もう一度、納得してるんだ、俺は潔に勝ってから何処かおかしかった。
もう、勝つために必要な次のエゴが見つからなかった。
「御影くんは」
知ってるくせに…
「玲王くんは」
分かってるくせに…
別に嘲笑われたっていい。
自分が一番よくわかってる。
自分をよく知ってくれている人もいる。
最初は凄く嫌だった。
意味分かんないことばっか言われて、競わせられて、面倒くさいことばっかさせられて。
それがどれだけ必要なことなのかなんて考えなかったから。
でも、玲王がいて、斬鉄がいて、潔がいて、蜂楽がいて、ちぎりんがいて國神がいて、馬狼がいて…絵心がいて…
考えて考えて、それが楽しくて仕方なくなった。
一分一秒でも、もっともっと長くあの場にいたかったなんて今更気づいても遅いけど。
【凪、部活行くぞ】
ここには、うるさいくらい俺を誘いに来た玲王はいない…。
サッカーなんて知らなきゃよかった。
知らなきゃこんなに寂しい思いもしなくて済んだのに…。
あぁ…それでも、もう一度、あの場所に戻れたらそしたら、そしたら今度こそ最後の一人になるまでボールを蹴り続けるのに。