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    udukihp

    進捗とか 進捗とか 進捗とかです
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    しょうほた/第二章魔神任務のネタバレがあります

    ##gnsn進捗

     ごん、と音がした。控えめに言えば鈍い音、ものすごく詳細に描写するなら、重ための打撃音に近い。
     何事かと驚いて振り返れば、そこには頭を軽くさする少年――魈が立っている。なんとも言えない表情を浮かべていて、蛍と視線が合うと慌てた様子でそらした。
     どうやら状況からして、道すがらに生えている木の幹に頭をぶつけたようである。

    「魈、大丈夫?」
    「問題ない」

     問題ない、音では無かったような気がする。蛍が慌てて駆け寄ると、ショウは微かに首を振った。かすかな赤みを帯びた額が、ちらりと見える。どう考えても痛そうだ。多分、あとでアザになってしまうやつだろう。パイモンが蛍同様に、魈の様子を見て心配そうに表情を曇らせる。

    「大丈夫、な音じゃなかったぞ……」
    「冷やす? ちょうどパイモンが昨日氷スライムのジェルを……」
    「そっ、それはオイラのおやつ! オイラの……! でもっ、でもぉ、ううっ……」
    「また氷スライム狩ってあげるから」
    「何をする気だ。必要ない」

     鞄の中をあさろうとする手を、魈の手がそっと止める。でも、と言葉を続けるより先に、魈がもう一度、念を押すように「大丈夫だから、気にしないでくれ」とだけ続けた。そのまま、蛍の側を抜けて先を歩いて行く。

    「あっ、しょ、魈! 待ってくれよぉ」

     パイモンが慌てた様子で魈を追いかけるのを眺め、蛍も鞄を締めてからその背を追いかける。こうなったら、きっと魈は蛍が無理にでも氷スライムのジェルを渡したとしても、使うことはないだろう。後は道すがら、ちゃんと後で冷やすようにと伝え続けるくらいしか手はない。
     数歩分の距離を一気に詰めて、蛍は魈の隣に立つ。先ほどのことなんて無かったというように、魈はつんとした表情で前を向いていた。

    「……魈、ちゃんと後で冷やしてね」
    「くどい。大丈夫だと言っているだろう」
    「でも、魈、木に頭ぶつけたのさっきだけじゃないでしょ」

     蛍は少しだけ眉根を寄せる。一回、頭をぶつけただけならば、ここまで何度も何度も、それこそくどいくらいには言わなかった。けれど、魈が木に頭をぶつけたのは、さっきだけではない。
     何なら、この道中――帰離原から璃月港へ向かうまでの間、大変な頻度で頭をぶつけていた。あまりにもぶつけるものだから、何が起こったのかと思ったくらいである。といっても、先ほどまでは軽くぶつける程度だった。鈍い音がするくらいの勢いでぶつけたのは、先ほどが初めてである。

    「そうだぞ! オイラちゃあんと数えてたんだからな。魈が頭をぶつけたの、さっきで五回目だ!」
    「ほら」
    「……。……お前たちを送り届けたら、ちゃんと冷やす。それでいいだろう?」

     小さなため息と共に、かすかな言葉が魈の唇から漏れる。蛍は小さく頷いた。魈は約束を違える人ではない。魈がするというのならば、きっと必ずしてくれるだろう。

    「うん。約束だよ」
    「わかっている。――ほら、早く行くぞ」

     ちらりと蛍を一度だけ見て、魈はもう一度視線を戻す。もう少し歩けば、璃月港の城門に着くだろう。
     ――帰離原でヒルチャールと戦う魈を偶然見つけ、加勢をしたのが少し前のことだ。それから、どこへ行くのかと尋ねられ、璃月港へ行くのだと答えたところ、送る、とだけ言われた。断る理由もないので、感謝を述べてお願いをして――長くも短い距離を、三人で歩いてきた。道すがら、喋るのは大体蛍かパイモンで、魈はほとんど聞き役に徹していたが、楽しい旅路だった、と思う。
     魈は、最近、なにくれと蛍を気にかけてくれている気がする。海灯祭での日々を過ごしてから、それが顕著だ。多分、多分ではあるが――友人、というようなカテゴリーに入れてもらっているのではないか、なんて、蛍は思っている。多分、魈に聞いたら「違う」と一蹴されそうだが。
     ただ、魈が蛍のことをどう思っているにせよ、蛍にとって魈は友人で、オセルとの戦いでは命を救ってくれた恩人でもある。そんな相手がなんだかおかしい、というのは少し、いや、かなり、見過ごせなかった。

