異世界転生(略)⑤本編完結あらすじ(簡単ver.)
生贄の契約を破棄する交渉のため、魔王領に踏み入った勇者一行。魔王は恐怖の象徴として歴史上で語られてきたが──はたして、話は通じるのか?
⑤ 魔王編
境界線を越えると、そのまま森は続いていた。
慎重に、辺りを警戒しながら歩く。遭遇する生物や植物の種類が魔属性のものになってきた。別の区域に足を踏み入れたんだと実感する。
しばらく進むと、木々の間から、一つの街が見えてきた。
「ここ、本当に魔王領だよね……」
「ああ……」
そこに広がっていたのは、まるで王国に戻ったと錯覚するような懐かしい風景だった。
照りつける太陽の下、赤い煉瓦造りの城壁と、その周囲に広がる下町。遠くには大きな城の上半分が見え隠れしている。まるで王国の街並みをそのまま写したような光景――あの城の中に、魔王がいる。
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