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    milouC1006

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    milouC1006

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    これはお茶の所をもっと解像度高くして入れようと思ったけど失敗したところです……クが眠ってる時の夢に差し込むつもりだった。これから添い寝して緊張しているクを置いて先生が爆速で寝落ちる。これで伝えたかったのは処女ード君はかわいいってことと、爆速で寝落ちちゃうほどの信頼が一番の贈り物だなってニコニコするクロード君です……言葉で説明していくスタイル

    蒼海の節二十四の日。暦の上でも、自分の中でさえ特別でも何でもなかった普通の日。この扉の向こうにいる人と、特別な名前を付ける予定の日。
    自分でも意識していなかった誕生日を、この士官学校に就任して間もない担任はしっかり把握していて、何か贈り物をと尋ねられたのが事の発端だった。

    「自分は戦いの世界に身を置いていたから、ふつうの人が好む贈り物がわからない」

     いままでは当り障りなく花などを贈ってきたが、君には確実に、一番喜んでほしい。朝一番でそんなことを、あの無表情で聞かれた時には流石に少し戸惑った。何しろ、自分だって殆ど贈り物なんて受け取ったことが無い。贈ったことも。
    勿論それは俺に贈られるものだし、今欲しい物を言えばそれでよかった。しかし、持ち合わせの切れた毒草を頼むわけにもいかず、アビスの更に一段深い禁書庫の鍵を頼むわけにもいかず。つまり人に聞かせて良いような欲しいものと言うのが簡単に思いつかなかった。

    「……それじゃあ、あんたの一晩、俺にくれないか?」

     禁書庫の鍵も毒草も、一人でいつだって手に入れられる。ただ、未知の底知れぬ力を秘めたその人を手に入れるには、これ以上ない好機だった。男が普遍的に好む物は体感として知っていたし、お互い好条件。傭兵の世界に身を置いていた先生ならば、そのあたりの貴族と違って抵抗感も少ないだろう。
     案の定、その婉曲な表現の真意を汲み取って、準備をしておくと一言で快諾してくれた。角部屋の方が何かと都合がいいから、先生の部屋でと話をつけて。
     そうして今、その先生の部屋の前まで来て立ち尽くしている。あとはノックをするだけ。そうすれば先生は、きっと年上として導き、色々と手ほどきをしてくれるはずだ。はずなんだが……

    (未経験なのに調子乗ったなぁ……)

     全身が燃えるように熱い。心音で鼓膜が破れるか心臓が張り裂けるか、どちらにしても時間の問題だ。まだどちらも経験したことが無いのに、あの先生からの相談事だというからつい調子に乗ってしまった。
    一応どちらになっても構わない様に準備はしてきたが、先生の方も準備をするって言ってたよな。抱く側の準備か? それとも抱かれるつもりか? 眉一つ動かしていなかったから何一つ読み取れなかった。
    もし自分が抱く側だったとしたら。掴み所の無いあの人を手のひらで転がして、導いて、いつもと違う表情を引き出す。戦場でも授業でも頼ることの多い俺に、先生が縋り付く。それは正直、興奮する。贈り物に体、となれば自然に女役の事を想像するだろうし、あれだけ綺麗で線の細い先生が屈強な傭兵団なんかにいたら、それはそうなるだろう。

    (よし。しっかり抱いてやろう)

     机上の知識だが、一応年相応に妄想だってしてきてる。切り替えるように頬を軽く叩いて、大きく深呼吸をしてからノックで先生の事を呼んだ。「入ってくれ」

    「邪魔するよ先生……っと、あれ? なんか」
    「いらっしゃいクロード。どうかしたか?」

     先生が、輝いて見える。比喩ではなく。夜の色濃い黒を照らすのはそれなりの大きさの蝋燭一つで、本来なら昼間よりもずっと薄暗いはずだ。ただ、いつもの真っ黒な服とは違う白いシャツは半袖で、その白肌が小さい蝋燭に輝いている。

    「いや、なんか……あんたが輝いてるように見えてな。白も似合うじゃないか」
    「そうか、今度から平時も白を着てみるようにしよう」

     平時? と疑問符を浮かべていると、椅子から腰を上げた先生が距離を詰めて、今まで見た事のない綺麗な微笑を浮かべて見せた。

    「白は、人を抱く時にしか着ないようにしている」

     低く、深い声で耳元に囁き込まれる。反対から逃さないとでも言うように、首元からゆっくり手が這いあがってきて、耳飾りをなぞりながら耳元を塞ぐ。

    「この服もしばらくぶりに着た。最後にしたのは、君たちとあう数日前だから……君からの誘いは嬉しかったよ」

     かなり溜まっているんだ。その一言と共に、今度は軽く耳朶を噛まれた。例え戦闘の後でもほとんど汗をかかず、体臭を一度も感じさせたことのない先生から、今だけはくらくらするほど色気のある香りがした。耳から口付けが降りて行って、首から鎖骨へ味わうように移動する。
     抱かれる。この人は、さっきまで抱くか抱かれるか不安がっていた自分とは違って、最初から完全に抱く気だったんだ。そう意識すると急に体が強張って、動きや香りの官能さも相まって息をするのがもうやっとだった。

