【バンフリ】人戯え 友愛に恋心が芽吹く情景を目にして初めて、恋に焦がれる熱情を知った。俺以外の人間にはきっと認識することが叶わない原風景を思い返すたび「共有も共感も得られないなんてもったいないな」と、少し残念な気持ちが滲む。色彩に温度、匂いや味。人の感情から連想される色々な観念をはっきりと体感したのもそれが最初だ。
俺の想い人が俺に実らせた恋心はこうして口寂しさに咥えた溶けかけのキャンディみたいな、ほんのり切ない甘さをしている。舌先から伝導する人肌で磨かれていくうちにその身を擦り減らしていなくなってしまう。そんな淡いくちどけを壊したくなくて、俺は自らの熱視線をひた隠しにしながら見守ることに徹している。
俺の相棒かつ想い人、シルバ・セラ・バンビエーリとの出会いはただただ純粋な幼心から始まった。
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