高間晴☆quiet followDONEフォロワーさんがモさんの語る怖い話を書いていたので自分も便乗して書いてみた。全然怖くないけどホラーに全く耐性がない人は一応気をつけてください。 #バディミッションBOND buddyMissionBond ##BOND ■こわいはなし? 深夜。ルークとモクマがオフィス・ナデシコのキッチンで、夜食に冷凍されていたピザトーストを焼いて食べている。飲み物はコーラだ。行儀悪くも焼けたそばからオーブントースターの前で立ったまま食べているが、それを咎める者はいまここにいなかった。「いや~、深夜にこの味は罪ですね。とろけるチーズと絡む酸味のあるトマトソース。こんがりしたサラミの旨味、トーストはカリカリなのに中はふわっとしてて……」「ルーク、もう一枚余ってるけど食べる? おじさんが食べるとカロリーオーバーになっちゃうからさ」 モクマは笑いながら皿に残った最後の一枚を示す。ふたりとも二枚ずつ食べたのだが、五枚入りを全部焼いたのでちょうど一枚余るのだ。 赤いラベルのペットボトルから口を離して、ルークは元から大きなエメラルドによく似た目を丸くする。「ええっ、いいんですか」「いいのいいの。その代わりさ、おじさんの昔話聞いてくれる?」 モクマがペットボトル片手に空いた手をひらひら振りながら笑うと、ルークは一も二もなくうなずいた。「モクマさんの話なら頼まれなくても聞きます! むしろ聞かせてください」「じゃあそれ食べながら聞いてよ」 ルークは一枚残ったピザトーストを手にして、それにかぶりつく。「……あれはおじさんが橋の建設現場で、作業員として働いていた頃の話なんだけど」 ルークは口をもごもごさせながら、語り始めたモクマの顔を見つめた。モクマは視線を床の方へ落とすように目を伏せる。 ――まあ建設現場の作業員なんて力仕事でしょ。おじさん力仕事は得意だからけっこう頑張って働いてたのよ。体動かしてる間は余計なこと考えずに済むし。 でもさ、張り切りすぎちゃったのかな。夏の蒸し暑い日に疲れて汗かいたまま風呂にも入らず、仮住まいのアパートで寝落ちしちゃったから、ちょっと風邪引いたの。朝起きたら頭は割れるように痛いし意識は朦朧としてるから熱もある自覚あったし。しかも喉も痛くて声ガラガラでさ。その声で仕事先に電話で「今日は休ませてください」って伝えたらさ、「ゆっくり休んで治せよ」って言われちゃった。 さて、喉の渇いたおじさんはコップを出すのも億劫で、流しで蛇口から直接水出して飲んで、もう寝ようと思ってフラフラしながら布団に潜り込んだわけ。もう最悪だったね。こんな夏の日に震えるくらいの寒気は止まらないし。でもまあしょうがない、悪いのは自分だって思って朦朧とした意識のまま落ちるように寝ちゃったの。 んで、ここまでがよくある話。――え? あー、前置きが長くてごめんね。ここからが本当に聞いてほしかった話。 風邪とか病気の時ってよく変な夢見るじゃない? 俺もたぶんそれだと思ってるんだけど、寝たと思ったら目が覚めたの。窓からまだ朝日射してるし、体感で二十分も経ってないからおかしいなって思いながら、枕元の携帯で時間を見ようとしたら電源ボタンがないわけ。必死で考えたけどなんで電源ボタンがないのかわかんなかった。熱で頭がぼうっとしてたからだね。なんで電源ボタンがないんだろう、なんでないんだろう、って思いながらまた疲れて寝落ちしちゃった。 と思ったらまた俺はアパートの部屋で目を覚ました。さっきと同じ横向きで寝たままの体勢で。あーさっきの夢だったんだ。道理で携帯に電源ボタンがないわけだよ。と思ったら玄関からピンポンが聞こえてね。「すみませーん、水道局の者ですけど」って聞こえるもんだから、ああ水道代払えてなかったかもって思い当たる節が。だから出なくちゃ、って思うんだけど体は動かなくて声も出せなくて。今考えたらおかしいんだけどね。 はっと気づいたらまたアパートの部屋の中で布団に横向きに寝たまま。しかも誰か、子供数人が部屋の窓の外を笑いながら走り回ってる音がする。おかしいよね。ここアパートの二階なんだよ。なんだ夢か、って思ったらまた目が覚めた。 さすがに俺も本格的におかしいと思い始めたのはこのへんから。だって横向きに寝てる俺に覆いかぶさるように黒い影があってね。なんかそいつずっとブツブツブツブツ呟いてるんだよね。でも俺、金縛りみたいで指先ひとつ動かせないし声も出せないわけ。必死で視線だけ動かすと、そいつ、顔のところだけぽっかり穴が空いててさ。ヘタクソなチョコドーナツみたいに天井が穴から透けて見えた。 また俺は布団の中で目を覚ました。何度目だよ、と思ってたらバンと玄関が開いてさ、制服を着た作業員みたいな男が飛び込んできた。で、俺の顔を覗き込んでさ。「よかった、あんたには名前が書いてある!」って。俺、玄関には鍵かけといたはずなんだけど。ていうかあんた誰? 名前が書いてあるってどういうこと? って聞こうとしたら声が出なくて。で、そいつの顔がさ、ぐにゃあって歪んで。コーヒーに牛乳注ぐと白と黒が混ざるじゃない? あんな感じ。顔のパーツがぐちゃぐちゃでのっぺりな顔になって。でもってそいつがイヒヒヒヒ! って高笑いし始めたから俺はガタガタ震えながら、指先ひとつも動かなくて逃げ出せない恐怖で失神した。 次に目を覚ましたのは昼前、十一時頃だった。