Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    高間晴

    @hal483

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 385

    高間晴

    ☆quiet follow

    敦→太。まだ片想い。

    ##文スト

    あの人となら、 今日も太宰はデスクで仕事もせずに愛読書を開いている。それが何かと云えば『完全自殺読本』。数年前に手に入れたその稀覯本はびっしり付箋が貼り付けられている。
    「ねえねえ、国木田君。入水と練炭だったらどっちが楽に死ねるかな」
    「知らん。というか仕事をしろこの自殺嗜癖が。死ぬなら過労死でもしろ」
    「厭だよぉ。私は苦しいの嫌いなのに」
     向かいのデスクでPC作業をしながら、国木田がファイルの角で太宰の頭を小突く。そこへ隣のデスクから敦がおずおずと割り込んできた。
    「あの、練炭自殺はすごく怖いって聞いたことありますよ」
    「えっ、なになに? 敦君も自殺に興味あるの?」
     太宰が仲間を見つけたとばかりに目を輝かせる。その様子を見ても国木田は何も云わない。敦は書類の束を整理しながら続けた。
    「練炭自殺。つまり一酸化炭素中毒による死。その死に顔から楽にあの世に行けると思われがちですが、その実はじわじわと呼吸ができなくなる恐怖を感じながら死ぬ事になるらしいです」
    「うわあ、敦君よく知ってるねぇ。
     そうなんだよ! 入水は冷たいし練炭は怖い!」
     太宰が食い気味に敦に迫る。
    「かと云って首吊りも苦しいしねえ。どうしよう。睡眠薬をお腹いっぱいに飲む?」
    「それはそれで失敗した時が怖い死に方ですね……」
     敦は内心焦った。まさかここまで食いついてくるとは。それをさすがに見かねたのか、いつの間にか席を離れていた国木田から声が飛んでくる。
    「おい小僧。こっちへ来い」
    「あ、はい。なんでしょう」
     敦が席を立って棚の前にいる国木田に近づいた。彼は何時もの手帳を片手に溜息をついて、小声で敦に問いかける。
    「お前、わざわざ調べただろう」
    「ば、バレました?」
     太宰が自分がいかに楽に死ぬかを日々研究しているので、敦は下心込みで自分でも調べてみたのであった。
    「お前にはあんなのになって欲しくないから忠告する。深入りはやめておけ」
     国木田は『あんなの』のところで本を読み耽る太宰を示す。敦は「はい、そうします」と、笑いながら嘘をついたのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏👏☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    高間晴

    DOODLE字書きだって洒脱モを書きたかった……というだけのアレ。チェズモク。■オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ


     それは突然の雨だった。
     昨日、チェズレイとモクマの二人はとある国に拠点を移した。モクマがそのセーフハウスの近辺を、どんな店があるのか見て回っていた。
     ――あそこのラーメン屋、うまそうだな。チェズレイはきっとついてきてくれないだろうけど。
     なんて思いながら歩いていく。するとみるみる空が曇って雨が降り始めた。
     まずい、傘なんて持ってないぞ。
     モクマはとっさに青藍の羽織についていたフードをかぶると、慌てて下駄を鳴らしながらセーフハウスに向かってアスファルトを駆け抜けた。雨はどんどん激しさを増していく。確かにスコールが多い国だとは聞いていたけれど。顔に大粒の雨のしずくが次々と当たるのがわかる。
     約二十分の後。セーフハウスの玄関を開けて駆け込むと、チェズレイが慌てて出迎える。
    「モクマさん……! いま迎えに行こうとしていたところで――」
    「ただいま、チェズレイ。いや~いきなり降り出すからびっくりしちゃった」
     言いながらフードを脱ぐと、羽織がだいぶ雨を吸って重くなっているのに気づく。全身濡れ鼠だ。「待っていてください」と言い置いてチェズレイが 1511

    FUMIxTxxxH

    DONElife is yet unknown.

    モクマさんの手について。
    諸君がワヤワヤやってるのが好きです。
     事の起こりは、路傍の『それ』にルークが興味を示したことだ。

    「モクマさん、あれは何でしょう?」
     大祭KAGURAから数週間後・ブロッサム繁華街。
     夜とはまた趣を異にする昼時の雑踏は穏やかながら活気に満ちている。人々の隙間から少し背伸びしてルークの視線に倣うと、路地の入り口、布を敷いた簡素なテーブルを挟んで観光客と商売人らしい組み合わせが何やら神妙な顔を突き合わせているのが見て取れた。手に手を取って随分と熱心な様子だが、色恋沙汰でもなさそうで。
    「観光地ともなれば路上での商いはいろいろあるけども。ありゃあ……手相を見てるんだな」
    「手相……様々ある占いの中で、手指の形や手のひらに現れる線からその人を読み解くといったものですね」
     両腕に荷物を引っ下げたままタブレットでちょちょいと字引する手際はまさに若者のそれで、実のところモクマはいつも感心している。
    「こんな道端で……というよりは軒先を借りて営業しているんでしょうか」
    「案外こういう場所の方が一見さんは足を止めやすいもんだよ。そも観光なんて普段見ないものを見て歩くのが目的だもの。当たるも八卦当たらぬも八卦、ってやつさ。」
     益体 8628