堀清+兼探偵パロ 2 加州清光はいわゆる孤児だ。親から育児を放棄され、施設に入っていた子だった。
生まれた時から、彼は一度も『いい環境』に身を置いたことがない。それなのに彼は心優しく強く美しい。出会った頃からそうだった。だからあれは清光が持って生まれた魂の高潔さなのだろうと堀川は思っている。
そんな彼は今日もまっすぐに堀川を見ている。視線に気づきながら、堀川はなんでもない顔でブラックコーヒーを淹れた。
「……堀川、胃が荒れるよ。一日に何杯も飲んでんだから、ほんとに痛くなっちゃうって」
「大丈夫だよ。僕は大人だから、ね」
口元で笑ってコーヒーを啜ればその子供は悔しそうに口を噤む。かわいいなあ。いけない大人に引っかかっちゃって可哀想に。遠いところでそんなことを思う。
6154