堀清+兼探偵パロ 1 ドリップ式で作るコーヒーが生まれいずる音を聴く。泡が潰れ黒色がマグカップに落ちていく。
「怨霊、すか」
電話応対をしている兼定の声に、堀川はちらとそちらを見たがまた視線を手元に戻した。コーヒーを淹れるのは好きな時間だ。音だけでなく香りも心を安らがせる。
「堀川、ミルクはいいの?」
「いいんだよ清光くん。ブラックコーヒーを飲んで、胃がきゅっとなるのが好きなんだ」
寄ってきた幼い少年にそう告げると、彼はふうん変なのと胡乱げにした。
「堀川はMなのかな」
耳年増はそんなことを言う。電話口に届かぬようひそめつつ笑って、堀川はその子の頭を撫でた。
「確かめてみる?」
「な」
染まる頬はまだまだ子供の証である。ぽん、と頭頂部を叩くと、清光から恨みがましい視線が送られた。
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