オーケストラデートするレオまこツキナガに突然「「ゆうくん」この日、○○時に迎えに行くから星奏館にいろよ」
と急に言われ何で好きでもない奴と……とげんなりしながら律儀に約束を守るマコト。
前日、ツカサから謎の荷物を受け取り中を開けると「明日はコレを着ろ」、メモ付きで高そうなスーツも入っていた。
当日、いつにも増してアイドルキラキラ粒子を纏ったツキナガが迎えにくる。「待たせたな、スーツ似合ってるぞ」車の助手席に座らされ、そのままツキナガの運転でどこかに出発する。
「あの、今からどこに……」「いいからいいから」「……はぁ」「~~~♪♪」
「これ、渡しとくな」関係者と書かれた名札を渡される。特に会話もないままコンサートホールに到着し裏口から入った。一般人は通れないような通路を通り大ホールのボックス席に辿りつくと「えっ、ちょ!これって」とマコトは直ぐに気づきあたふたする。「「ゆうくん」、この前チケットの抽選外れた〜ってSNSで嘆いてただろ?」それはマコトの好きなRPGゲームのオケコンサートだった。何食わぬ顔でパンフレットを渡されマコトは困惑する。
「いやけど何でツキナガ先輩がわざわざ」「だっておれが作曲してんだもん〜」「ハァッ!!!?けど作曲者名が?!」「これ、おれの別名義な。サントラCD買うくらい好きなんだろ。おれ、すごく嬉しかった!まあ、座れって!」
コンサートが始まると、大好きなゲーム音楽の生演奏にマコトは目を輝かせすごく楽しんだ。1部が終わりはしゃいでるマコトに対して微笑ましくツキナガは見つめる。「あ…す、すみません」とマコトは小さくなるが「ナンデ謝るんだ?やっぱり連れてきてよかったよ。「ゆ」、いや、まことって呼んでもいいか?「ゆうくん」呼びはセナが嫌がるしさぁ」
「……いいですけど」「その代わり、おまえもおれの事、レオでいいからな!先輩もいらない!」マコトは手を握り顔を近づけられ、抵抗できなかった。
「えぇっと、レオ…くん?」「くん付けか、まあいいや!」
先輩って僕のこと嫌いなんだと思ってたんだけど。なんで名前で呼び合う仲に?なに企んでんだろこの人。マコトはまだツキナガに対して警戒心が解けないがそのまま2部を満喫した。
コンサートが終わりツキナガは「ちょっと挨拶まわりに行くから、控え室行くぞ」と引っ張り手を繋ぎマコトを連れ歩く。関係者もマコトの事を認知しており、ゲーム配信観てるよ〜とか君たちそんなに仲良かったんだ〜と話しかけられそれに上機嫌なツキナガはやたらとマコトと距離が近く、「まこと」呼び連呼していた。
あらかた挨拶まわりが終わり、廊下で2人になると「いや〜、作品が好きなやつと一緒に聴けてよかった」「あの、ツキナガ先輩」「先輩?」先輩呼びにムッと軽くツキナガは睨んだ。
「あ…レ、レオくん」「なぁに、まこと?」「今日はありがとうございました。スーツ、クリーニングして返します。お礼は後日しますので」「まってまって無理やり誘ったのはおれだしそんなのいいよ。そうだな、今度まことがゲームプレイしてるとこ見して!」「そんなのじゃお礼にはならないですよ」「えーそんな事あるー、今回は依頼が来たからすんなり作品出せたけど、ゲーム音楽業界もコンペ勝ちあがらないと厳しいんだぞ!勉強させてくれよ」「あぁ、そういうことですね。分かりました」
何で僕なんかが誘われたのかと思ったか仕事の為だと思ったらマコトは腑に落ちた。が、しかし
「この後はレストランで食事して、ホテルに泊まるぞ〜♬」とツキナガの発言にマコトは唖然とした。
「いや、コンサート観して貰っただけで充分ですから」「ん?気にしなくていいぞ、作曲者は俺だからな。全部招待だから大丈夫。それより1人で泊まるの寂しいだろ。付き合ってくれよ。後スーツは返さなくていいよ。セナの「ゆうくんデータ」?みたいなの勝手に見てオーダーしたから。おれが着てもサイズが合わないじゃん、貰っといて」
「ハァッッッちょっわざわざオーダーしたってそんな」確実に良い生地、縫製から高級なのは分かるためマコトはドン引きする。
