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    進捗とか 進捗とか 進捗とかです
    時折完結したお話も載せます
    HL、もしくは夢の進捗を晒すことが多いです

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    DONEリクエストありがとうございました~!もの凄く楽しく書けました!少しでも楽しんでいただけたならこれ以上に嬉しいことはありません。ネイチャやおじたんのお話もいつか機会があれば是非書かせてください……!!!!重ね重ね、ありがとうございました!
    ラギ監 今日は朝からついていなかった。
     どうしてか携帯のアラームが鳴らなくて、折角の休日なのに寝坊をしてしまった。今日は賢者の島に広がる市街地へ遊びに行くつもりで、前々から色々と予定を立てていたのに、である。
     朝から時間をロスしてしまったので、いくつかの予定は諦めて、それでも折角だし買い物くらいは、と少しだけおしゃれをして外へ出たのが運の尽きだろう。
     本屋へ行って、好きな作者の新刊を買おうとするものの、売り切れていたり。美味しそうなケーキ屋さんがあったので入ってみたら、目の前で目当てにしていたガトーが売り切れてしまったり。靴擦れが起きて慌てて絆創膏を購入する羽目になったり、散々だった。
     それだけでは飽き足らず、帰り道、前日の雨もあり、ぬかるんだ地面は、簡単に足を取った。あっと思った時には水たまりへ自らダイブしてしまい、衣類が汚れた。バイトして手に入れた一張羅が見るも無惨な姿になってしまって、それだけでもう心がハンマーで殴られたかのようにベコベコになってしまった。
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    DOODLE22.サブリエ(庭、日記、散る) 5「何か買うもん決まった?」
     不意に、廊下で声をかけられる。声のした方へ視線を向けると、早足で近づいてくるラギー先輩の姿が見えた。ラギー先輩は私の横に並ぶと、「次なに?」とだけ言葉を続けた。
    「動物言語学です」
    「ああ。動物言語学は潰し効くし良いッスよねえ。俺、結構上手なんスよ」
     言いながら、ラギー先輩は猫の鳴き声を真似した。私にもわかる、明瞭で、簡単な単語だ。
    「おはよう、ですよね」
    「そうそう。ほら、監督生くんも返してよ」
    「ええっ」
    「ええって。驚くこと? 当然でしょ。練習ッスよ、練習」
     いつのまに練習が始まっていたのだろうか。正直な話、動物言語学はあまり得意ではないので、得意と明言するラギー先輩に披露するのは恥ずかしさの方が先に立つ。
     だが、こうやってまんじりとしていても、ラギー先輩は私の傍から去ったりしないだろことはなんとなく想像が出来た。多分、私が言葉を返すまで、ラギー先輩は着いてきそうである。
     心の中で決意を固めてから、私は猫語で言葉を返す。ラギー先輩の耳がひくひくと動いて、それからその表情に楽しげな色が滲んだ。
    「下手」
    「……ラギー先輩私のこと嫌いですよね」
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    PROGRESSどっ先輩は笑顔が下手「乾杯!」
     不意に差し出されたグラスに、慌てて私も持っていたグラスを掲げる。音頭を取ったのは、見覚えのある男性である。新人研修で横にいた人だと思う。あまり人の顔の覚えは良くないから、多分、としか言えないのだが。
     にわかにざわめき出す室内を視界に捉えながら、私はグラスに入ったお酒を口に含む。腹に何も入れていない内からお酒を飲むと、回りやすいのであんまり好きでは無いのだが、飲み会ともなれば致し方ないものである。飲み始めると直ぐに食事が運ばれてきて、それをテーブルを囲んだ同期でつまみ始める。
     今日は、同期で集まる飲み会だった。就職して少しも経たないうちに、こんな集まりが開催されるとは思ってもみなかったが、まあせっかくだし、ということで私も参加する運びとなった。人付き合いはほどほどに、が信条である。
     大企業――ではあるので、同期の数も大変に多い。最初の内は指定されたいくつかのテーブルに分かれ、後から移動をしたりして、なんやかんやと交流を深めていく形になるようだ。同じテーブルに、研修から色々と話していた相手が居たので、少しだけほっとする。
     ぼんやりと思いながら少しずつ酒を飲み含んでいる 1624

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    PROGRESS友人に渡すリド監の途中03//

     目の前の食事が、少しずつ消えていく。いや、消えていく、というのは語弊があるだろうか。だが、そう形容するほかない状況だった。
    「……美味しいかい?」
     リドルは少しずつきれいになっていく皿を眺め、それからつと視線を上げた。目の前は空席であり、誰かが座っている姿を見ることは出来ない。けれど――。
    「美味しいです!」
     朗らかな声が、やはり弾むように返ってくる。空席の隣に腰掛けていたエースが、「今日は監督生の好きなメニューだったし、良かったじゃん」と少しのからかいを乗せて笑顔を見せる。デュースが「何か飲み物取ってくる」と席を立つのを眺めながら、リドルは食後の紅茶へ手を伸ばした。角砂糖二つ入ったレモンティーだ。飲み終えたら早々に席を立つ。それがハートの女王の法律で、リドルが守るべき規範だ。そっと舌先が紅茶に触れる。かすかな熱を伴ったそれは、けれど舌を痛めることもなく、華やかな味を口内に広げる。
     ――監督生の姿が見えなくなってから、今日で三日目だ。
     普通ならば、もう見えるようになっているはずである。透明化の魔法薬の持続時間は長くて一日と言われているのだから、たとえ魔力がひとかけ 3026

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    PROGRESS鍾蛍 ぼんじんいちねんめの鍾離先生に蛍ちゃんが恋を教える話 プロローグ「すまない、蛍」
     そっと、吐き出された言葉が、耳朶を打つ。その瞬間、更に続けて口にしようとしていた言葉や感情、あれそれが、喉の奥に詰まってしまうような心地がした。
     言わなければ良かった、と思う。言わなければ関係性を崩すことはなかった。言わなければ、謝らせることなんて、なかった。自分の感情と言葉が、大切な人を曇らせるものになるだなんて、思い知らされることだって、無かっただろう。
     何か言わなければ。冗談だとか、そういう風に言えば良い。それだけでこの場の雰囲気は払拭される。あわよくば、何も言わなかった時のように戻れるかもしれない。そう思う。――思うのに、言葉が出てこない。喉の奥がぎゅうっと縮こまって、言葉が形にならない。
     蛍はじっと鍾離を見つめる。金色の、琥珀のような瞳が、微かに伏せられているのが見えた。長い睫毛も、すっと通った鼻筋も、何もかも綺麗だな、と思う。月の光を凝縮して形にしたなら、こうなっただろうか。体を彩る全ての線が銀を帯びているように、見える。
     鍾離を眩しく思い始めたのは、いつのことだろうか。あまりきちんと覚えて居ない。ただ、綺麗な人だと思った。見た目もさながら、その 2302