消防士×獣医師 あぁそうだ。俺は、呪術師だった。
その記憶が蘇ったきっかけは爺ちゃんが死ぬ間際に遺した言葉だった。ポツリとこぼれたその言葉は、どこか聞き馴染みがあった。ザワザワと騒がしくなる心。背筋を駆け下りていく冷や汗。
虚しく響く、心音が止まったことを知らせる機械音と共に脳内を駆け巡る記憶。宿儺の指を飲み込んだ事から始まった呪術師としての人生。爺ちゃんの[[rb:言葉 > 呪い]]の通り最後は、最期は、大勢の人に見守られながら死んだんだっけ。大好きだったアイツが最後に見せた顔はどんなだったっけ。
「俺、伏黒に好きだって言えなかったなぁ……」
この言葉はきっと呪いになる。そう思うと「好きだ」なんて言葉は喉の奥に引っかかって出てこなかった。でもそれで良かったとも思っていた。伏黒には幸せになってほしかったし、死んでしまう人間に縛られるようなことはあってはいけないと思っていたし。でも、今更こんな感情までも思い出さなくても良かったのに。
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