その腕で沈めて 8話「ふうーん、それじゃあその新しい上弦の伍が、鬼化薬を作って手下にばら撒かせてたってわけなの」
「あぁ。目下、上弦の伍の探索に注力するようにとのことだ」
「当分は俺ら三人、その上弦の伍探しだな」
場所は日柱邸、二階。寝所。
長い潜入調査もひとまずの区切りとし、善逸は夜の鬼捜索に戻ることになった。
その前に、すっかり疲れ果てた身を労わる。
炭治郎のお屋敷、善逸と伊之助、炭治郎の三人で風呂に入り身を清め、軽く触れ合いながら寝所で髪に香油を撫でつけられていた。
これからどうせ、乱されるのに。
「でもさあ、上弦ともなると俺たちでも近づかないとわからんしねぇ」
「そうだな」
陽光に照らされて透ける金の髪。
それを丁寧に丁寧に手入れをして、櫛を置く。
愛おしそうに一房手に取り、口づける炭治郎。
「寒くなってきたからな、肌にも香油を塗ろうか」
「おい、お前ばっかりずりぃぞ」
「じゃあ、二人で塗ろう」
「もう、お好きにどうぞ」
なすがまま。
炭治郎と伊之助に肌に塗る用の蜜蝋と蜂蜜、金木犀の精油を混ぜたクリームを塗る。
少量を、丁寧に。前から炭治郎が。後ろから伊之助が。
指先が触れるか触れないかの、とても絶妙な触り方。
「……なんか、素面で三人でするの久しぶりで、ちょっと恥ずかしい、かも」
と、顔を背ける善逸。
最近は発情期の時にしか交合っていなかった。
酒も入らぬ素面は本当に久方ぶりで、気恥ずかしさが勝る。
「っん」
「——そうだな、俺も伊之助も今日は一度か二度が限界だろうから、善逸にもあまり無理をさせなくて済むと思うよ」
「俺ぁ素面でも五回はイケるぜ」
「夜は任務だ、伊之助」
「ソウダッタ」
だからこの貴重な時間を、大切に使う。
上弦の鬼と言っても、やはり以前ほどの強さはないだろう。
現柱ならば一対一でも遅れを取ることはないはず。
とはいえ、万全を期するべく伊之助と不死川、炭治郎と冨岡 善逸は数名の実力上位者と各地を探す。
肉刺の痕の残る指が浴衣の帯を外し、黄金の林を抜けて男としての機能を持たない性器をなぞってその奥へ。
風呂上がりだけが理由ではない、湿気の多いその場所。
じんわりと汗ばんで、愛液の匂いが濃くなっていくその割れ目を数回なぞる。
「あ、っふぅ……ん」
「今日もここに俺のを挿れような、善逸」
「んじゃあ、こっちは俺が準備するわ」
「ひいっ」
発情期ではないので、尻は勝手に濡れることはない。
なので、伊之助が香油といちぶのりをとろかして指に絡める。
恋仲の者が愛しい者にどのように接するのかもわかっていなかったあの頃とは、とても同じ人間とは思えない手慣れた様子。
一気に二本も尻穴の中に指を挿れ、ほぐしていく。
「善逸、前と後ろ両方同時はやめておくか?」
「え? な、なんで? 三人でする時、いつもそうするのに……?」
「苦しいって、言ってたから」
発情期の時に。
炭治郎はもちろん、伊之助だって善逸が苦しいのは嫌だ。
嫌がることも無理もさせたくないので、今日は無理に二人同時に挿入しなくてもいいのでは、と思う。
しかし、そんな炭治郎の提案に善逸は頬を膨らます。
「確かに苦しいけど……炭治郎と伊之助が両方俺の中にいるの、好きだもん。っていうか、炭治郎も伊之助もいない発情期中の方がよっぽど苦しいし」
「善逸……」
「二人が俺の体を気遣って、息を合わせて可愛がってくれるの、ちゃんとわかってる。だから、大丈夫……来て、炭治郎、伊之助」
右手で炭治郎の肩を引き寄せ、左手で伊之助の頭を抱き寄せる。
大人しく聞いていた伊之助も、善逸の答えを聞いて目を閉じた。
番が、愛する人が、それを是とするならば。
「わかった。それでも優しくするよ」
「ん、っ」