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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    敦太800字。薔薇を一輪。

    ##文スト
    #BSD
    #敦太
    dunta

    貴方しかいない「好きって言ったら怒る?」
     出し抜けに太宰からそう訊かれて、敦は何のことだろうと口を半分開いたまま振り返った。
     今は事務所の応接室に飾る花を敦が生けているのだが、傍のソファに太宰がゆったり沈み込んでいる。
     ――好き? 太宰さんが好きって言うと僕が怒るかもしれないもの……?
    「なんの、ことですか……?」
     敦はおそるおそる訊いてみた。心臓がばくばくして口から飛び出そうなのを堪えながら。
    「私が、敦君以外の人を」
     予想した通りの台詞を口の端に乗せて太宰は微笑む。
    「勿論、仮定の話としてだけど」
     敦は重いため息をついた。
    「……怒りませんよ。僕なんかよりその人のほうが太宰さんにお似合いでしょうし」
     そこで太宰は眉根を寄せて不機嫌な顔をした。
    「そこは怒るところじゃないの? 君は恋人を繋ぎ止めておくこともできないのかい?」
     本来なら怒っていいところだと、太宰は敦を見据える。
     敦は花瓶に生けた花を整えて、太宰の傍に近づいた。両手を胸の前で力なく握りしめると、体の横に下ろす。
    「だって僕には、人より勝るものが何もないんです。太宰さんを縛ることなんてできない」
     俯いてそう云うものだから、太宰は焦れてソファから身を起こした。
    「敦君、君はもっと自分に自信を持ったほうがいい」
     敦の手を取り、両手で包む。花の香りが二人の間に満ちていく。
    「私は君のことをこんなに好いているというのに」
     言葉だけでは伝わらないのかな。太宰は寂しそうに頭を垂れる。敦はどうしたものか悩んでいたが、ふと思いついて太宰の手をそっと解くと、テーブルの上に残してある、花瓶に入りきらなかった花の一本を取ると、また戻ってくる。
    「太宰さん。この意味、知ってます?」
     云われて太宰は顔を上げ、敦の手にしている花を見た。
     一輪の赤い、薔薇。それが意味するところは『一目惚れ』、『貴方しかいない』だ。
     跪いて、敦は太宰にその薔薇を捧げるようにして手渡した。
    「僕には何もないと云いましたが、貴方を想う気持ちだけは世界で一番です」
     これには太宰も目を丸くすると、次に幸せそうに微笑んで敦を抱きすくめた。
    「百点満点だよ、敦君」
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     敵対組織を一つ潰して、チェズレイとモクマはどぶろくで祝杯をあげていた。ソファに並んで座るとぐい呑み同士を軽くぶつけて乾杯する。下戸のチェズレイは以前、モクマに付き合って痛い目を見たので本当に舐めるように飲んでいる。だが、楽しいことがあった時には飲むと決めたモクマのペースは速い。次々と杯を空けていく。
    「そんなに飲んで大丈夫ですか」
    「ん~、へーきへーき。今夜はとことんまで飲んじゃうからね~」
     いつの間にか一升瓶の中身が半分ほどになっている。そこでチェズレイはモクマがぐい呑みを空にしたタイミングを見計らって、それを取り上げた。
    「ああっ、チェズレイのいけずぅ~」
    「そうやって瞳を潤ませれば私が折れるとでも思っているんですか?」
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    「ん、ふ……」
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