語る世界、遥かなる沈黙〜エピローグ〜◇
「あら、旅人じゃない。こんなところで会うなんて奇遇ね」
「おう!ナヒーダもカフェに来ることがあるんだな!」
あの一件に一応のケリがついてから、自分とパイモンは砂漠方面の調査に出ていた。カーンルイアの情報を求めた旅路は特に身を結ぶこともなく、靴の中を砂だらけにしただけに終わった。
「パグラヴァの新作フレーバーが出てると聞いたのよ。甘党としては聞き逃せない情報でしょう?」
「……旅人、疲れ果てたオイラ達にはぴったりだと思わないか?」
「はいはい、それはまた後でね」
本当は少しお茶をしてからでもいいかも、と思ったけど、やっぱりそれよりも大事なことがある。
「あれからアルハイゼンの様子はどう?」
「アル……ごめんなさい、あの青年のことよね」
4207