まんば「デ、デートをしようと、言われたんだが、どうすればいいんだろうか…」 まんば「デ、デートをしようと、言われたんだが、どうすればいいんだろうか…」
加州「…それ俺に聞いちゃう?」
安定「そうだよ、本人に聞きなよ」
まんば「言えるか!さっき部屋覗いたら観光ガイドとか映画の情報誌とか文机の上にあって…」
加州「愛されてんじゃん、いいことだよ」
まんば「だが、俺に務まるだろうか…」
安定「デートの相手が?山姥切は山姥切の彼氏じゃないの?」
加州「こいつが言いたいのは多分、粗相しないかとか期待に応えられるかとか、そういうやつだよ」
安定「恋人なら、そういうの気にしないと思うけどなあ」
まんば「それもあるが…『行きたいところはある?』って聞かれて…こういうのって何が正解なんだ…」
安定「正解とかあるの?」
加州「うーん…考えすぎだとは思うけど、山姥切らしいといえばらしい…」
兼さん「なんだなんだぁ?まだ部屋に戻ってなかったのか?」
歌仙「さっき厨で会った時にもう戻るって言ってたよね、だいぶ経たないかい?」
安定「ちょうど良かった、ふたりも山姥切の話に付き合ってよ」
まんば「え、ちょ…」
長谷部「そこは出入口だ、さっさと退け」
歌仙「ああ、すまない」
加州「いいところに来た!長谷部も混ざる?」
兼さん「よくわかんねえけど、山姥切が相談事だとよ」
長谷部「…何かデジャヴを感じるんだが?」
亀甲「揃いも揃ってどうしたの?出陣?」
まんば「いや、そうではなく…おい、どうするんだ加州 」
加州「前みたいに話聞いてもらいなよ、何か解決策が見つかるかも」
まんば「…そうか?それなら…」
―――
亀甲「なるほどなるほど、デートかあ…甘酸っぱいやつだね!」
長谷部「対策も何もあるか?出かけるだけだろう?」
宗三「そういう刀ですよね、貴方は。映画にしておくのが無難では?何もしなくても2時間ほど勝手に過ぎますから」
長谷部「どっから来た?!」
宗三「え、普通に障子戸ですけど…」
南泉「お前ら真剣に聞いてたから、オレたちに気づいてなかったんだよ」
歌仙「自分以外の恋路というのは気になるものだからね…」
南泉「…野次馬、にゃ」
歌仙「何か?」
南泉「いーや、なんにも。あいつの期待に応えようとかして無理すると、それはそれであいつ嫌がるんじゃねーか?」
加州「って、昔なじみが言ってるけど?」
まんば「一理ある…だが、期待はずれにもなりたくないんだ…あいつの理想とか高そうだし、その理想の図に負けたくないというか…」
安定「ああ…ちょっとわかるな。実体のない心の中の誰かに対する嫉妬みたいな感じ…」
長谷部「…まあ、わからんでもないな。期待に答えればいいだけ、とは思えど、なんともな…」
兼さん「鬱屈してんなあ…理想とのギャップっつーのは、ないとは言わねえけど」
蜂須賀「理想が高いと超えるのも大変だものね。超える楽しさがあればいいけれど、苦しいだけならば辛いだろうし」
長谷部「前々から思ってたんだが、俺達突然会話に割って入りすぎじゃないか」
宗三「話を戻して先程の提案ですがどうですか?」
まんば「…映画、いいとは思う、んだが…」
亀甲「わかった、ふたりの趣味がバラバラなんだね」
南泉「あー…そんな気はする、にゃ。適当に話合わせてもバレそうだしな…」
まんば「絶対バレる…なぜか俺の嘘は見破られるんだ…」
豊前「それだけ山姥切はお前のことよーく見てるってことなんじゃねーの?」
歌仙「嘘を見破るのは観察力とも言うからね、そういうのもありそうだ」
宗三「感想言い合って喧嘩になっては台無しですしね、やめときましょう」
長谷部「お前の意見じゃないのか」
宗三「ええ、僕の意見です。現代社会は刀剣にも柔軟さが求められてるんですよ」
まんば「だが、映画の情報誌もあいつの文机に置いてあったんだよな…」
蜂須賀「それって案外、『映画を見に行こう』って山姥切が言い出すように仕向けたい、みたいな、そういうアピールだったりしないかい?」
豊前「なんだそれ回りくどいな」
加州「えー…でもやらない?俺主の机の上にそっと新色の爪紅のページを開いて置いておいたら、この前の誉祝いにってくれたよ?」
