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    milouC1006

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    milouC1006

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    オチがつかなくて最後三行くらい力技でねじ込んだ上、大遅刻したキスの日レク…ちょっとだけ和語和文体の練習にもしたやつ。供養です供養。
    ーーーーーーーーーーーー

    「最近、ベアトリスがあんたに妬いてるんだ」

     蒸し暑い花冠の夜が、急に冷え込んだ気がした。その一言に、ベレトは絶望とも驚きとも、悲しみとさえも取れる、一口に言えない表情を見せる。目を泳がせ、じっくりと言葉を選びながら、一つ「それは誰だ」と呟いた。数年前なら想像もつかなかった姿に、火種を蒔いたのがこちらであるのも忘れ、焦って弁解する。「あ、すまん」

    「人間の女じゃないよ。俺の白竜さ」
    「……そうか、よかった」

     君に女性が出来たら別れなければならない。本の妨げにならない様に、ゆるく後ろから抱き締められる。特に女性を作るような当てもつもりもないのだが。腕と同じく力ない声がいたたまれなくて、頭を軽く撫でてやれば、今度は分かりやすく嬉しそうにした。本当に、分かりやすくなったことだ。
     件の白竜、ベアトリス。(これもこっちに合わせた偽名だが流石にまだ言えない)彼女は俺のことを番だと思っている素振りが昔からあった。出会い頭に命懸けの喧嘩をして、それに勝ってしまったからそう思われたのだろう。

    「多分、優秀な雄だと判断されたんだよな」
    「その優秀な雄が、今俺に組み敷かれていると」
    「おいおい、俺はあんた以外の前じゃ、それなりに優秀な雄でいるつもりなんだが?」

     確かにいつでもかっこいい。そのまま、抱きしめるに飽き足らず首に顔を埋める。もうここまでされると、いよいよ本に戻る気がすっかり失せて、栞を挟み込んだ。

    「まあ、そうして狙いをつけていた男に、別の人間の香りがいつもついてるってわけさ」

     どこへ行くにも機嫌が悪くて困っている。というのに香りを落とすつもりは無いらしいベレトは、まだ足りないと頬へ口付けた。「大変なんだな」

    「大変も大変さ。あんたと似てる所もあるんだから、上手い事仲良くなってもらいたいもんだよ」
    「似ているところ?」
    「ああ。こうしてすぐに顔を擦り付けたり、抱き着いたりするところ」

     額をこづいて、そういうところも好きだけどな、と言ってみる。それでも、ほかの女性と比べられたのが気に食わなかったのか、今度はこれならどうだと言うように、軽く口付けられる。ところが、これも白竜そっくりだから面白い。「ふ、っはは、いや、それもそっくりだよ」

    「あいつも、気に食わないことがあったら、いつも軽く口付けをしてくれる。ほんと、似てるなあんたたち」

     いよいよ面白くなくなってきたらしい。拗ねて頬まで膨らみそうになっているベレトには、見かけによらず嫉妬心の強いきらいがあった。
     だから、ここで引くこともない。次にする事も、概ね予想がついていた。向き合うように姿勢を変えると、むくれる彼の顔がよく見える。甘えるように、試すように小首をかしげて「あいつと違う事は?」と微笑みかけると、言葉もなく押し倒された。
     押し倒した腕が、ゆるく頬を撫で、首をつたい、腰へ向かう。何度か軽く口をつけるだけの戯れを終えて、いよいよ服に手を掛けられるかというその時。

    「ん、ん……っ?」

     急にしっかりと、頭の後ろに手を回した深い口付けをお見舞いされる。まだ白黒している目が真剣なベレトの瞳を捉えると、性感帯にでもなったように快楽が走る。なんとなく先に逸らすとそれだけで負けた気分になるからじっと目を合わせるが、その鋭く綺麗な視線を浴びていると勝手に一人で高まってしまう。
     どうして今日はここまで口付けに拘るのだろう。そう考えるも、考えごと吸い取るように舌を思いきり吸われて、思考がはじけ飛ぶ。目元に溜まる涙がいよいよ零れそうになるほど口で良いようにされて、ようやく糸も引かず上品に離された。

    「どうだ。飛竜はこんなに、口付けが上手くないだろう?」

     少し自慢げに笑ってみせるベレト。つまり、本番だとか彼女が出来ないものではなく、口付けというところで勝ちたかったということか。長い傭兵経験で培ったであろう性格に見合わない負けず嫌いな気質は、自分のために使われると、とてもいい気になる。ただ、それにしたって体のつくりが違う彼女に勝ち目のない勝負だっただろう。

    「形が違うってのに、容赦ないよな」
    「同じ君を愛する者同士、手加減などしていられないだろう」

     彼女だってそうに違いない。と、また香りをつけるように、嗅ぐように首の方へ顔を寄せるベレト。ただこれも、自分の香りをつけるなんてつもりはなく、ただ俺の香りを味わっているだけなのかもしれない。何しろ、戦場の後でも徹夜中でも、いい香りだというほど好きなようだから。
     彼女と似たその仕草だが、彼にされると熱が高まってどうしようも無くなってしまう。もう一度だけ、彼にしかできない愛情表現をせがんでから、明かりを吹き消す。
     それでもその晩は、獣の交尾とそう変わらない夜になった。
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