【バンフリ】スーパーノヴァ・レムナント 自分との接吻の最中、相手はいったいどんな表情を浮かべているのだろうか。ほんの好奇心から薄目でパートナーの様子を盗み見る。
バンビとのキスに夢中になるフリオは目をつむったまま、恐らくは無意識に眉根を寄せている。興奮の合間に見せる顔つきがどことなく不安げなのを不思議に思い、つい見入っていたら舌を絡めるのがコンマ数秒とはいえ遅れてしまった。本来なら絡め取るはずだった舌先につつかれてしまい、否応なく相手にもバンビの思惑が知れ渡ることとなる。
普段とは異なる仕草に感情認識力を有するフリオは非常に敏感だ。蕩けていたゆえか緩慢に開かれる彼の瞼の震えをバンビは黙って眺めていた。落ち着き払っていると言うと聞こえはいいが、今になって焦ったところで遅すぎるという開き直りの態度でもある。愛欲の籠った瞳がまばたきをするたびに理性を宿し、やがて視線が真っ向からぶつかる。動じることのないバンビに反して、フリオは心底驚いたように飛び退いて二人の間には僅かな距離が生まれた。
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