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    フスキ

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    フスキ

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    堀清でワードパレット、21番です!特だったころと極の比較。極めてやっと堀川くんに並び立てる清光大好きなんですよね…

    #堀清
    pondSnail

    (ワードパレット・堀清)ベッドのはしっこ(たぐり寄せる・距離・シーツ)「清光くん、この距離はなにかなあ」
     怒っている、というほどではないけれど少々機嫌を損ねた声で堀川が聞いてくる。清光はたじろぎつつ、ゆるゆる視線をそちらに向けて返した。
     くっつけた二組の布団、端っこにいる自分と真ん中の堀川。
    「えっと……予防線……?」
    「なんの予防線かなー」
     しかし容赦なく詰め寄ってきた彼に抱えていた大きな枕を取り上げられてしまった。自分を遮るものがなくなってしまったことに不安を覚え、清光の眉が下がると、堀川もまた眉を下げてため息をついた。
    「……あのね、清光くん。やらしいことする前に一緒に寝ることに慣れたいって言ったの君だよね」
    「はい……」
    「今日はその初日です。一緒に寝るだけだって言ってるのに、君はなんの予防線なんて欲しがってるの?」
    「ごめんなさい……!」
     堀川の怒りはごもっともなのだが、清光は涙目でだってだってを繰り返した。
     清光は普段安定と一緒の部屋で寝ていて、堀川も和泉守と同室だ。そんな二人が同衾するために、相談を受けた審神者は空いている別室の使用を許してくれた。それがこの部屋なのだけれど。
    「なんか、だって、落ち着かない……!」
     今まで部屋を移動したことがなかったので気づかなかったけれど、清光は環境の変化にとても敏感なほうらしい。眠気はまったく訪れず、そうするとどういう意図で今夜からこの部屋で寝起きするのかという状況が否が応でも沁みてくる。早い話が緊張だった。
     縋る枕も奪われて、清光は本気で泣き出しそうな気持ちになる。俺ってどうしてこうなんだろ。こんな弱かったら堀川にだって嫌われちゃうのに、嫌なわけじゃないのに、なんでこんな……。
     ふいに、堀川に手を取られた。顔を上げると、そのまま腕をたぐり寄せるように抱きしめられる。
    「よしよし。……清光くん、君を今抱きしめてるのは誰ですか」
     目を瞬いて、恐る恐る口を開けた。
    「……ほりかわ」
    「そうだね。それは怖いやつかな?」
    「……ううん、怖くは、ない」
    「君に何か嫌なことをすると思う?」
    「思わない」
     にこ、と堀川が笑ってくれる。頭を撫でられた。
    「まだ逃げたい?」
     優しい笑みだ。穏やかな言葉でしっかり諭されてしまって、もうぐうの音も出ないし心は落ち着きを取り戻す。清光は首を左右に振って否定して、堀川に抱きついた。
    「逃げない。好き……」
    「あはは、ここまで長かったなあ」
    「ごめんってば……」
     抱き合ったそのままの体勢で横になる。枕も敷かない布団にシーツがよれた。
     はじめて一緒に眠る夜は、そんなふうに流れた。

    「なー堀川、いっしょに寝よーよー」
     互いに修行から帰ってきて数か月の夜。寝ずの一晩を乗り越えて近侍を勤め上げた堀川にそう声をかけると、彼は唸りながら顔を顰めた。
    「えー……だって清光くん、寝せてくれないでしょ」
    「終わったら寝かすよ」
    「ほら寝るだけじゃないじゃない。恋人が寝かせてくれないのは男の誉だけどね、時と場合ってのがあるよね」
    「チッ……かわいくねーほりかわ」
    「こらどこの子ですか舌打ちなんかする悪い子は」
     頬を片手で掴まれて、注意なんてものを声にしようとするその口を啄んでやる。さらに顔を顰める堀川に、嫣然として自分の唇を舐める様を見せつけてやるとため息をつかれた。
    「……初夜前の君のかわいらしさを返してほしい」
    「俺は今が世界一かわいいよ」
    「愛されてる自覚を持っちゃった子よりも自信のない子のほうが好みだったんだよなあ」
    「サイテーじゃん」
     けらけら笑ってやると頬に口づけをされた。どうやらお返しのつもりらしい。しかし位置的には少し不満だ。
    「口にしないの?」
    「部屋でね」
    「ヤリ部屋行ってくれんの!」
    「その言い方やめときなさい、かわいくないよ」
     主さんがせっかく空けっぱなしにしておいてくれてる部屋をなんて呼び方するの、と正論を述べる堀川の手が、そのくせ腰に回ってくるものだから。
     笑ってしまって、清光からも背中に腕を回し返した。
    「ゼロ距離になったね」
     何を言いたいか分かったのか、堀川も崩れるように笑ってくれる。
    「長かったけどね」
     修行も終えて、たくさんの己にまつわる真実を見てきた。もう特だったころには戻りようもない。でもそれは絶対に悪いことじゃないんだ。
     俺たちは変わり合いながらも、同じ部屋で眠ることを選べるんだから。
    「自信のない子のが、好みではあるけど」
     堀川がにやりとこちらを向く。
    「好みで恋をするでもないし、ね?」
     清光もふはっと破願した。そうだこれは最高の恋だ。

     俺も好みの話すると自分より可愛い男は地雷、と言い放ったら、堀川がまあ僕かわいいからねとアイドルのごときポーズを決めてきたので腹を抱えて笑った。
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    フスキ

    DONEまろくんが天使だったパロの水麿、すいくん風邪っぴき編です。
    ひとは弱くそして強い(水麿天使パロ) 僕の天使。嘘でも誇張でもない、僕のために人間になった、僕だけの天使。
     水心子は、ほとんど使っていなかった二階の部屋に籠もり、布団をかぶって丸まっている。鼻の詰まった呼吸音がピスー、ピスーと響くことが、いやに間抜けで、布団を喉元まで引き上げた。
    「……水心子」
     僕だけの天使、が、ドアの向こうから悲しげに呼びかける。
    「入らせて。ね、顔が見たいよ」
     清麿は、心細くて堪らないような声でそう言った。ぐっと息を詰める。顔が見たい、のは、こちらだってそうだ。心細くて堪らないのだって。けれど、ドアを開けるわけにはいかない。
     水心子は風邪を引いてしまった。もとより人である水心子は、きちんと病院に行き診察を受け、薬を飲んで今ここで寝ていられる。けれど、一緒に暮らす清麿は、元が天使だ。医療を受ける枠組みの中にいない。もし彼に移してしまって、悪化してしまっても、水心子には術がない。天使だったのが人になった身なのだ。病院で診られて、もしどこかに普通の人とは違う部分があって、それが発端となり彼を失うことにでもなったら。
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