シモンくんの誕生日の話(シュガシモ)「兄貴、誕生日おめでとうございます!」
事務所に入るなり見知った男共に囲まれた。それぞれ豪奢にラッピングされた荷物を持って頭を下げている。
面倒を見ている店の嬢にしつこく聞かれ、誕生日を教えてしまったが最後、舎弟にまで広まって毎年こうだ。
「気を使うなっつったろ」
「俺たちが祝いたいんですよ! さ、座ってください!」
かつての自分がそうだったから、兄貴を立てざるを得ない弟分の気持ちもわかる。だから無碍にもできない。テーブルに積み上げられていくプレゼントと日頃の感謝の言葉ひとつひとつに礼を伝えるので午前中が終わった。
やっと舎弟共が帰っていく。自分とシュガーだけになる。
一息吐こうと煙草を咥えると、電話が鳴る。受話器を取ればボスだった。
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