「おれ、Knightsより印税の方が収入あるんだよ。それよりまことお前、映画の主演とかしてるだろ。もうそろそろ、ちゃんとしたスーツ1着くらいは持っていた方がいいぞ」「はい……」
マコトはもう何も言えず大人しくレストランについて行きホテルも大人しく泊まらせてもらう事に決めた。レストランは夜景が綺麗で、周りの女性がきゃっときゃっとはしゃぐ程ツキナガは王子様みたいで、普段は宇宙人と交信してる癖になんだコイツ、心の中でマコトは悪態をつく。コース料理に不安を感じていたら「今日は魚介類無しで頼んでるぞ」華麗なウィンクを受けマコトは恥ずかしくなった。だけど苦手な物がないだけあってどれも全部おいしかった。
ホール横のホテル館最上階に向かうと、ベッドが1つしかなくダブルと困惑したがトリスタでもそういう事はあるしKnightsもベッド共有するんだなとマコトは無理やり自分を納得させる。
そのまま1人ずつ風呂に入り特に何もなくベッドに入った。泉さんなら、抱きついてきたりなんか気持ち悪い事言ってくるけどこの人、意外と害がないんだなとマコトは安心して眠りについた。途中、トイレに行くのかツキナガがベッドを抜けマコトは少し目が覚める。ツキナガが戻ってくる気配を感じ何となく気まづいので目を瞑り寝たふりをした。
「まこと」
とんでもないくらい甘い声で名前を囁かれる。何故かツキナガに頭を撫でられていた。優しく頬を触れられ一体僕はどうしたら、と迷うが起きるのも気まづくてできない。
手を離されやっと終わった…っと思った瞬間眉間に柔らかいものがあたった。目を閉じていても何となく分かる、唇だ。すると顔中にキスの雨が降り注ぎ完全に起きるタイミングを失ってしまったマコトは黙って受け止めた。
「いいんだな?」ツキナガは呟きマコトの唇を奪う。先程までとは違い、ちゅっちゅっとリップ音を立てる。「ん”」舌をねじ込まれ思わず目を開けてしまいその瞬間、猛禽類のような鋭い目つきのツキナガの瞳に捉えられた。マコトはもう逃げられない事を察し諦め好き放題される。ツキナガはマコトに覆いかぶさり、舌で口腔内をぐちゃぐちゃに掻き回し首に吸い付つく。マコトがとろとろになっている表情を見て微笑んだ。
「まことはおれのこと、好きか?」
ハァハァと肩で息をしながらマコトは答える。
「し…ら、ない」
「うん、そうか。けど大丈夫!これからゆっくりおれのこと夢中にさせるから。なぁなぁ、もっとちゅーしていい?」
既に好き放題してる癖に…ほんと訳わかんない…
「言っとくけどおれ、誰にもかまわずこんなことしないからな」
「………………」
マコトは手をツキナガの首の後ろに回し、口を開け舌を差し出した。
おまけ
後日、ニューディ
「この前「ゆうくん」とデートしたんだって?昨日も会ってたってセッチャンが不機嫌なんだけど。ツキピーどうしたの?苦手だ〜とか言ってたじゃん」
「ん〜?なんだろな〜、嫌われてたら逆に気になっちゃうだろ?それに、まことってすごく可愛いんだ!昨日なんか『おくちがさみしい』ってちゅ〜おねだりしてきたし、ツンデレって霊感がわいて最高だな♪」
「うわぁ、ガチで落としにいってる。セッチャンかわいそ…」
おまけその2
付き合えたレオまこ
「ゆうくん」こと、まことは公式プロフィール通り本当にツンデレだった。せっかく恋人になったというのに皆の前ではスンとしていて、ガチで付き合ってるのか疑うセナに「おねがい嘘だよね、無理やり付き合わされてるんでしょ?別れていいんだよ!?!?」と攻められてもマコトは無表情で「嫌々ではないです」っっって、もうちょっと照れたりしてくれたらいいのにツンツンしている。
けど2人きりになると、まことはこてんっとおれにもたれかかったり、頭ぐりぐりしてきたり撫でると嬉しそうにごろごろして猫みたいだった。素直じゃないまことは「キスして」って直球に言えない。ハグしてると「ねぇ、くち…寂しいんですけど…」ムッとしながらアピールしてくる。ベッドの上では甘えん坊な猫ちゃん。もっともっとおれで満たしたい。