亀甲「それはなかなか策略的でいいね」
歌仙「…それは主はわかった上で加州にあげたんじゃないかと思うけど」
加州「え、そうなの?サブリミナル効果作戦成功したと思ったんだけど」
蜂須賀「それは…サブリミナル、かなあ…」
長谷部「目的は達成出来たのだからいいだろう、あまり主を困らせるな」
安定「あれね、主もにやにやしてたから楽しんでたと思うよ、色々と」
加州「え、嘘何それ俺すごい恥ずかしいんだけど」
宗三「というわけで、サブリミナル効果作戦はどうでしょう?」
まんば「…この流れで言われて、いいなと思えるか?」
村正「また何かお悩みデスか?鳥より青いデスねえ」
同田貫「ここまで青いと羨ましくもならねえな」
村正「アナタ元々隣の芝なんて気にしないじゃないデスか」
狐「やぁやぁ皆様お揃いで!何やら以前見たような気がしますな~!」
亀甲「あ、遠征お疲れ様。お茶いれるよ」
鳴狐「ん、ありがとう」
亀甲「大倶利伽羅くんも、そんなあからさまに『なんだこれ…』って顔してないで」
伽羅「…してないし、俺はいい」
むっちゃん「なんちゃあ、またこがあによって…」
兼さん「なんつーか、まんばの相談会続編だな」
むっちゃん「山姥切が?喧嘩でもしたがか?」
安定「もっと惚気だよ」
まんば「の、惚気じゃない…!」
豊前「まあ惚気だな。けど、本人の弁はこう」
むっちゃん「おお、幸せな悩みってやつじゃ、ええのう」
まんば「あんたまでからかうな…っ!俺は真剣に…」
加州「そーそー、真剣に恋してるみたいだから応援してあげてよ」
鳴狐「山姥切、頑張れ」
まんば「違…っわ、ないけど、違う…!」
兼さん「で、デートだっけか?映画以外かあ…遊園地とかはどうだ?」
同田貫「ディズニーとか、ユニバとかか?」
蜂須賀「山姥切、人混み苦手だろう?」
同田貫「雨の日に行けば少ねぇだろ」
蜂須賀「アトラクションが楽しめないんじゃ本末転倒じゃないか」
歌仙「雨の遊園地って雅だねえ、すごくいいな」
安定「って蜂須賀アトラクション派?ちょっと意外」
伽羅「…はあ、湿度が高いと不快指数が上がる。あとは分かるな?」
まんば「不快指数…」
むっちゃん「大倶利伽羅は猫っ毛やき、余計にそう思うがやないか?」
まんば「…だが、とりあえず雨の遊園地は却下で頼む」
南泉「最終的にはお前があいつと決めるってことは忘れんなよ」
まんば「…ああ、わかってる」
南海「おやおや、これはなんの集まりかね?」
むっちゃん「南海先生やか、ほうじゃ、先生は前はいなかったぜよ」
兼さん「あー…そうか、そうだったな。山姥切がデートに誘われたけど色々と不安だっつー話…だよな?」
亀甲「大体あってる」
むっちゃん「おんし、わしん時よりも丁寧がやないか?」
兼さん「お前は前回もいただろーが」
南海「ふむ、つまりは惚気か」
まんば「だから違うと!」
加州「あ、見て見て、水族館とかデートにいいんじゃない?んで、ここのプラネタリウムになってるレストランとか!雰囲気あるよ」
亀甲「どれどれ…あ、暗がりが多ければあまり人目とか気にしすぎなくていいんじゃないかい?」
歌仙「へえ、こんなところがあるんだね」
蜂須賀「俺にも見せてくれ」
宗三「あ、僕も気になります」
長谷部「…プロジェクター持ってくるか?」
南泉「そこまでしなくてもいいだろ、企業のプレゼンかよ…あー…オレは…暗がりは寝そうだなぁ」
まんば「緊張、すると思うから、寝たりはしないと思うんだが…」
同田貫「緊張してなくても、映画みたいに座りっぱなしじゃねーから、寝るとかはまずねぇんじゃねーの?」
南海「ふむふむ…刀剣男士固有の性格については管轄外なんだが…山姥切はあがり症なのかね?」
村正「あがり症というか、典型的なネガティブ思考デスね」
まんば「否定はしないがはっきりと言い過ぎじゃないか…」
村正「オブラートに包む方が時にヒトを傷つけるものデス」
南海「ほぅ…緊張しやすいのなら、ずっと別のことに集中できるようなところがいいと思ったのだがね」
兼さん「なんだそれ、かに道楽か?」
宗三「カニは確かに食べるのに集中しますけど、デートだというのに双方無言でカニを貪るんですか…」