    「城門だ」

     魈の足が止まる。いつの間にか、目的地に到着してしまっていたようである。璃月港の全景を見渡せる高台で、魈はゆっくりと蛍を見た。
     魈は、ここから先に行くことはない。海灯祭の時も、今も、璃月に必要以上に近づくことはしなかった。

    「ありがとう、送ってくれて」
    「うんうん。魈のおかげで、道中何事もなく来れたし! し、仕方無いから、オイラの氷スライムのジェル、譲ってやってもいいぞ!」
    「いらない」

     なんでだよっ、とパイモンが少しだけ憤った声を上げる。それに小さく笑ってから、蛍はじっと魈を見た。――額が、かすかに赤い。痛みを滲ませているであろうそこを見ていると、蛍の視線の行く先に気づいたのか、魈がかすかに顔をそらした。

    「……大丈夫?」
    「問題ないと言っている」

     何度も何度も繰り返した問いかけを、もう一度繰り返す。魈はあきれたような口調でそれだけ言うと、蛍を視線だけで見た。さっさと行け、と言いたげな視線だった。
     恩人だ。友人でもある。だから、普段と様子が違うのは心配だ。だが、これ以上問いかけても、きっと魈は答えてくれないだろう。そうやって線を張るきらいが、魈にはあった。それを短い付き合いの中で、蛍は理解している。

    「……今度お礼するね。望舒旅館に行くから。夜が良いかな?」
    「礼?」
    「そう。送ってくれた、お礼」

     蛍は小さく頷く。魈は小さく顎を引いて、それから「勝手にすると良い」とだけ言う。これはつまり、お礼をしても良い、ということである。いらない、と言われることをなんとなく想像していたので、少しだけほっとする。魈に笑って返し、蛍は彼の元から離れた。
     城門の方へ向かう。門番に手荷物検査をされた後、振り返った先にまだ魈が居て、蛍はパイモンと一緒に手を振った。それに対してか、魈は軽く首を振って、そのまま消えてしまった。多分、どこかへ向かったのだろう。
     護法夜叉としての、責務を果たしに。
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    Replies from the creator

    udukihp

    DONEリクエストありがとうございました~!もの凄く楽しく書けました!少しでも楽しんでいただけたならこれ以上に嬉しいことはありません。ネイチャやおじたんのお話もいつか機会があれば是非書かせてください……!!!!重ね重ね、ありがとうございました!
    ラギ監 今日は朝からついていなかった。
     どうしてか携帯のアラームが鳴らなくて、折角の休日なのに寝坊をしてしまった。今日は賢者の島に広がる市街地へ遊びに行くつもりで、前々から色々と予定を立てていたのに、である。
     朝から時間をロスしてしまったので、いくつかの予定は諦めて、それでも折角だし買い物くらいは、と少しだけおしゃれをして外へ出たのが運の尽きだろう。
     本屋へ行って、好きな作者の新刊を買おうとするものの、売り切れていたり。美味しそうなケーキ屋さんがあったので入ってみたら、目の前で目当てにしていたガトーが売り切れてしまったり。靴擦れが起きて慌てて絆創膏を購入する羽目になったり、散々だった。
     それだけでは飽き足らず、帰り道、前日の雨もあり、ぬかるんだ地面は、簡単に足を取った。あっと思った時には水たまりへ自らダイブしてしまい、衣類が汚れた。バイトして手に入れた一張羅が見るも無惨な姿になってしまって、それだけでもう心がハンマーで殴られたかのようにベコベコになってしまった。
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