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    milouC1006

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    milouC1006

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    FEHハロレク。試してみた竜化の反動でムラムラしてるハロ先生と被食願望盟主のトリートの話です。盟主メインで3ク口ード出ます。

    そっちは竜並だった 先生の綺麗な顔立ちが、視界いっぱいに広がる。茶会では常であるそれ自体は何も特別な事ではないし、こめかみの辺りから生えている角も、この人なら正直誤差の範囲だ。
     問題は、この至近距離のにらみ合いが、寝台の上で行われているということ。しかも、たった数時間前にこの世界へ来たばかりの先生に。痕になるほど強く盟主の手首を掴む彼の指先は、ほのかに赤い肌よりも白く滲んでいた。滅多にこうした余裕のない姿を見せることはないベレトだが、今回ばかりは細い尻尾は既にたまらず俺の足へ絡みついていて、心なしか最初見た時より角も太くなっている。明らかに、興奮していた。
    (……なにが、どうしてこうなったんだけ?)


     どのクロード達の記憶にもない、完全に特異なこのベレトが召喚されたのはつい数時間前。それはしっかり覚えている。召喚師も、召喚に付き合うことも多いパルミラ王さえ今回は「収穫祭にまつわる竜に由縁ある英雄」ということ以外に誰が召喚されるかも検討がつかない状態での召喚だった。そこで、真っ先に顔を出したのは我らが女神さまとこの奇怪な衣装の先生。それからも何人か収穫祭の英雄が召喚されたが、俺達はもうそれどころではなく、あれだけ話を聞きたがっていた女神さまに目もくれず先生に夢中になっていた。帰路には女神さまと級長やパルミラ王が取り合いをしていたくらいだ。過去と未来の我ながら、童女相手に大人げない話だ。
     それから本部に戻って中庭。他の英雄たちの姿を見た彼が「俺も竜になれるだろうか」と呟いたのが事の発端であった気がする。

    「俺もこの収穫祭に呼ばれたということは、何かしら竜に由縁ある身なのだろう」
    「まぁでも、あんたは女神さまの心臓を宿してるって、縁どころか一心同体だからな。あんた自身が竜になれるかどうかは……」
    「? おぬしも気合さえあれば簡単になれるではないか」

     理性が欠けた級長から半ば尋問のように質問漬けにされていたソティスが、パルミラ王の助力で何とか抜け出しベレトに抱き着いて話題に入り込んだ。「なれるのか?」

    「わしの力を貸しておるのじゃ。むしろなってもらわねば困るわ」
    「困るのか」
    「いうなればわしらの本来の姿が、おぬしらの言うところの竜に相当するもの。甲冑を脱げぬ人間と同じことよ」

     いい機会じゃ、と地面に降りたソティスがしたり顔でベレトを見上げる。天地がひっくり返っても竜という巨体になりそうにない体格に性格。以前から女神は少し変わった童女だとベレトから聞いていたが、まさかここまでその呼ばれ方の通りだとは思ってもみなかった。

    「おぬしも竜としての姿を手に入れる修行じゃ!」
    「修行?」
    「うむ。とはいえ、気張らずともよい。要領さえつかめば難しいものでもないからの」

     ご教授よろしく頼む、とソティスに視線を合わせるベレトはとても教わる側には見えない。むしろ子供のわがままと真剣に向きあう良い保護者のようだった。その姿にパルミラ王は面白そうな、どこか愛おしい子供の成長を見るような言い難い表情を浮かべていて、同じ俺から見ると普通に気持ち悪い顔をしていた。これでもきっと、先生なら普通に珍しい表情でかわいいというのだろうと思えば、ひとりでに意味も無く恥ずかしくて顔が熱くなった。

      ――※――

    「ほれ、こう、背にぐっと力を入れて……あぁ足りぬ足りぬ! もっと、ぎゅ~っと背に意識を集めよ!」
    「ぎゅ、ぎゅ~?」
    「そう、ぎゅ~~っじゃ! 臓腑の裏から内なる力を導き出すように……ならんならん! 気合が足らーん!」

     珍しく玉のような汗をつけた彼の顔が焦りに歪んでいる。これでは一生かかってもたどり着けなさそうだという焦りは、外野のクロード達にも伝わっていた。
     その時、いたたまれなくなった王のクロードが、ソティスくらいに体を縮めたベレトの肩を叩いた。

    「ベレト、女神さん。ここには竜石って便利なものがあるんだが……一回それを使ってみないか?」
    「竜石?」
    「ああ。形は英雄によってそれぞれだから一概には言えないが、どれも竜化を助けてくれる武器みたいなもんさ。今日呼ばれた英雄の中にも確か使ってる人がいたはずだな。何もない所から突然竜化するよりも、こういう補助があった方がいいだろう」

     成程、英雄管理を召喚師から一任されているだけある。その時丁度、パルミラ王の提案を後押しするように、竜石を扱う英雄が中庭を通りかかった。彼女から竜石を預かり、手に乗せると間もなく、ベレトは急に「できる気がする」と呟いた。原理がわからないから何とも言えないが、本当にそんな石を一つ握っただけで出来る気になるのか?
     多分、こうだろう。呟いたベレトの姿が、瞬く間に光で包まれ見えなくなる。そして目を逸らしているうちに、その光源から角ばった羽、角や尻尾まで現れ、最後はぐわりと長い首が伸びていった。