豊前「宗三って案外ロマンチストというか、雰囲気大事にするよな」
宗三「案外とはなんですか。雰囲気は大事でしょう、ドラマのシリアスシーンでドリフのテーマが流れてたら台無しでしょう」
豊前「例えが極端。そんで、別のことに集中するような場所ってたとえば?」
村正「…………ラブホ、デスか?」
まんば「…?!」
加州「ちょっと考えなよ、こいつがそんなところに初デートで行きたいとか言えるクチだと思う?」 まんば「あんたは俺の事なんだと思ってるんだ。言おうと思えば言える」
長谷部「だが、初デートでそんなとこリクエストするのは、宗三じゃないがそれこそ雰囲気が台無しだろう…」
南海「確かに別のことに集中というか、考えることを放棄するような場所ではあるけど違うな。図書館とかどうかと思ったんだが」
むっちゃん「先生向けじゃのう…」
亀甲「そもそも盛り上がる場所じゃないよね…と思ったけど、映画もそうか」
兼さん「ってか、映画の趣味が合わないなら、本の趣味も合わないだろ」
南海「ああ、たしかにデート向けではなかったね、すまない、忘れてくれたまえ」
南泉「そもそも、山姥切って張り切ってプラン組んでそうじゃねーか?」
同田貫「あー…確かに?全部自分に任せておけって感じか?」
安定「わかる、エスコートとかも好きそう」
蜂須賀「確かにそういうところはありそうだけど、それならなんで山姥切にどこへ行きたいかとか聞いてきたんだい?」
村正「確認じゃないデスか?自分のプランが合わないのもよくないデスから…」
豊前「…うわ、回りくどいな」
むっちゃん「おんしそれ2日目ぜよ」
まんば「え、え、それなら俺は何をいえばいいんだ?どこでもいいとか?」
加州「どこでもいいは困るでしょ」
歌仙「夕飯何がいい?って聞いて、なんでもいいって言われると困るからねえ…」
狐「わたくしめは油揚げがいいです!」
伽羅「なんでも美味いから、なんでもいいと言うんじゃないか?」
歌仙「…と、大倶利伽羅が言ってたって今度燭台切に伝えようか」
伽羅「違う、やめろ」
亀甲「それってつまり、一緒にいればどこでも楽しいからどこでもいいよ、ってこと?」
まんば「…それは、いや、それもあるといえばあるが」
南海「うん、惚気だね」
安定「さっきからずっとそうだよ」
狐「お幸せそうですなぁ~。しかし、それならもう、何も考えずエスコートされてしまえば良いのでは?」
豊前「まあ、確かにな。山姥切も、まさかどこへ行きたいか聞いたくらいでお前がそこまで悩むとか思ってないと思うぜ」
加州「あはは、あいつ今頃パフェとか食ってるよってやつだね。ところで、山姥切の本音としてはどこに行きたいとかあるの?デートとか関係なく」
まんば「どこへ…と言われても…そうだな…それなら、あいつの地元とか、行ってみたい」
蜂須賀「ほら惚気じゃないか」
まんば「だから違うと言ってる!」
歌仙「惚気かどうかはさておき、そのことは伝えたのかい?」
まんば「え、いや…」
南海「うんうん、それならば、言った方がいい。今は人の身、喋る口があるのだし、持ってるものは有効活用すべきだ」
狐「いえいえ、鳴狐はそのままでいいのですよ!そのままでも素晴らしいのですから!」
鳴狐「あの…鳴狐の話じゃないと思う…」
長谷部「お前ら相変わらずだな…」
宗三「今回は扉の向こうでこんにちはしたりしないんですかね」
村正「残念ながら特に気配などはないデスねぇ…」
兼さん「そんなことしょっちゅう起きてたまるかよ」
豊前「あん時は悪かったな…でも結果オーライだっか?それならいっか」
歌仙「豪速球の自己完結を見た」
南泉「あいつの地元っていつのだ?それだと場合によってはオレの地元にもなっちまう、にゃ」
まんば「あ、そうか…そうだったな…あいつそういうのも気にするだろうか」
南泉「絶対そんなの気にしないと思うけどな。座右の銘はゴーイングマイウェイみたいな奴だし」
安定「座右の銘ってもっとこう、志的なやつじゃないの?」
蜂須賀「…贋作がよく言ってるようなやつとか」
むっちゃん「『言葉より行動!』ってよおゆうとるね」
