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    守屋(もりや)

    @moriyayaya_cp

    I7の楽ヤマをメインに小説を書いている人。

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    守屋(もりや)

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    ご都合主義オメガバ楽ヤマ。こんな感じのいつか出したい。
    (α×Ω。運命の番設定。幼少期に会ってた設定。まだ出てないけどお子もそのうち出る。二階堂家周りかなり捏造予定)
    推敲も何もしてないので、本にする時とかはたぶんかなり変わる。ご注意ください。

    幸せ家族計画! 俺はきっと、幸せ者なんだろう。
     そう思える様になったのは、きっとアイツのおかげ。
     だから、感謝もしてるし、アイツの事、俺は心から好きだとー、愛していると言える自信もある。
     けれど、だからこそ。
     だからこそ、譲れないものもあるんだよな。
     そう自分に言い聞かせて、自分を納得させる。この選択が周りにどんな影響を及ぼすかなんて事は分かりきっていた。
     きっと周りに迷惑を沢山かけるだろう。
     それでも、たまにはー、たまにはこんなワガママ言っても、許されるよな?
     だってそう思わせる様な事をアイツはしたんだし。
     手に持ったその名刺をジッと見つめる。
     そこには先日、自分に声を掛けてくれた男性の名前が載っていた。
     小鳥遊事務所と言う芸能プロダクションの社名と共に。



    「おーし、ひとまず今日はここまでにすっか!」
     その声と共にそこに居たメンバー達が同意の声を上げる。
     息を切らす者、汗を拭う者、腹が減ったと声を上げる者。
     それぞれの様子を見ながら、大和はふぅ、と息を吐いた。
     どちらかといえば昔からインドア派な大和は元々あまり身体を動かす事は得意では無い。
     けれど新しく出来た仲間達と一緒に過ごすうちに、彼らと頑張ると言うのも、まぁ、悪く無いなと思う様になっていた。
    「皆さん、お疲れ様です!」
     そう言ってタオルや飲み物を差し出してくれたのは大和達のマネージャーだ。
     今日は新曲用のー、自分達のデビュー曲となる曲の振り付け確認をする日で、全員でその確認を行っていたところだった。
     まだ十八になったばかりだと言う彼女はその可愛らしい見た目に反し、とてもタフで根性があり、芯が通った女の子だった。
     社会に出て間もないと言いうのに社運のかかったプロジェクトー、事務所初の男性アイドルグループのマネージャーをしろと言われて、それをこなしている精神力と忍耐力はかなりのものだろう。
     正直、同じ事をやれと言われたら大和だったら速攻できません、と口にし、断っているに違いない。
     とはいえ、彼女の仕事っぷりは最初から成功ばかりでは無かった。
     顔合わせをした初日に社長からはメンバー人数を七人から三人に減らせと言われて動揺してたみたいだし、やっとこさ結成してなんとかライブを開催したと思ったら観客は九人。
     まぁ、まだメジャーデビューをしていない無名のアイドルグループなんてそんなもんだよな、と思っていた当時の大和はそれほどダメージは無かったのだけれど、マネージャーは自分の力不足を痛感たらしく、それ以降はより一層仕事に打ち込む様になった。
