月刊銀高:日課自然にそうなったことだが、いただきますは二人着席してから。
一緒に暮らし始めて、色々なことが変わった。けれどこの習慣だけは、最初からずっと続いている。
高杉が料理を始めて、ようやくまともなものが出てくるようになったこの頃。今日も一日に二回の共食の時間を過ごすのだった。
「今日なに?」
「肉じゃが」
「ふーん、焦がしてない?」
「焦がしてねえよ。何度作ってると思ってんだ」
台所に立つ高杉の背後から鍋を覗き込む。今肉を入れたところらしく、鮮度の良い色がぐつぐつと煮込まれている。
「初めの頃は煮すぎてジャガイモドロドロにしてたクセに」
「前のことをいつまで言ってんだ」
高杉がじろりとこちらを睨む。
料理とは失敗するとなかなか取り返しがつかないものだ。
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