歌仙「この前将棋を一緒にさせてもらったけど、あれで長考する方だよね、彼」
兼さん「考えた上で行動が最善手ってことが多いんだよな、なんだかんだで」
まんば「まあ…そう、だな…散々考えて答えを変えたら最初の方が合ってるとか…」
村正「学パロのアナタがテストでやってそうデスね」
まんば「学…?確かに俺の出自は足利学校とも言われているが…」
長谷部「山姥切はそれ素なのか…いや、素だったな」
亀甲「そういえば、長曽祢さんは?」
宗三「出陣じゃありませんでしたっけ?たしか…」
長曽祢「おれがどうかしたか?」
蜂須賀「ほら、噂をすればすぐに来る…」
加州「最初に言ったのお前だよ」
安定「おかえりなさい。出陣?であってる?」
長曽祢「…?ああ、そうだが…それにしてもどうした?みんなで集まって」
亀甲「デートスポット会議中…だよね?」
長曽祢「デートか…うん?デート?」
南海「刀剣男士がこのような関係になるというのも興味深くてね」
まんば「相談に乗ってもらっていたんだ、山姥切にどこに行きたいか聞かれて、それで、どうすればいいかわからなくて…」
宗三「あ、ちょっと」
加州「それで、結論を言うと、こいつは山姥切とならどこでもOKだけど、できればあいつの地元とかに行ってみたいんだってさ」
宗三「…待ってください、と言いたかったんですが遅かったですかね」
長義「へぇ…随分と可愛いことを言えるんじゃないか」
まんば「え、は?!な、なんで…」
長谷部「そういえば、長曽祢と今日の出陣同じ部隊じゃなかったか?」
宗三「そうなんですよ、それを言おうとしてタイミングを逃しました」
亀甲「まさかの2度目のバッティング…運命だね」
鳴狐「…運命?」
安定「事故る運命…?」
兼さん「誰かこいつ助けてやれよ…固まって動かなくなってんぜ…」
伽羅「次に言いそうなことが想像に容易いな」
まんば「…無理、折れそうだ…」
同田貫「おいおいだいじょーぶかぁ?」
村正「羞恥で刀は折れませんから大丈夫デスよ」
同田貫「ま、前例はねーわな」
まんば「俺が前例になる…はは、写しが起源とはな」
加州「修行行ったのに流れるように自虐にはしってる…」
蜂須賀「もともと言うつもりもなかったんだろうね…余程ショックだったみたいだ」
長義「って、何がどうしてそんな会話になったんだよ。俺はただ、国広の意見も汲むのが持つべきものとしてやるべきかと思って、行きたいところとかある?って聞いただけなのに」
南泉「ほらな」
むっちゃん「その国広の方は、どうしたらえいがかわからのうて、どれが正解かさなぐしてたみたいちや」
長義「正解?自分の行きたいところに正しいも間違いもないだろう、全く…」
豊前「大分お前らのことわかってきた気がするけど、まあ、らしいといえばらしいすれ違いだな」
歌仙「ところで、山姥切はどうだい?」
長義「何が?デート?それなら抜かりないよ。こいつは借りる…いや、貰ってくね」
南泉「ほらなほらな」
長谷部「さっさと持っていけ。もういい時間だ」
長義「じゃあ遠慮なく。ほら、白くなってないで行くよ」
まんば「…っあ、ま、引っ張、」
長義「俺の部屋でいいね?それじゃ、皆もあとはごゆっくり」
兼さん「おー」
南海「嵐のように去っていったね」
南泉「あれが通常営業、にゃ」
加州「…あーもしかしてこれ俺が事故った?俺今日事故りまくってない?」
豊前「そうか?多分これも結果オーライだろ」
加州「ならいっか、よし解散!」
―――
長義「で、何をそんなに考えることがあったのかな」
まんば「いや…その…お前はいいのか?」
長義「…?何が?」
まんば「行くべき場所とか、最適解が…」
長義「そんなのないよ。大体、お前の行きたい場所を聞いたのに、正解も何もあるか。まあいいけど、さっき答えは聞いたしね」
まんば「それは忘れてくれ…」
長義「嫌だね。それで?その場所って、いつの俺のこと?」
まんば「…え、本当に行くのか?」
長義「もちろん、お前の可愛いリクエストだからね」
まんば「か、可愛いとか…っ!」
長義「はいはい、それで?」
まんば「…それじゃあ――」
この後めちゃくちゃ旅行計画立てた。