エアコンついてないし暑さで目が覚めたんだろうね。今度はちゃんと体が動くし変な現象もない。だから、うっわー起きても起きても夢の中なんて嫌な夢だったなあ、ってフラフラしながらまた水を飲みに台所まで行ったわけ。 ちなみにその時俺の住んでたアパートはワンルームで台所の流しが兼洗面所だったの。だから朝にひげを剃るためのスタンドミラーが置いてあったんだ。さっきみたいに直接蛇口から水を飲もうとして体を屈めたらさ、書いてあったんだよ。鏡文字だけどすぐに分かった。 ――俺の、顔にさ。のっぺらした目も鼻も口もない肌色に『円道黙真』って、マイカ文字を筆で書いたみたいな名前が。 俺は腰を抜かしてその場にへたり込んだ。その時ぐらっと来てね、また意識を飛ばしちゃった。 次に目が覚めたら台所のシンク前で、外は暗くなってた。もう俺はどこからどこまでが夢で現実なのかわからなくて、怖くてその場にうずくまったまま動けなかった。そのまままんじりともせず次の朝を迎えたよ。 朝日が射し込んでくると、なんでか、もう大丈夫なんだなって安心感があった。それに不思議と体が軽くて、風邪も治ってた。おそるおそる鏡を見たけどそこにあったのは元の俺の顔でさ。シャワー浴びて仕事に向かったら仲間に「風邪は治ったみたいだな。よかったよかった」って笑って肩を叩かれたよ。 ――はい。おじさんの話はここでおしまい。いやー長い割にオチがなくてごめんね? えっどうしたのルーク。「怖かった」? ……やだなぁ。熱出した時に見るただの悪夢の話だよ。 でもおじさん、あれから夢と現実の区別がつきにくくなっちゃって――ってのはまた別の機会だね。……さ、コーラ飲んだら寝ようね。ルーク。Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! freqpopularsnackothersPayment processing Replies from the creator Follow creator you care about!☆quiet follow 高間晴DOODLE敦太R18pass:18↑?すけべどうやったら描けるねん…… 高間晴DOODLE普段すけべを描かない人間の精一杯の敦太すけべpass:18↑? 高間晴DOODLE敦太すけべらくがきpass:18↑? 高間晴PAST過去の文スト短歌。カップリングとかはなんでもありのカオス。 40 高間晴DOODLE接吻せい……の心持ちで描いた 高間晴DOODLE related works ココノカSPOILER幻覚なので全くネタバレではないけど1072話の発言ネタ きくちゃんDOODLEサタン様犬好きかと思いきやロクサーンみたいなパターンもあるのでやっぱ人外思考なのかな~ 2watoyoDOODLE【朝のボールペン落書き】【日楠♀】【先天性女体化】日高先輩×男装後輩サキュバス家系楠ちゃん。海編。本当に気にしてるのは。 nnnnnnoodderaDONE【腐向け】チャバが酔ってハ崎さんに甘えてる漫画。ハ崎さんがトイレに行くのを我慢していたりする。 4 きくちゃんDOODLEサタン様犬好きかと思いきやロクサーンみたいなパターンもあるのでやっぱ人外思考なのかな~ ちゃづDONE描いたやつその1※茨あん、ジュンあん 17 わたさくDOODLE ちゃづDONE描いたやつその1※茨あん、ジュンあん 17 べこDOODLEピンク色のバレンタインなヨウグズ🍫 recommended works GACHA_gazankaPROGRESS原稿したアピール そりゃソーダDONE顔がよき 高間晴Valentine誰からのチョコでしょう? すいまーMOURNINGすべてデジタルで描く練習してた一カラ今はもう書き方変わっちゃって続きが描けなくなってしまった… 5 高間晴DONEリプきたセリフで一コマ描くタグ ぐPASTエムキューブにあげてた人力の絵とか出てきたので記録 9 GACHA_gazankaDOODLEそわそわ ぐMOURNINGぼつ! 高間晴MAIKINGチェズモクの話。あとで少し手直ししたらpixivへ放る予定。■ポトフが冷めるまで 極北の国、ヴィンウェイ。この国の冬は長い。だがチェズレイとモクマのセーフハウス内には暖房がしっかり効いており、寒さを感じることはない。 キッチンでチェズレイはことことと煮える鍋を見つめていた。視線を上げればソファに座ってタブレットで通話しているモクマの姿が目に入る。おそらく次の仕事で向かう国で、ニンジャジャンのショーに出てくれないか打診しているのだろう。 コンソメのいい香りが鍋から漂っている。チェズレイは煮えたかどうか、乱切りにした人参を小皿に取って吹き冷ますと口に入れた。それは味付けも火の通り具合も、我ながら完璧な出来栄え。「モクマさん、できましたよ」 声をかければ、モクマは顔を上げて振り返り返事した。「あ、できた? ――ってわけで、アーロン。チェズレイが昼飯作ってくれたから、詳しい話はまた今度な」 そう言ってモクマはさっさと通話を打ち切ってしまった。チェズレイがコンロの火を止め、二つの深い皿に出来上がった料理をよそうと、トレイに載せてダイニングへ移動する。モクマもソファから立ち上がってその後に付いていき、椅子を引くとテーブルにつく。その前に 2010