「親父さん、あの、これ、チョコ……食えないの知ってるけど、一応……バレンタインだから」
もじもじしながらロナルドが渡してきたのは、そこそこ高級なチョコレートの箱だった。どうしてか、包み紙がないのが気になるが。可愛い息子の嫁に、ドラウスは喜色満面で箱を受け取る。
「ありがとう、ロナルド。とても嬉しいよ」
そう言って箱を開けようとすると、力強く手首を掴まれた。ロナルドは、冷や汗をだらだらとかいている。
「……帰ってから開けて」
怪しい、ちらりとロナルドの方を見ると、視線に気づいてとても可愛らし~い顔を、許しを請うような表情でこちらを見上げていた。
ドラウスはロナルドの額をぴんと弾くと、手が緩まった隙に箱を開けた。6つのスペースに、入っているのはチョコレートが3つだけ。合点がいった。
「食べたな?」
「食べちゃった……」
「その可愛い口で……」
「はい、俺の可愛い口で……」
ドラウスがロナルドを可愛い可愛いと言うから、ロナルドにも可愛いという自信がうまれてきたらしい。しかし、だからと言ってなんでも許されるわけではないということを教えてやらないと。ドラウスはロナルドの顎を掬うと、唇に食らいついた。
「んむっ~♡ふ、ふーっ♡んぐっ♡んふぅ~っ♡」
ぐちゅ♡ぬちゅ♡れろれろ♡と舌が絡み合う。相変わらず息がうまく吸えないロナルドに背中をタップされ、舌先の力を緩めて息継ぎをさせる。ふひふひと荒い鼻息があたるのがなんとも言えず愛おしい。
ある程度呼吸をさせてから、また深く口づける。長い舌はずるり♡と喉を侵し敏感な粘膜を撫でる。ロナルドの腕がドラウスの首に回り、もたれかかってくる。もう腰が砕けそうなのだろう。腰のあたりを抱いて支えると、安心したように体重がかかった。
「っ、はぁん♡も、キス、らめ……♡ヨすぎるぅ……♡」
とろーんと惚けた瞳で見つめられ、ドラウスだってたまらなくなってきた。
「俺のチョコレートを食べてしまったお仕置きをしようか、ポール……」
ロナルドは期待するようにドラウスに抱き着いた。