第五話
あの報告書から数日後、甘露寺と時透の体調が回復したから、と臨時の柱合会議が開かれることとなった。顔を合わせるのはあの日以来だ。あの日も、その他の日だって、不死川が冨岡に触れる指先は、言の葉よりもずっとやさしい。初めから、偶然互いの昂りが抑えきれずに交わった夜からそうだった。一度だって不死川は朝日の先まで未練を残したことがない。日の光の中ではいつも、何事もなかったかのように立ち去る背中。最中に見せる、相対した時のあの鬼の嫌いな色の瞳の熱だけが、彼の己への執着だと思っていた。それが切れた瞬間に終わるのだ、とも。
伊黒との共同任務に向かっていた彼は集合の時刻より少しだけ遅れて現れた。空いていた、冨岡の向かいの席にどかりと座る。一瞬、合ったはずの視線は瞬時に逸らされた。
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