龍馬さんが以蔵さんと付き合ってると思ってる話4 朝、目を覚ますと冷蔵庫にもなかった材料で食卓に並べられた食事。
龍馬は寝坊するが以蔵はどれだけ遅く就寝しても基本的に決まった時間に目を覚ます。
寝付きもいいが寝起きもいいのだ。
どうせと泊ったのだから自分も腹が減った、まあ、ついでだと龍馬の分も作ったのだろう、それがテーブルに並べられている。
「全部食えたあ言わん、食えるだけ食え」
そう言っても、あるのは白米と味噌汁、焼き魚だ、普通に食べられる量しか作っていない。
まるで新婚さんみたいだなと喜べる、のに、
「昨日は無理させて、ごめん」
先にその謝罪をする。龍馬がテーブルについたところで以蔵は目の前の食事に手をつける。
「仕事で煮詰まっとったんじゃろ、別にえい、たまにゃあ、あがなおまんもえいにゃあ、痛いのは勘弁じゃがの」
軽く笑って返されてしまう。
確かに無理をさせたし、あれは完全なレイプだ…手にもっていたスマホを握りしめる。
穏やかな食卓で…これを見せる…問い詰めたい…だけど、
「もうあんなことしないよ、だから、さ、以蔵さん『も』あんな僕になってたら抵抗して」
「おう、二度目はないき」
一つ笑って返す。
「以蔵さん」
そう名を呼べば顔を上げられる。そして真っ直ぐに見て泣きそうな困ったような、だけども愛しさを込めた顔で、
「好きだよ」
精一杯の愛情をこめて言ってやる。
「おん、わしも龍馬が好きじゃ」
あっさりと笑って返されて、それよりもできたての食事が冷めるから早く食べろと言ってくれる。
以蔵さんの好きと…僕の好きは…違うんだ…
そこでようやく静かな絶望を感じた。
最初から以蔵は龍馬を友人として幼馴染としてしか見ていない、それに+して身体がついてきたのだ。
自分は、本当に阿呆だなと思った。
浮かれすぎて何も見えていなかったのだと…付き合って半年目で気が付いた。
だがしかし、坂本龍馬は、これしきで簡単に諦めてしまうほど弱い人間でなかった。
ここからは龍馬の反撃が始まる、ここで龍馬がなぜ昨日あんな行動に出たかと問い詰めていたら以蔵の方も変わっていたし、この後にとんでもないことにならなかっただろう。
龍馬は、反省した、以蔵の軽い返事に、そして以蔵は気持ちが良ければと放っておいたこれが敗因にもまるしくわえて、
「以蔵さん、スマホ忘れてたよ」
ロックはかかったままで本人に渡してやる。
「忘れちょったか?すまんの」
スマホを龍馬の手元に忘れていたことを後悔することになる。
ここからは、龍馬の大反撃が始まる。