     大和としてはあまり無理をして欲しくないって気持ちの方が強いのだけれど、彼女のやる気を削ぐ訳にもいかないからそっと見守る姿勢を貫いている。
     このグループの年長者として、そしてリーダーとして、年下の子達の面倒を見る事に対し、嫌だとか面倒臭いとか感じる事はいつしか薄れていったのだ。
     そう思うのは、それだけ彼らが本気で取り組んでいる事が大和にも伝わってくるからだろう。
     だから、つい、応援したくなるのだ。
    「マネージャーもお疲れ様。いつも有難うな」
    「とんでもないです…!私にはこれぐらいしか出来ないですし…」
    「これぐらい、だなんて謙遜しないでよ。いつも頼りにしてんだからさ」
     そう言って軽くウインクをする。
     すると彼女はきょとん、とした後、嬉しそうに笑った。
    「ふふ、有難うございます!私も、大和さんの事、頼りにしてます!」
    「うん、マネージャーはやっぱ笑顔の方が良いよ。可愛い」
    「え…」
     そう言うとマネージャーの顔がほんのりと赤くなる。
     お、もしかしてこのウインク、効果覿面だった?
     そんな事を思っていると、大和とマネージャーのやり取りに気づいたメンバー達からの野次が飛んできた。
    「あー!ヤマさんがマネージャー口説いてる!」
    「Oh…、ワタシを差し置いてなんて言う事を…、マネージャー、ワタシのウインクもどうぞ」
    「えっ、大和さんって、マネージャーに気がある、の…!?」
     指を指して指摘するもの、自分の方が魅力的だとアピールをするもの、二人の関係を危惧するもの…、あまりにも多種多様な反応で思わず苦笑してしまう。
    「そ、そんな事ありませんよ!」
    「はは、俺はマネージャーなら大歓迎だけど?」
    「もう!大和さん!冗談でもそんな事言わないでください!」
     顔を赤くしながらマネージャーが大和に抗議をしてくる。
     そんな風に怒った顔も可愛らしくて、つい、意地悪をしてしまいそうになるのは男としては可笑しな事ではない筈だ。
    「二階堂さん。マネージャーや皆さんを揶揄うのはそのぐらいにしてください」
    「そうだぜ、おっさん。それにあんたにはもう決まった相手が居るだろ。それなのにマネージャー口説いてたって社長に知れたら、大変な事になんぞ」
    「あー…、それはやだなあ…」
     少し離れた場所に居た兄弟ー、和泉一織と三月の言葉にこれ以上、揶揄うのは難しいと悟った大和は、わざとらしく両手をあげて降参の意思表示をする。
     娘に無茶難題を吹っ掛けつつ、一人娘のマネージャーのことをとても大事にしている社長の事だ。きっとニコニコと笑いながらどう言う事なのかな?なんて問い詰められてしまいそうだ。
     そうなる事だけは嫌だった。
     そんな大和の様子にマネージャーがほっと安堵の表情を見せた。
     どうやら悪ノリをしてしまったようだ。マネージャーに謝ると、彼女も過剰反応してしまってごめんなさいと謝ってくれた。
     本当に出来た良い子だなぁ、なんて思いながら、胸元にぶら下げて居た指輪にそっと触れる。
    「…、まだ仲直り出来ていないんですか?」
    「んー…。まぁ。でもま、大丈夫だからさ」
     心配そうな視線を向けてくるのは先ほどまで自分達の様子を見守ってくれていた壮五だ。
     そんな彼にこれ以上心配は掛けたく無くて、笑顔で答えた。

