふうん、と、慕情は呟いた。
    足を止めて、風信と顔を合わせる。少し口が尖っているが、ガチギレモードから少し落ち着いた気がする。

    「ほら、さくっと着替えてくだらない罰ゲームなんて早く終わらせてしまおう」
    「……早く終わらせたいなら、着替えるのも手間だ。このままでいい」
    「よくない!」

    叫ぶ風信を慕情がじろりと睨む。

    「お前が、負けたんだろう? かわいい女の子にくだらない罰ゲームをさせない為に、私にこれを着て晒し者になれと、お前が言ったんだろう?」
    「言ってない!」
    「言ってなくても、やった。自分がいい格好をするために、お前が私にこれを着せたんだ」

    言い聞かせるようにゆっくり説いて、慕情は風信に体を寄せた。艶やかに笑んでするりと股間を撫で上げる。

    「せいぜいヤキモキしろ。私からお前への罰ゲームだ」

    囁いて、すぐに離れる。
    だがその一瞬で、風信の頭とあらぬところにがっちり血が昇った。

    「慕情!!!」
    「うるさい。しゃがみこんでいないで早く来い」
    「お前のせいだろうが!」
    「勝負に負けたのはお前だろう。何でも人のせいにするな」
    「そっっういう、事じゃない!」
    「立てないようなら置いていくからな。まあ、さっさと済ませるといい」
    「待て、お前一人で行かせるわけには」
    「廊下での喧嘩はコンプラの範囲でお願いしまーす」

    話の途中でADから静止が入り、余計に腹が立つ。この番組にコンプラを唱える資格があるのか!!??

    ばか、と唇だけで罵って本気で風信を置いていこうとする慕情の後ろ姿がエロくてエロくて歯噛みして、なんとか立ち上がって追いかけ背中に張り付いた。

    「人を前張り代わりに使うな」
    「おっ前、分かってて言ってるよな!!?」
    「さあ。誰かのじゅーやんにモザイクが必要な事なんて知らないが」
    「ああもう、それでいい!! それでいいから大人しく隠されてくれ!!」

    その後の収録は10分程度で終わったにも関わらず、一日中ダンスレッスンをする日の10倍は疲弊した。収録後も慕情の部屋には泊めてもらえたものの指一本触れさせてもらえず、苦しい夜を過ごした。この収録の放送回には深夜番組にも関わらず15パーセントを叩き出し、ベビードール慕情の切り抜きが削除不可能なほど出回ってしまい、臍を噛むことになる。コンサートの稽古場にいつもなぜかいる花城に嘲られ、慕情になぜあの番組に謝憐が出してもらえなかったか分かったかお前の性格が原因だと詰められ……べっこべこに凹んだ。

    ベビードールに誓う。
    今後一切、何があっても、慕情を蔑ろにしないと。
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    itHayuRi

    MOURNING夏の間に書きたかったけれどまとまらなかった三本

    『ベビードールとむーちん』
    そのまんま、下品な色物です。pixivに置かせてもらっている芸能AUのss。OOCひどいですが、しっかり風信と慕情のつもりで書いています。本当に下品ですが、楽しく書いています。

    ・大好きな风情作品(上質なセンシティブ。素敵な风情)とネタ被りしている。
    ・芸能AUは一話一エロと決めているのにいたせなかった。
    ベビードールとむーちん「馬鹿なのか?」
    「お前がな」

    思わずこぼれた呟きに、間髪入れず嫌味が被る。
    噛みつく気力もなく、風信は衣装を広げて上から下までじっくり眺め、ぽいと放った。

    「こんなもんを着て公衆の面前にたてって? クソだ。クソすぎる」
    「罰ゲームというのはそういうものだろう。着たくないなら勝てばよかったんだ。わざと負けてやったくせに、文句をつけるな」

    慕情は冷たく言い放って、ぎろ、と風信を睨みつける。
    てきぱきと衣装を選ぶと、メイク用の鏡の方へと去っていった。
    完全に、機嫌を損ねている。

    それもそのはず。
    コンサートの宣伝を兼ねて出演した深夜バラエティでのミニゲーム。時代劇に出演中の女優コンビとの、おもちゃの弓を使った射的対戦だった。
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    『ベビードールとむーちん』
    そのまんま、下品な色物です。pixivに置かせてもらっている芸能AUのss。OOCひどいですが、しっかり風信と慕情のつもりで書いています。本当に下品ですが、楽しく書いています。

    ・大好きな风情作品(上質なセンシティブ。素敵な风情)とネタ被りしている。
    ・芸能AUは一話一エロと決めているのにいたせなかった。
    ベビードールとむーちん「馬鹿なのか?」
    「お前がな」

    思わずこぼれた呟きに、間髪入れず嫌味が被る。
    噛みつく気力もなく、風信は衣装を広げて上から下までじっくり眺め、ぽいと放った。

    「こんなもんを着て公衆の面前にたてって? クソだ。クソすぎる」
    「罰ゲームというのはそういうものだろう。着たくないなら勝てばよかったんだ。わざと負けてやったくせに、文句をつけるな」

    慕情は冷たく言い放って、ぎろ、と風信を睨みつける。
    てきぱきと衣装を選ぶと、メイク用の鏡の方へと去っていった。
    完全に、機嫌を損ねている。

    それもそのはず。
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