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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    敦→太。まだ片想い。

    ##文スト

    あの人となら、 今日も太宰はデスクで仕事もせずに愛読書を開いている。それが何かと云えば『完全自殺読本』。数年前に手に入れたその稀覯本はびっしり付箋が貼り付けられている。
    「ねえねえ、国木田君。入水と練炭だったらどっちが楽に死ねるかな」
    「知らん。というか仕事をしろこの自殺嗜癖が。死ぬなら過労死でもしろ」
    「厭だよぉ。私は苦しいの嫌いなのに」
     向かいのデスクでPC作業をしながら、国木田がファイルの角で太宰の頭を小突く。そこへ隣のデスクから敦がおずおずと割り込んできた。
    「あの、練炭自殺はすごく怖いって聞いたことありますよ」
    「えっ、なになに? 敦君も自殺に興味あるの?」
     太宰が仲間を見つけたとばかりに目を輝かせる。その様子を見ても国木田は何も云わない。敦は書類の束を整理しながら続けた。
    「練炭自殺。つまり一酸化炭素中毒による死。その死に顔から楽にあの世に行けると思われがちですが、その実はじわじわと呼吸ができなくなる恐怖を感じながら死ぬ事になるらしいです」
    「うわあ、敦君よく知ってるねぇ。
     そうなんだよ! 入水は冷たいし練炭は怖い!」
     太宰が食い気味に敦に迫る。
    「かと云って首吊りも苦しいしねえ。どうしよう。睡眠薬をお腹いっぱいに飲む?」
    「それはそれで失敗した時が怖い死に方ですね……」
     敦は内心焦った。まさかここまで食いついてくるとは。それをさすがに見かねたのか、いつの間にか席を離れていた国木田から声が飛んでくる。
    「おい小僧。こっちへ来い」
    「あ、はい。なんでしょう」
     敦が席を立って棚の前にいる国木田に近づいた。彼は何時もの手帳を片手に溜息をついて、小声で敦に問いかける。
    「お前、わざわざ調べただろう」
    「ば、バレました?」
     太宰が自分がいかに楽に死ぬかを日々研究しているので、敦は下心込みで自分でも調べてみたのであった。
    「お前にはあんなのになって欲しくないから忠告する。深入りはやめておけ」
     国木田は『あんなの』のところで本を読み耽る太宰を示す。敦は「はい、そうします」と、笑いながら嘘をついたのだった。
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    ▶︎古井◀︎

    MOURNING上忍モを抱きたいチェの導入だけ
    まったく本文が書けないので供養
    「忍者のあなたを抱いてみたいのですが」
    「悪いけどおじさんには全然意味がわからない」
     率直に言って滑稽極まる光景だった。
    週末、恋人とともに美味しい料理とお酒を楽しみ、映画を見ながらのんびり過ごしたのちに訪れた、とろけるように甘いひと時。
     お互いばっちり身体を清め、ベッドに腰掛けてローブを紐解き、さあこれから一層熱く甘い夜を――とモクマが、すっかり雄の顔を滲ませた相棒に組み敷かれながら、人知れず胸を高鳴らせていた矢先の出来事だった。
    「あなたがミカグラで時折見せた、あの上品な喋り方。あれをしているあなたとセックスしてみたくて」
    「………」
     こてん、とかわいらしく小首をかしげている美貌の男が、恋人たるモクマによりにもよってイメージプレイを要求しているのだと気付くのには、さしもの忍者も数瞬を要した。
     というより、思考が理解を阻んだ。そんな、ちょっとした楽しいレクリエーションに誘うみたいなノリで言わないでほしい。普段の配慮と尊重に長けた、最高の相棒は一体どこにいったんだ?
    「臨時休業です」
    「複雑な心を秒で読まんでほしいし、素敵な相棒に休業して欲しくなかったなあ…」
     しょんぼりと肩 1284