Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    高間晴

    @hal483

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 399

    高間晴

    ☆quiet follow

    敦太800字。一緒にお風呂。

    ##文スト
    #敦太
    dunta

    背をなぞる 太宰と敦が住む安アパートの風呂は、言わずもがな狭いし古い。トイレと風呂が別なだけまだましなのかもしれないが。
     ポートマフィア時代は、こんなアパートと比べ物にならないくらい広くて豪奢な部屋に住んでいたけど、今のほうが満たされていると太宰は思ってしまう。
     ――それもこれも、今の私には敦君がいるから。
     太宰が湯船に浸かっていると、敦が帰ってきた。そのまま浴室から声をかけると彼は入ってきて、洗い場で髪を洗い始めた。
     もこもこ泡立つシャンプーが温かい湯気の中で弾けていくにつれ、二人で共有している香りが浴室に広がっていく。
     敦は髪を洗うのに専念していて、目も閉じている。太宰はその背に人差し指を這わせた。
    「ひゃっ!? 太宰さん!?」
     驚いてびくんと背を反らせるのが可笑しくて、太宰は小さく笑いをもらした。
    「敦君、前よりずっと逞しくなったよねぇ」
    「そ、そうですか?」
     ここ何年かで敦の身長は伸びたし、以前は筋張ってばかりいた体に筋肉もついてきている。太宰はぺたぺたと、シャンプーの泡が伝う敦の背を触っていく。
     硬く柔い筋肉の上で張りつめた皮膚の質感。熱でうっすら赤く浮き出るみみず腫れ。それを見て太宰はうっとりと目を細める。昨夜につけた傷だ。そして、この後にも上書きすることになるであろう所有の証。
     二人しか知らない傷を指先でなぞっていくと、突然に熱い手のひらが太宰の手をとらえた。
    「――そこまでにしてください。我慢できなくなっちゃいますから」
     顔を逸らしたままそう言われる。太宰は一瞬驚いたが、泡の中から覗く敦の耳が赤く染まっているのを見て満足げに微笑んだ。そして、敦の手をゆっくりほどくと、そのままシャワーの栓をひねる。突然湯を浴びせられた敦はまた驚いて声を上げる。
    「わっ!?」
    「早く体も洗って、こっちへおいで」
     雨に似た水音の外から、聞こえるか聞こえないかの声でそうささやく。それから太宰は熱を孕む頬を隠そうと、湯船に沈んでいくのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    高間晴

    DONEチェズモクワンライ「傷跡」。一緒にお風呂。■揃いの傷跡


    「はぁ~いい湯だ……」
     二十年に渡る放浪時代や、あのミカグラ島であった一連の事件。その間、ゆっくり湯に浸かるなんて考えられなかった。
     場所はヴィンウェイのセーフハウス、バスルーム。広々とした大理石調のサーモタイルが敷かれた空間。そこに鎮座する大きめの猫足バスタブに湯を張って、モクマは風呂の時間を楽しんでいた。
     実は家主から先ほど連絡があり、『帰りが少し遅くなります』とのことだったので先に風呂を済ませてしまおうと思ったのだ。
     ざば、と湯船から湯をすくって顔に浴びると、生き返るような心地がする。鼻歌でも歌いたい気分だ。ふと顔を上げれば、ラックにはチェズレイが使っているシャンプーや洗顔料、ボディソープのたぐいがずらっと並んでいるのが目に入る。マメな男だなぁ、なんて感想しか出てこない。
     そこへ声が飛び込んできた。
    「モクマさん、入ってもいいですか?」
     ああ、あれか。あの洗顔料、確か洗面所に置いてあるやつだったはず。忘れてたのを取りに来たのかな、なんて思ったモクマは軽く返事した。
    「はいよ。どうぞ」
    「では失礼して」
    「……って、お前どうしたの!?」
     モクマが驚い 1663