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    Siro_umimoto

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    #小説
    novel

    墓地の夢商人 秋の薄曇りの午後、大学の裏手に広がる小道を今年一回生の北村涼が歩いていた。
    空は灰色に染まり、風は冷たく、木々のざわめきが耳に触れる。彼は一人だった。いや、未だ大学に友人がいない彼にとって、そうでない日などなかった。

    「別に帰ってもいいんだけどな……」

    自嘲気味に呟きながら、遠回りの道に入っていった。彼はよく遠回りをする。そのことについて、彼自身は特に理由のない行為だと思い込んでいるが、実際は自身を呼び止めてくれる誰かの存在に期待していたということは言うまでもない。
    ただ、自分がどこに向かっているのかは誰にも知られたくなかった。

    いつもの遠回りの道を涼が歩いていると、突き当たりの塀奥から、卒塔婆のようなものが見えていることに気がついた。
    さらに歩き進めていくと、見慣れない鉄柵に囲まれた小さな敷地を見つけた。どこか不釣り合いなほど古びた雰囲気を持ち、周囲の大学の近代的な建物と対照的であった。
    柵には「立ち入り禁止」と書かれたプレートがぶら下がっているが、文字はほとんど剥げ落ちて読めない。

    涼は足を止めた。

    「こんなところに墓地なんてあったか?」

    この辺りは何度か通ったことがある。しかし、この墓地の記憶はなかった。まるで、突然そこに現れたかのようだった。

    柵の隙間から中を覗くと、墓石がいくつか並んでいるのが見えた。その時、その中に一際目立つものがあった。
    黒い石でできた細長い石碑が、墓地の中央に立っている。それは何かを主張するかのように異様な存在感を放っていた。

    涼は無意識に柵を越え、中へと足を踏み入れていった。


    プロローグ1:+☼◎△✗◆
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    例のマフラーについての捏造話。
    『……これ、お前にやるよ』
     遡ること数週間前、あたしはリビングで突然、獠に紙袋を押し付けられた。中を覗くと、黄色いマフラーが入っていた。これってまさか、獠からのプレゼント……? でも、その日はあたしの誕生日でもなければ、クリスマスでもなかった。
    『どうしたの、これ……』
    『キャバレーの福引で当たったんだ。どうせ俺は使わねぇしな。気に入らないなら捨ててくれ』
     獠はそう言い残して、リビングを出ていった。

     あたしのために選んでくれたわけでもなく、邪魔なものを押し付けられただけ。ほんの数十秒前までは、喜びで満ちていたあたしの心が、急激に冷えていった。それでも、獠がくれたものだし、捨てるのも忍びなく……。なんだかんだ言って、獠があたしへ初めてくれたプレゼントでもあったし、あたしはそのマフラーを大切に使うことにした。

     しばらくして、あたしはそのマフラーを身に着け、キャバレーへツケを払いに行った。ママへ直接マフラーのお礼を伝えたら、怪訝な顔をされた。
    『そんな福引、うちの店ではやってないわよ。よその店の間違いじゃない……?』
     いや、聞き間違いは無いはずで、獠は確かにここの店だと言ってい 1560