     二階堂大和には決まった相手ー、番がいる。

     この世には男女の性以外に第二の性があって、大和の第二の性はΩだった。
     α、β、Ωと言う括りで分けられたその性のうち、Ωは子を宿す為の性だと言われていて、第一性が男であっても妊娠、出産ができる性だ。
     そのせいで今でも一部の人からは子を成す為だけの性、と言って卑下されている。
     第二次性徴期を迎えた頃に必ず行われる検査でΩだと診断をされた時の大和は、それはもう、驚いたし絶望したものだ。 
     とは言え、今の世ではΩの人権は法律で守られているし、身体に影響の少ない抑制剤などの薬も開発されており、生活が苦しいΩに対してもきちんと申請をすれば補助金も支給される。
     だから、昔に比べればΩが暮らし辛いと言った環境はかなり減っていると言えるだろう。
     それに加えて大和にはすぐに自分の番を見つける事が出来た。
     だからヒートになったとしても無差別にαやβの人を誘惑する事は無い。
     けれど、大和は芸能界に入ると決めた時、世間に対してはΩである事を伏せる事にした。いくら差別や偏見が少ない世の中だったとしても、男性アイドルがΩである事はー、しかも番のいるΩはイメージ的に良い印象を与えないと思ったからだ。
     そんなリスクを負ってまで自分を使いたいかと問い掛ければ、大和をスカウトしてくれた小鳥遊社長は驚く様子もなく、大和の気持ちを受け止めて、承諾してくれた。
     ただ、それには条件があって、一緒にやっていくメンバーやマネージャー達にはきちんと共有する事、と言う事だった。
     正直なところ少し不安はあったけれど、マネージャーもメンバー達も大和の第二性の事と、すでに相手がいる事に対しては、驚きはしつつも、嫌悪感を示す事なく受け入れてくれたのだ。
     それはある意味、奇跡に近い事だった。
     だから大和はΩとしてはかなり恵まれた環境にいるし、Ωであるにも関わらずこうしてアイドルとして活動出来ている今の状況にとても感謝している。
     そっと自分の頸に手を触れれば、そこには番の噛み跡があって、そこに触れるたび、大和は安心する事が出来た。
     今だって、その噛み跡が大和の気持ちを落ち着かせてくれる。
     普段は人工皮膚シートで噛み跡は隠しているけれど、今は大和の事情を知っているメンバーとマネージャーしかいない場だからそのままにしていたのだ。
     けれど大和はこの噛み跡を付けてくれたその番と、絶賛喧嘩中だった。喧嘩というか、もうここまで来ると冷戦状態というか、意地の張り合いというか。
     まぁ、そのせいでここ数ヶ月連絡も取ってないし顔を見合わせてもいないのだけれど。
     そしてその事はマネージャーもメンバー達も知っている。
    「まだ仲直りしてねーのか!?俺たち結成してから、もう二ヶ月ぐらい経ってるけど、その間、ずっと!?」
    「…、まぁ、うん」
     大和の言葉に大声で反応したのは三月だ。
     驚いたのは三月だけではなくて、他のメンバー達も同じだった様で全員が全員、目を丸くしながら大和を見つめていた。
     彼らの視線がなんだか痛くて、大和は誤魔化す様に視線を彷徨わせた。
    「や…、うん。でもまぁ、…大丈夫だから」
    「え、大丈夫じゃないでしょう、それ…。二階堂さん、定期的にご実家には帰ってますよね?その後も問題無く寮に戻っているみたいだから、もうとっくに解決してるものだと…」
    「はは…、えーっと、実家にアイツは居ないから…」
    「居ないんですか!?」
     あれ、この事、言って無かったっけ。
     信じられないと言った表情をするメンバーとマネージャーをどうやって誤魔化そうと考えるが、全ては後の祭りで。
    「…、大和さん。ちゃんと話してください」
    「えーっと。でもまぁ、ほら、家庭の事情だからさ、…うん」
    「ダメです。大和さん、確かそろそろヒートの時期って仰っていましたよね。マネージャーとして体調管理を把握しておくのも私の仕事ですから」
    「えー…、それ言う…?でもさ、ほら、ヒートになっても薬飲めばだいぶ良くなるから…」
    「ダメです!」
     断固として譲らない姿勢のマネージャーに大和は思わず頭を抱えてしまう。他のメンバーに助けを求めても、彼らはマネージャーの味方のようで。
    「大和さん、ちゃんと言ってください。俺達、そんなに頼りないですか…?」
    「ぐ…!」
     終いには目を潤ませた我らがセンター、七瀬陸のお願いが炸裂して。
     大和は仕方なく、彼等に今の自分の状況を吐露するしか無かったのである。



