ng誕生日おめでとう 誰かが事務所に入ってきたような気配がして意識が浮上する。年末が近づいてくるともなるとRoom4sも忙しく、仮眠としてソファに横たわっていたのだが薄らと目を開けると思った通りの人物がそこにいた。
「あ、起こしちゃったか」
かろうじて電気を消した薄暗い部屋の中で金色の瞳が光る。
「……流石に見知った気配とはいえ気付きますよ」
「なあんだ。ほんとはもうちょっと前に来ようかと思ったんだけど……でもソファで寝るのはどうかと思うぜ?」
「……何かありましたか?それとも依頼?」
眼鏡をかけて起き上がりながら尋ねる。
「んー?いや今日はお前にいいプレゼントを届けに来たんだよな〜」
「……サンタにしては随分と早いんじゃないですか」
目の前の彼に起こされた文句も兼ねて、別に怒っている訳ではないけども、ジト目で言うとけらけらといつもより小さな声で笑う。
「あわてんぼうの〜〜って歌があるぐらいだしいいんじゃね?それより、これ。明日の21時な」
そう言われて受け取ったのはシーリングスタンプのついた手紙だった。
翌日、指定された時間より少し早めにZeffiroのドアを開けるとふわりと美味しそうな匂いが漂う。
「凪ちゃんいらっしゃい〜」
「ってあれ、もう来たの?もうちょっとゆっくり来ればいいのに」
雲雀に渡された手紙の中は招待状だった。どうやらセラフと奏斗が主に用意してくれているらしい。
「ご招待ありがとうございます。オーナーが自ら用意してくれているのなら遅くなってもいけないでしょう」
「今日はちゃんとやってるからね」
「まぁ準備はほぼ出来てるから座って待っててよ」
ホールの方にいた雲雀にこっちな〜と案内されて席につく。しばらくキッチンの方から聞こえる音を聴きながら待っているとボトルを持って奏斗がやってきた。
「あら、随分いいものを」
「こういう時に出すべきものだからさ、とりあえず準備終わったし乾杯は僕らにもさせてよね」
「ふふ、勿論ですよ」
「これ高いやつじゃない?有難く貰っちゃおうかな」
「俺は酔いそうだからちょっっとで!」
「はいはい」
わいわいガヤガヤしながら開けられたボトルから注がれたワインを受け取る。
「それじゃあ……」
「「「誕生日おめでとう!!!」」」