魈ほた「添い寝だの、なんだのと。放っておけば良いものを」
「……魈」
「我が、夜あまり眠れずにいることも、何もかも、お前とは関係のないことだろう。それなのに――」
それなのに。続く言葉が喉の奥に落ちていく。胸の奥がむずむずとする。
どうして、と思う。蛍は、魈を見つけるといつも嬉しそうに魈の名前を呼ぶ。魈が寝ようとすると楽しげに言葉を弾ませて、寝物語を口ずさむ。璃月の歌をうたい、モンドで教えてもらったという童謡を口にする。
そんなことを、される覚えは無かった。そんな風に――魈と関わりを持つ相手なんて、誰も居なかった。