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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    敦太800字。一緒にお風呂。

    ##文スト
    #敦太
    dunta

    背をなぞる 太宰と敦が住む安アパートの風呂は、言わずもがな狭いし古い。トイレと風呂が別なだけまだましなのかもしれないが。
     ポートマフィア時代は、こんなアパートと比べ物にならないくらい広くて豪奢な部屋に住んでいたけど、今のほうが満たされていると太宰は思ってしまう。
     ――それもこれも、今の私には敦君がいるから。
     太宰が湯船に浸かっていると、敦が帰ってきた。そのまま浴室から声をかけると彼は入ってきて、洗い場で髪を洗い始めた。
     もこもこ泡立つシャンプーが温かい湯気の中で弾けていくにつれ、二人で共有している香りが浴室に広がっていく。
     敦は髪を洗うのに専念していて、目も閉じている。太宰はその背に人差し指を這わせた。
    「ひゃっ!? 太宰さん!?」
     驚いてびくんと背を反らせるのが可笑しくて、太宰は小さく笑いをもらした。
    「敦君、前よりずっと逞しくなったよねぇ」
    「そ、そうですか?」
     ここ何年かで敦の身長は伸びたし、以前は筋張ってばかりいた体に筋肉もついてきている。太宰はぺたぺたと、シャンプーの泡が伝う敦の背を触っていく。
     硬く柔い筋肉の上で張りつめた皮膚の質感。熱でうっすら赤く浮き出るみみず腫れ。それを見て太宰はうっとりと目を細める。昨夜につけた傷だ。そして、この後にも上書きすることになるであろう所有の証。
     二人しか知らない傷を指先でなぞっていくと、突然に熱い手のひらが太宰の手をとらえた。
    「――そこまでにしてください。我慢できなくなっちゃいますから」
     顔を逸らしたままそう言われる。太宰は一瞬驚いたが、泡の中から覗く敦の耳が赤く染まっているのを見て満足げに微笑んだ。そして、敦の手をゆっくりほどくと、そのままシャワーの栓をひねる。突然湯を浴びせられた敦はまた驚いて声を上げる。
    「わっ!?」
    「早く体も洗って、こっちへおいで」
     雨に似た水音の外から、聞こえるか聞こえないかの声でそうささやく。それから太宰は熱を孕む頬を隠そうと、湯船に沈んでいくのだった。
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    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。ポッキーゲームに勝敗なんてあったっけとググりました。付き合っているのか付き合ってないのか微妙なところ。■ポッキーゲーム


     昼下がり、ソファに座ってモクマがポッキーを食べている。そこへチェズレイが現れた。
    「おや、モクマさん。お菓子ですか」
    「ああ、小腹が空いたんでついコンビニで買っちゃった」
     ぱきぱきと軽快な音を鳴らしてポッキーを食べるモクマ。その隣に座って、いたずらを思いついた顔でチェズレイは声をかける。
    「モクマさん。ポッキーゲームしませんか」
    「ええ~? おじさんが勝ったらお前さんが晩飯作ってくれるってなら乗るよ」
    「それで結構です。あ、私は特に勝利報酬などいりませんので」
     チェズレイはにっこり笑う。「欲がないねぇ」とモクマはポッキーの端をくわえると彼の方へ顔を向けた。ずい、とチェズレイの整った顔が近づいて反対側を唇で食む。と、モクマは気づく。
     ――うわ、これ予想以上にやばい。
     チェズレイのいつも付けている香水が一際香って、モクマの心臓がばくばくしはじめる。その肩から流れる髪の音まで聞こえそうな距離だ。銀のまつ毛と紫水晶の瞳がきれいだな、と思う。ぱき、とチェズレイがポッキーを一口かじった。その音ではっとする。うかうかしてたらこの国宝級の顔面がどんどん近づいてくる。ルー 852

    FUMIxTxxxH

    DONElife is yet unknown.

    モクマさんの手について。
    諸君がワヤワヤやってるのが好きです。
     事の起こりは、路傍の『それ』にルークが興味を示したことだ。

    「モクマさん、あれは何でしょう?」
     大祭KAGURAから数週間後・ブロッサム繁華街。
     夜とはまた趣を異にする昼時の雑踏は穏やかながら活気に満ちている。人々の隙間から少し背伸びしてルークの視線に倣うと、路地の入り口、布を敷いた簡素なテーブルを挟んで観光客と商売人らしい組み合わせが何やら神妙な顔を突き合わせているのが見て取れた。手に手を取って随分と熱心な様子だが、色恋沙汰でもなさそうで。
    「観光地ともなれば路上での商いはいろいろあるけども。ありゃあ……手相を見てるんだな」
    「手相……様々ある占いの中で、手指の形や手のひらに現れる線からその人を読み解くといったものですね」
     両腕に荷物を引っ下げたままタブレットでちょちょいと字引する手際はまさに若者のそれで、実のところモクマはいつも感心している。
    「こんな道端で……というよりは軒先を借りて営業しているんでしょうか」
    「案外こういう場所の方が一見さんは足を止めやすいもんだよ。そも観光なんて普段見ないものを見て歩くのが目的だもの。当たるも八卦当たらぬも八卦、ってやつさ。」
     益体 8628