See You There 青い機関車に乗ってあいつがやって来る。
夜な夜な、毎晩、やってくる。
だから今日も俺は眠る。うすら寒いベッドに邪魔くさい身体を置き捨てて、夢の中へと潜り込む。
***
「お前が執心してるこいつ、実際乗るとぜんぜん良いもんじゃねえぞ。石炭くべんのがこんなに重労働だとはな。熱ィし煙いし臭ェし、スピードは断然遅いしよ」
開口一番、憎まれ口のオンパレード。黙っていれば綺麗な顔は盛大に歪んで、頬には煤汚れがついている。
幼い頃からレモンが何よりも見慣れた青色の旧式機関車のボディ。一つ違うのは、そこには一番の特徴であるはずの顔はついておらず、横腹に書かれた『1』という車体番号だけがその機関車の素性を伝えていた。
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