あの男の横顔ほど目をひくものはなかった。額の前で揺れる二筋の前髪が、風に揺らされ鼻梁を撫でる。薄笑いを潜めた口元はどきりとするほど冷淡で、裏腹に瞳は穏やかそのもの。じっと座して時を待つその姿を見るたび、ブロリーは彼を殺してやりたくなる。
ベジットを元の二人に戻すため、雑魚どもがボール集めにいそしんでいることは知っている。サタンから聞いた。不思議なボールの存在自体も、父親が地球を調査しているときに大喜びで教えに来た――ような記憶がある。要は知っている。だから彼らの人為的に起こす奇跡が確実にカカロットたちを呼び戻すこともブロリーは分かっていた。ベジットを訪ねたのに、深い理由はない。守ろうとした存在に抹消されるのはどんな気分か聞いてやろうと思っただけだ。結論としては、聞くまでもなかった。
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