永倉さんと愛を伝え合う永倉「好きだよ、小鳥ちゃん、愛してる、何度だって言う。」
町で、たまたま耳にした言葉。
お互いに好意を伝えて照れたら負けというそれをお前とする想像をすると、想像の中のお前はあまりにも可愛かったものだから、すぐに試してみたくて屯所へと帰る足も急ぎ気味になる。
「小鳥ちゃん。」
屯所に戻ると、廊下ですれ違った平助との挨拶もそこそこに炊事場に向かう。
きっとお前はそこにいるから。
声をかければ、「おかえりなさい。」と笑顔で出迎えてくれるお前に俺はすぐに今日聴いた話をする。
途端に、顔を赤らめる小鳥ちゃんを抱きしめたい気持ちを抑えてこの言葉を口にする。
「大好きだよ、小鳥ちゃん。」
ありったけの思いを込めて、伝えるんだ。
「私も。その…っ好きです。」
思いに、お前は応えてくれるから。
「~~~っ。」
「あの、永倉さん。」
「…待って今噛み締めてる。」
「え。」
「大好き、愛してる。本当に愛して「待ってくださいこれじゃ私の順番が」…本当に真面目だね、お前はそういうところも含めてすごく好き。」
順番が、なんてお前は口を尖らすけどどうしょうもなく言葉が溢れて止まらないんだ。
「私も、心からお慕いしております。だから、」
だから、どうかどんな時も必ず戻ってきてください。
小鳥ちゃんはそう言って俺に笑顔を向けていた。
でも…
「ただいま、小鳥ちゃん。大好きだよ、小鳥ちゃん。愛してる。」
そんなお前は、俺より先に飛び立ってしまった。
もう抱きしめることも、お前の口から返事を聴くこともできなくなってしまった。
小さな墓石に手を合わせ、また来るからと背を向ける。
"たくさんの愛をありがとう"
その時吹いた風に、揺れた木々のざわめきがそう言った気がした。