     大和が番のαとの出会いは幼少期に父親に連れられて行ったパーティがきっかけだった。
     まだ自分が妾の子だとは知らず、大好きな父親と一緒に出かけられることが嬉しかった大和は、その相手を見た時、首を傾げたものだ。
     なぜならそのぶすりと頰を膨らませながら不満そうな顔をしていたからだ。
     どうやらその相手は父親に無理やり連れて来られたらしく、その事が不満で不満で仕方なかったらしい。
     銀色の髪がキラキラと光っていて、ライトの光が当たるとそれがさらに煌めいていて。
     相手が自分と同じ男だとわかっていても大和はその人物に見惚れてしまったのだ。
     そして冷たそうなアイスグレーの瞳の奥に宿る熱にじっと見つめられた時、身体中にビリビリとした痺れが走った。
     その感覚が何かわからなくて困惑している大和を見て、相手が何を思ったかはわからない。
     けれど、気が付いたら大和はその子に抱きしめられていた。
     その頃の大和はあまり外に出る事もなく、人見知りだったから突然の事にそれはもう驚いたものだ。直ぐにその身体を突き飛ばそうとしたのだけれど、その腕の暖かさになぜだか胸がホッと落ち着いて。
     気が付いたら大和はその腕に自分の身体を預けていた。
     まだ第二の性がわかっていなかった頃だったから、なぜそんな気持ちになるのかは分からなかったけれど、Ωだと分かった時に、全てが納得がいった。
     あぁ、コイツが俺の番なんだ、って確信したんだ。
     それは相手も思っていたらしく、初めて会った時、コイツだけは絶対に誰にも譲りたくないと思ってくれたらしい。
     所謂、運命の番だった自分達は、お互いの第二性が判明して半年ほど経った後、正式に番になった。
     お互いの両親には猛反対された。
     いくら運命の番だとはいえ、その頃の大和はまだ中学生だったし、同い年だった相手もそれは同様で。
     けれども番にならない事で、相手が誰かに奪われる方が怖くて。
     二人でお互いの両親に必死に訴えて、認めてもらえないなら二人でカケオチするなんて言ったっけ。
     けれど、医者からも運命の番を無理やりに引き離す事は、お互いの心に大きな負担を掛けるからと言われて、それでやっとお互いの両親は納得してくれて。
     思い返せばまだ親の庇護下でしか生活が出来ない様な子供に駆け落ちなんてしたところで生きていく術なんてありはしなかったのだけれど、それでもあの頃の大和は本気だった。
     それぐらい、相手の事を好きだと思った。
     アイツと話す度、アイツの事を知る度、どんどん好きになっていった。
     絶対に離れたく無いって思ったし、ずっと一緒に居たいと思ってた。
     その気持ちを運命の番だから、なんて言葉で片付けられたくなくて、アイツの隣に立ってもおかしく無い自分でありたいと思って、色んな努力もした。
     それは自分が妾の子だとしっても変わらなかったのに。
     けれどアイツはそんな俺の気持ちを無視して、一人で先を歩いて言ってしまった。
     俺の事を愛してると言いながら、隣じゃなくて、前に進んでいってしまったのだ。大和を守る為だからと言い訳をして、勝手に進んでいってしまった。それが悲しくて、悔しくて堪らなかった。
     だから大和は何も言わず、彼の元を飛び出してきたのだ。
     そうして今、大和はIDOLiSH7として活動をしている。
    「…、わかりました。つまり、壮大な痴話喧嘩の真っ最中って事ですね」
    「!違う!!アイツが俺の気持ちを無視したから…!」
     一織の呆れた様な言葉に大和が反論する。
     メンバー達には大和の家庭の事や、父親のこと、そして相手の事は話さずに、今までの経緯を説明したのだけれど、どうやらその内容は彼等にとってはそこまで重く感じなかったらしい。
     その事が悔しくて眉を顰めていると、今度は三月が口を開いた。
    「でもまぁ、大和さんとしては、相手の行動が今も納得できないって訳だもんな。…、そりゃあまぁ、意固地にもなっちまうか…」
    「…、意固地になんてなってねぇ」
    「なってるよ。でもまぁ…、大和さんの気持ち、分からなくは無いけどさ。でも、大和さんがそう思う気持ちはさ、ちゃんと相手に伝えないと伝わらないと思うぜ。…、どうせ、伝えてないんだろ?」
    「う…」
     三月の言葉はまさしくその通りで、大和は相手に対して自分の気持ちを明確には伝えていない状態だった。
     だって、アイツが勝手に決めたから、こっちだって勝手にきめてやろうと思って…、それで…、つい。
     そう呟けば、メンバー達は全員は顔を見合わせていた。
    「…、わかりました。大和さん、相手の方になるべく早く連絡を入れてください」
    「え…、でも」
    「大和さんがヒートになるとお伺いしていたので、その予定期間は大和さんのお仕事は全面的にお休みにしています。それまでに全て解決してきてください」
    「や、えっと、マネージャー…」
     それまで沈黙を貫いていたマネージャーからの突然の提案に大和は同様を隠せない。
     けれど彼女は有無を言わせぬ笑顔で言葉を続けた。
    「元々、デビュー時期は大和さんのヒートが終わった後を予定していましたので、大丈夫です」
    「いや、何も大丈夫じゃな…」
    「よかったな、ヤマさん!これで痴話喧嘩しなくて済むんだよな!」
    「や、タマ。あのな、これは痴話喧嘩じゃな…」
    「わかりましたね、大和さん」
    「……、ハイ」
     有無を言わせないその笑顔は、社長にそっくりで否が応でも血の繋がりを感じざるをえない。
     マネージャーの言葉に頷いた大和をみてメンバー達も安心したのか、片付けの準備を始めてしまった。
     ナギが三月に今晩の夕飯は何か問い掛けている。
     どうやら今日はハンバーグカレーらしい。良いよな、ハンバーグカレー。うまいし、案外楽だし。カレーは昨日の残りがあるからそれを使って、と言う事らしい。
     って、いやいやいや、ダメだろ。
     どうやって今更、連絡を取れって言うんだ!?
     アイツからの連絡はもうこの二ヶ月間無視し続けている。ラビチャはブロックしてるし、電話は着信拒否しているぐらいなのだ。
     大和としてもこれ以上は後が引けない状態で、もうどうにでもなれって気持ちでいるのだ。番を解消されるかもっていう予感だってある。
     別れたくは…、無い。
     けど、大和だって男だ。一度決めた事は貫きたいと思っている。
     でも、そうも言ってはいられない状態になってしまって。
     小鳥遊事務所のレッスン場で、大和は一人、頭を抱える事になったのである。
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