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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    ロナドラ800字。

    ##94SS

    ■両片想い


     目が覚めたらどこか知らない部屋の中だった。ロナルドはあたりを見回す。白い壁と天井、床にはドラルクが倒れている。
    「おいドラ公、起きろ」
    「……ん……? なんだねここは」
    「『どちらかが相手の好きな人を当てられないと出られない部屋』だとさ」
     出口らしきドアの上にはっきりと書いてある。ロナルドはドアノブをガチャガチャ回した。開かない。なのでドアや壁を殴りつけ、銃で撃ったりもした。しかしそれらは無駄な抵抗に終わった。
    「きみでも開けられないとは。また新手の吸血鬼か」
    「だろうな」
     ロナルドはスマホを操作してVRCに連絡を取ろうとする。しかし圏外で繋がらない。思わず舌打ちする。
    「おい若造。こんなカードが落ちてたが」
     ドラルクは部屋の中に落ちていた一枚のカードを見せる。
    『ルール:一問一答で交互に質問を行って好きな人を当ててください』
    「ハァ~~~~?」
    「それは私の台詞だ。……まあとりあえず私からいくぞ。
     ――きみが好きな人は年上の巨乳か?」
    「……年上は合ってる」
     今度はロナルドの番だ。
    「お前が好きなのは人間か?」
    「そうだが。
     じゃあ次は私から。料理は上手いか?」
    「ああ、めちゃくちゃに上手い」
     この辺ですでにドラルクはなんとなく勘づいたが、まだ確信が持てない。
     そしてロナルドからまた次の質問が飛んでくる。
    「……退治人か?」
    「ああ、そうだよ」
    「へえー……」
     考え込む様子のロナルドに、業を煮やしたドラルクが賭けに出た。
    「ズバリ訊くが、その人はきみと同居しているかね」
     言った瞬間、ロナルドの顔が真っ赤になる。
    「そ、そうだ」
     その返事を聞いてドラルクは宣言する。
    「ロナルドくん、きみが好きなのは私だね!?」
     そこで部屋のドアが開く。お互いちょっと気まずい二人は外へ出る。
    「てか俺ばっか好きな奴バレんの不公平じゃね!?」
    「ええいうるさい、私が好きなのもきみだよこの青二才!」
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    高間晴

    DOODLEチェズモク800字(いつもより字数オーバー気味)。珍しく二日酔いのモクさん。■二日酔いの朝


     朝、モクマはベッドから身を起こしてずきずき痛む頭を抱える。二日酔いなんて酒を飲み始めた年の頃以来経験していない。だが、昨夜はチェズレイが隣でお酌なんてしてくれたから嬉しくなって、ちょっとばかり飲みすぎた気がする。それ以降の記憶がない。
     ふいに部屋のドアをノックする音が聞こえた。チェズレイの声が「朝ごはんが出来ましたよ」と告げる。モクマは返事をして部屋を出ると洗面所へ向かう。冷たい水で顔を洗うと少しさっぱりした気がして、そのままダイニングへ。
     おはようと挨拶をすればチェズレイが鮮やかに微笑む。味噌汁のいい匂いがする――と思ったのは一瞬で、吐気をかすかに覚えた。
     ――あ、これ完全に二日酔いだわ。
     典型的な症状。食べ物の匂いがすると胃のあたりが気持ち悪くなる。頭痛もぶり返し始めた。だがチェズレイがご飯をよそってくれているのを見ると、どうにも言えない。
     朝ごはんはやっぱり白米がいいな、なんて冗談半分で言ったら、その日のうちに炊飯器を取り寄せて味噌汁の作り方までマスターしてしまうのがこのチェズレイという男だ。そこまで想ってもらえるのは嬉しいが、時々、ほんの少しだけ 892

    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。チェズが悶々としてるだけ。■最近の悩み


     ミカグラ島での一件が落ち着いた後、チェズレイとモクマは二人で世界征服という途方も無い夢を目指すことになった。
     まずは下準備から、というわけで今はヴィンウェイのセーフハウスでゆっくり計画を練っている最中。だが、チェズレイの頭の中は相棒のことでいっぱいだった。
     あァ……あの人を抱きたい。
     あの指切りの時に生死を共にする約束を交わしたとはいえ、あの時には心の触れ合いさえあればよかった。それが二人で暮らすうちに、どういうわけか直接もっと肌で触れ合いたいと思い始めてしまったのだ。この、自他共に認める潔癖症の自分が。
     そこまで考えて、チェズレイは書斎の陽光射し込む窓辺に立つと、さきほどモクマが淹れてくれたカフェオレを一口飲んだ。それはこれまで飲んでいたブラックコーヒーにはない優しい風味で、神経が和らぐ気がする。
     あの人はファントムに似ている。だが決定的に違うのは、あの人は自分を裏切らないという確信があるところ。
     でも――あの人はヘテロだし、誰が見ていてもわかるくらいずるくて逃げ癖がある。いっそのこと自分が女装して抱かれればいいのか、なんて考えるが問題はそこじゃない。 871

    高間晴

    DONEお題箱からのリクで風邪を引くチェズと看病するモさんの話。チェズモク。■いちばんの薬


     とある国で拠点にしているビル。上階にある執務室にて。
     モノトーンでまとめられた無駄のないスタイリッシュなこの部屋は、組織を率いるチェズレイの好みに合わせたものだ。室内にはドアの前に一人、チェズレイの側近である黒服の男が控えている。そんな中でチェズレイは黄昏の景色が映る窓を背にして机に座り、部下から提出された麻薬の密輸ルートに関する資料に目を通している。
     ――頭が痛む。これはたぶん熱もあるなと、チェズレイはそんなことを頭の隅で考えながら、涼しい顔を崩さない。
     そこへノックの音と「チェーズレイ」と呼ぶ声がしたので、はっと顔を上げてしまう。黒服が心得たように黙ってドアを開ける。そこには予想通りモクマの姿があった。書類を手に机までグレーのカーペットの上を下駄で歩いてくる。顔を見るのは二週間ぶりだ。チェズレイはすぐさま目の前の愛しい相棒兼恋人にハグしたかったが、部下の手前、そういうわけにもいかない。
    「ただいま~。久しぶりだね」
    「おかえりなさい、モクマさん」
    「お疲れさん。これ、俺がニンジャジャンの仕事やりながら新しく手に入れた、人身売買に関わってる組織のリストね」 2295