自慢したかったんだよね。「ねぇ傑〜なんで貸切にしなかったのぉ…。」
「毎回毎回貸切なんて一般家庭の私からしたら有り得ないことなんだよ?じゃあ着替えたら飲み物飲んで待っててね。」
今日は傑とナイトプールでデートだ。夜のプールで遊びたいなら貸切にすると提案したが却下された。傑の水着姿が他の男たちに見られるのを避けたかったが傑に貸切はやめろと言われてしまったら為す術もない。
渋々更衣室前で別れてさっさと着替えをする。着替えなんてすぐ終わってしまうから俺は傑に言われた通り飲み物を買いに向かった。
「あのぉ、お兄さん一人ですか?」
「良ければ私達と一緒に遊びませんか?」
飲み物を買うために並んでいると二人組の女性に声を掛けられた。一般的に誰が見てもかわいいと思うであろう女性だったが全く魅力を感じない俺はやんわりと断りをいれる。
「ごめん。彼女と来てるから。」
そう言うとさっきまでの笑顔はスッと消え、さっさと何処かへ行ってしまった。
傑早く来ねぇかな。購入したトロピカルジュースをプールサイドでちまちま啜る。飲み物を飲んでるだけなのにちょいちょい声を掛けられるのがすごくストレスだ。
「彼女遅くない?ずっと一人じゃん。」
「ホントに彼女いるの?」
そろそろ苛立ちもMAXに達しそうな時だった。遠くに見える傑の姿。とナンパ男。ナンパ男だ。あれは絶対そうだ。アイツら傑の魅惑のおっぱいと切れ長のセクシーな目、程よい肉付の身体に釣られたに違いない。まぁ傑の良さに気付いたのは褒めてやろう。
だがそれとこれとは話が別だ。
絡んでくる女性たちは完全に無視して傑の元へ向かう。
「僕の最高にかわいい彼女に何か用事?」
傑の肩をぐっと抱き寄せナンパ男たちに威嚇する。すると何がおかしいのか、クスクス笑いながら傑は一言。
「ね?私の彼氏、カッコイイでしょ?」
ナンパ男たちはそそくさと俺たちの前から消えていったのだった。
「あれ何だったの。」
「ナンパがしつこくてね。私の彼氏よりかっこいい自信ある?って聞いたらあるある〜って言ってて。そしたらちょうど悟が来たもんだからナンパ男たちの顔がおかしくって。」
「はぁ〜????じゃあ俺も傑のこと自慢させてよ。」
二人で勢いよくプールの中へ入り傑の事を持ち上げた。
「わ!?悟!?」
「俺の彼女はこんなに可愛くてスタイルも俺好みで最高の女ーってね。」
「俺じゃなくて僕にしなよ。さっき僕って言ってたの、格好良かったよ。」
「……別に僕って言わなくても俺は格好いいでしょ。」
「ふふ。そうだね。悟はいつも格好いいよ。」
笑ってみせる傑がやっぱり可愛くて、俺は胸がきゅーってなる。もう全世界の男女たちに俺の傑はこんなにかわいいんだぞー!って声を大にして言いたい。
「傑、好き。」
「どうしたの急に。」
「言いたくなった!傑が世界で一番好き!」
「こんなところで恥ずかしいな。……私も悟が一番好きだよ。」
プールの真ん中でイチャイチャして見せつけるのも悪くない。貸切じゃないナイトプールも有りだな…と思いながら俺は傑を甘やかし甘やかしてもらいそれはそれは楽しい時間を過ごしたのだった。
「楽しかったね、悟。」
ナイトプールが併設されていたホテルの最上階の部屋で俺たちは適当にテレビをつけてダラダラとベッドの上で過ごしていた。
「楽しかったけどさぁ、傑の水着!やっぱりあれちょっと際どすぎない?」
「そう?でも悟だっていっぱい女の子に見られてたじゃん。」
「別にあいつらはそういう目で俺のこと見てないだろ。」
傑の水着姿は可愛かった。おっぱいもこぼれそうで目が離せなくなるし脚も触っていたくなるし。俺がジロジロ見られるよりも傑が性的な目で見られることはちょっと頂けない。
「悟の為に選んだのになぁ。」
そう言うと傑は俺を押し倒してきた。傑の艷やかな髪が俺の頬を撫でる。早くなる鼓動を確かめるように傑は俺の胸に手をあてて笑っている。
「悟の水着姿も、前髪上げてたのも、すごく格好良かった。私の彼氏、こんなに格好いいんだぞーって、ちょっと自慢したかったんだよね。」
「そんなところで目立ちたがり発揮すんな。」
「悟だって、目立ってたじゃん。プールのど真ん中で。」
「あれは傑が可愛かったから仕方ない。」
傑の手首を掴んで起き上がりベッドに縫い付けた。枕に広がる黒い髪。少し赤くなってる頬。どうしてこんなに俺の彼女はかわいいの?
「ねぇ、シてもいい?」
「ふふ。いいよ。」
どちらからか分からないキスをして、俺と傑は朝まで愛し合った。
~Happy五夏End~