    「……本当に、簡単になれるんだな」

     思わず三人のクロードも、なぜかソティスさえも感心して見上げるベレトは、あの日の白きものと同じくらいの巨体だった。長い首を縦に振って返事をしようとした彼は、しかしその頭の重さに慣れないまま軽く地面にぶつけてしまう。
     再び好奇心に火がついた級長はソティスに原理を聞こうと顔を向けるが、すぐに竜石を貸してくれた英雄の方へ向かう。「わしに聞かぬか小童!」とソティスもそれにつられてついていく。ただ一人、盟主はその場に立ち尽くしたまま、見慣れない景色にあたりを見渡すベレトの事を見上げていた。
     本当に、竜になれてしまうのか。この人は。今まで髪の色が変わったり人ならざる力を見せられたりしてきた。だが、どれもここまで決定的に「人とは違う」のだと見せつけられることは無かった。同じ白でもその肌は硬質で、傷つけない様にと綺麗に整えられていた爪も伸び切っている。人でないどころか、彼らしくもない。
    その曇り気味の様子に気が付いたベレトは、今度こそ行き過ぎない様にと長い首をゆっくりしならせて、盟主に顔を寄せる。「ありがとうな」

    「なんとなく、あんたが本当に遠くへ行っちまった気がして……柄でもない感傷に浸ってたのさ」

     なるほど竜の姿を本体としているだけある。愛竜よりも少し頑丈な鱗を撫でていると、突然その姿が再び光で一層白くなる。まだ光り輝いたままの姿の先生が次第に人型へ戻り、手がしっかりしてきた時点で俺のことを強く抱きしめた。

    「この通り、俺は君を愛しているただの人間だ」
    「あ、え……あぁ、ありがとうな」

     真剣に真っすぐと見つめられて、つい顔がじわじわと赤くなる。同じく表情が見えないとしても、やはり人としての綺麗な彼の顔がいい。そんなことを思って見つめ返していると、吸い込まれるようにベレトは軽く盟主に口付けた。

    「っ、たた……ベレト、戻るときには後や下に注意してくれよ」

     抱きしめあう二人の後方、竜の尾があった辺りでパルミラ王は座り込み頭を押さえていた。どうやら、ベレトが人間の姿に戻るときに頭を打ってしまったらしい。何故そんな所に、とベレトが尋ねれば、彼はあっけからんとこう答えた。「そりゃ」

    「こっちの方も竜並か、確かめてた」

      ――※――

     いや、抱かれるなら王の俺だろうこの流れは。興味津々だったのはあっちだ。いろいろと思い返して頭を整理しているうちに、ベレトは盟主の首や肩に口付け始める。「い、いったん待ってくれ先生!」

    「その、ほら、女神さんをどこかに放っておいていいのか? 別の体を持ったとはいえ仮にも比翼英雄。幼い所もあるし放っておくと色々厄介なことになるんじゃ――」
    「レアと他の俺たちが面倒を見てくれているから大丈夫だ。それに、俺より彼女はしっかりしている」
    「……色々、大丈夫な気がしないなぁそれ」

     他のベレトとクロードはお互いにかまけて見張りの役目を忘れるだろうし、いくら女神と言えど童女だ。何をどうレアさんに口走ってしまうか分からない。というよりあの童女の方が先生よりしっかりしてるってのもまた問題だろうが……
     考え込んで気を抜いているうちに、ベレトがすかさず盟主の口を奪う。いくら頭では早すぎると理解していても、よく馴染んだベレトの舌はあっという間にクロードのやる気を一段階引き上げてしまう。収穫祭の菓子を頬張った後の甘い口内に、足を割り割く布擦れの音。潤んだ萌黄の瞳と、典麗な顔に似合わない男の香り。五感の全てがベレトの欲に蹂躙される感覚に、思わず期待で肌が泡立つ。「慣れないことをしたからだろうか」

    「体が妙に高ぶって仕方がないんだ。どうか俺のためだと思って、一度抱かれてくれないか」
    「本音は?」
    「……君が、少し寂しそうだったから、抱きたくなった」

     支援というものを組んだ俺がいないと聞いている。そう付け加えて彼は、盟主の額に吸い付いた。自分の体調などという理由で理性なく迫る彼でないことは、何度も理性を剥ごうとしては失敗してきたクロード自身が何よりも理解している。もちろん高ぶっているのも事実だろうが、何よりあの時のクロードの表情を思っての事だった。過ぎるくらい他人を思いやる優しさも、理性と獣欲がせめぎ合う葛藤も、どこをとっても人間らしくベレトらしい。

    (妙な心配をしたもんだな)

     それなら俺も、奥手なだけではいられない。少々気恥ずかしいが、藍色の彼の前の俺らしく。
     再び少しの隙を見計らって肌のあちこちに口付けを落とすベレトを誘うように、クロードはぐっと薄着の襟を引いて、筋の通った首を見せつける。分かりやすベレトの喉が鳴った。

    「トリート。健啖家のあんたがまさか菓子程度で満腹、なんてことはないだろう?」

     にやりと自然に湧き出て来た懐かしい笑みを浮かべると、彼はたまらず首元を味見するように赤く薄い綺麗な舌を這わせる。じっとりと焦らすように慣らす舌は、まるで後ろを緩める準備のそれと変わらない。味見を終えると、今度はその大きな口が首筋を覆った。今までよりも少しだけ尖っている歯があるようで、小さな血だまりを作るほどに強く噛みしめられる。が、その多少の息苦しさ、何より急所を深く噛みつけられる痛み。言い逃れできない被食願望がある事を、この時ようやく悟った。
     ベレトの鮮やかな赤い舌が、白肌と同じように美しい唇へ弧を描く。

    「今日は、骨の髄まで、味わわせてくれ」

     あぁこれは、竜なんかじゃなくても食われちまう。
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