    「緊張しなくていい」

     今度は指を一本ずつ、解きほぐすようにゆっくりと絡ませていく。見た目に反して男らしい手。今からこの手に、まだ一度も許したことのない体を暴かれる。そう考えるとまた一層体が強張ってしまう。
     ふとその時、何か言いたげに先生は体を離した。何か考えこむように、あのもう一度見てみたい微笑でもなく、じっとこちらを見つめている。

    「……あの、先生?」
    「……」
    「せんせ~? まさか立ったまま寝てるんじゃ……」

     すると次は突然、口を開く前に俺の体を軽々と持ち上げて、寝台に座らせた。緊張を解こうとしたり黙ったりした後に、いきなり本番を目の前に突き付けられて、もう散々限界を訴えている心臓がいよいよ本当に止まってしまいそうになる。
     このまま押し倒されて、本番。一応慣れないなりに準備はしてきたけど、果たして足りるだろうか。さっきの話を聞く限り、こっちじゃ誰とも関係を持てないままだったのだから、ここでちゃんと良くしてやればいい関係が築けるはずだ。だから多少怖くても、耐えなければ。
     そう覚悟を決めて、今度はこっちからと顔を寄せようとしたその時、目の前に突然三本の指を立てた手が突き出された。「へ?」

    「三分、待っていてくれるか?」
    「え、ああ、まあ……」
    「すぐ戻る」

     軽く額に口付けて、いそいそと先生は部屋を出てしまう。あの時体を寄せた時には、もう先生のものは軽く立っていた。それなのに三分。今すぐ押し倒してやりたいだろうに、我慢してまで一体何を。そう考えているとあっという間に三分は過ぎて、何やら茶器を手にした先生が戻ってきた。「これを」

    「これは、カモミールティー?」
    「そうだ、かなり緊張していたようだから。それでは続きをするにしても、良くなれない。まずは気を楽にしてくれ」

     トレイから俺の分だけを手渡して椅子に戻った先生は、ふと気づいたように目を丸くして「甘いものは苦手だったか」と困り顔で尋ねる。こういう時は子供みたくてかわいいのに、一体どこから先ほどまでの表情が出てくるのだろう。

    「大丈夫だ。ありがとう、いただくよ」

     一口で上品な甘みと香りが全身を落ち着けてくれる。古来より薬草としても使われてきた効能は伊達じゃない。

    「慣れてないのに無理をしたな?」
    「あー……バレちまったか?」
    「伊達に人を抱いてきていない。それくらいは分かる」

     平気な顔してそんなことを言われると、それだけでまた心臓が暴れそうになる。もう一口流し込んでなんとか落ち着ける。

    「年相応の好奇心と、ちょっとの焦りだな。包み隠さず言うと、俺は、あんたとできるだけ仲良くなりたいんだ。でもあんたはさ、少し博愛主義的な所があるだろう? だから他の皆とは違う形の関係があればいいと、そう思ったんだが……」

     このお茶、自白剤でも入っていないか? そう疑いたくなるほど本心がずるずると引き出されていく。これ以上妙に口を開けばまずい事まで言いかねない。そう口を噤めば、外の虫の声が嫌によく聞こえるようになった。
    どちらが先に口を開くかの攻防戦と、痛いほどの静寂が続く。茶を飲み込む音の響く空間は、誘った手前居心地が悪くて仕方がない。何か差し支えない話題でも、と思ったその時、丁度飲み干した先生が俺の座る寝台の方へ来て、「飲み終えたらおいで」と寝台に潜り込んだ。
    カップの下の方は甘みが濃い。そう言い訳をつけて申し訳ないけれど少しだけ残したまま、誘われるように寝台に潜り込んだ。

    「この体勢で、いいのか?」
    「なにがだ?」
    「いや、人を抱く時って、覆いかぶさるようにするだろう」

     これではただ横に寝そべって添い寝でもするようだ。立たせておいてまさか抱く気がないなんてことは……

    「今夜はこれくらいにしておこう」
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