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    rk_i2z

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    rk_i2z

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    開始早々地下吊されたガンジを救助に行ったリチャードが、救助恐怖を喰らう話。
    カップリング要素はないです。

     今日も荘園では命を賭けたゲームが行われる。 
     今回の編成はリチャード、ガンジ、アニー、ビクターだ。
     待機席に着くなりガンジは得意げに宣言した。
    「俺が5台分チェイスしてやる」
     以前のリチャードなら、何ふざけたことを、と呆れていただろう。しかし、ガンジと共に何度も試合に行った今なら分かる。ガンジは躁病を患っている。きっと今は躁状態で大きな口を叩いているのだろう。
    「頼りにしているぞ」
    「任せろ!」
     リチャードの言葉にガンジは自信満々に答える。

     会場は軍需工場。ガンジは小屋付近にスポーンした。ガンジは解読が遅い。隠密するよりも解読を始めた方がいいかもしれない。
     暗号機に近づいた瞬間、心臓が跳ね上がる。周囲に素早く目を走らせると、ハンターらしき人影が見えた。
    「ハンターが近くにいる!」
     ガンジはチャットを打つと走り出した。ハンターは足萎えの羊ジェフリーだ。ジェフリーもガンジに気づき、距離を詰めてくる。
     近くにある板を倒し、それを素早く乗り越えようとしたが、足がもつれてしまった。ガンジの動きが遅くなった隙をジェフリーは逃さなかった。
     強烈な一撃が襲ってきて、ガンジは頭を抱えた。息が詰まり、視界が歪む。恐怖を喰らったのだ。
     マズい、即死してしまった。
     風船に括り付けられ、体が宙に浮く。ガンジは必死に踠くが、ジェフリーは難なく小屋の中に入っていく。
     ガンジの顔から血の気が引いた。ジェフリーは地下に吊る気だ。

    「解読中止、助けに行く!」
     リチャードはチャットを打つと、小屋目指して走り始めた。
    「ん?」
     走り出してすぐにウィックが駆け寄ってきた。ウィックが咥えている手紙を開けてみる。中身は冷静の手紙だった。
     救助に行かないで解読に集中しろということか。
     リチャードは形の良い唇の端を上げると、手紙を引き裂いた。
    「ワン!?」
     ウィックが抗議をするように吠え立てる。
    「すまない、私は仲間を見捨てることはできない」
     そう、私は騎士なのだからーー。
     ウイックの声を背に、リチャードは再び走り出した。
     ガンジとの思い出が次々と思い浮かぶ。
     最初は喧嘩ばかりしていた。
    「お前、その剣で自分の腹を斬れよ」
    「すまない、クイーンイングリッシュで喋ってくれないか?」
    「お前の粘着なんかしないからな」
    「結構だ。私も貴様は助けない」
    「मरना!!」
     リチャードに向かって外国語で何か叫ぶガンジ。何を言っているかは分からなかったが、どうせ暴言だったのだろう。
     コイツとは仲良くできないと思っていたのに、2人とも試合で良い働きをするうちに、お互いを認め合えるようになった。
     リチャードはマップ上に落ちていたガンジのクリケットボールを渡す。
    「ほら、貴方のものだろう?」
    「スターリング……」
    「リチャードでいい」
     リチャードは微笑んだ。つられてガンジも表情を和らげた。
    「ありがとう、リチャード」
     やはり、ガンジを見捨てることなどできない。
     ジェフリーが、救助に来たサバイバーを迎え討つべく、小屋の外まで出てきているのが見えた。
     地下救助でも、私ならできる。
     リチャードはハンターの行動を予測するべく、剣を振るった。

     冷静の手紙を送ったビクターは解読に集中していた。だから、リチャードが手紙を破り捨てたことに気づいていなかった。
     相棒が戻ってきた。しかし様子がおかしい。
    『どうしたのウィック?』
     ウィックが何かを訴えるように吠え立てている。何か尋常ではないことが起こったのは確かだ。
     その時、ビクターは手紙の効果が現れていないことに気づいた。
    『まさか、手紙を破り捨てた!?』
     肯定するかのようにウィックが吠える。
     ビクターは今だけ納棺師に転職したくなった。そして、手紙を破り捨てたサイコパス騎士を納棺してやる。

     椅子に座らされたガンジは、うなだれていた。
     マッチング前は、勝利への希望を求める闘志で溢れていた。それが今はどうだろう。開幕早々即死して、しかも地下に吊られる。
     ガンジは瞼を閉じる。
     皆、俺を助けなくていい……。
    「解読中止、助けに行く!」
     仲間からのチャットに、ガンジは目を見開いた。
     リチャードはガンジを助けようとしてくれている。アイツは、まだ諦めていない。そうだ、俺が弱気になってどうするんだ。
     ガンジの目には、ビクターやアニーの「私を助けなくていい」のチャットが映っていなかった。
     リチャードが剣を振るうシルエットが見える。予測を当てたらしいが、檻に阻まれてなかなか地下まで来ることができない。
     そうしている間にタイムリミットは刻一刻と迫っている。
     そろそろ椅子のゲージが溜まりそうな頃、やっとリチャードが地下に辿り着いた。リチャードは剣を地面に突き刺す。
     しかし、その瞬間、無情にも椅子が動き出した。
     地下に吸い込まれるガンジが最後に見たのは、兜の隙間から覗くリチャードの絶望に打ちひしがれる目と、リチャードの背後で腕を振り上げるハンターの姿だった。

    ガンジ・グプタ
    解読率0%、牽制8秒。行方不明。
    開幕早々地下吊りをされた彼には、今まで見たこともないほど低い点数がつけられた。

    リチャード・スターリング
    解読率13%、牽制21秒。行方不明。
    仲間からの手紙を破り捨てた騎士は、地下で救助恐怖を喰らった。

    ビクター・グランツ
    解読率80%、牽制54秒。行方不明。
    地下で救助恐怖を喰らった仲間を耳鳴り見捨てする。試合後、ガンジとリチャードを同チーム拒否申請した。

    アニー・レスター
    解読率210%、牽制40秒。脱出。
    ジェフリーのお情けでハッチ逃げを許された。
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    rk_i2z

    DOODLEジェフリーがマーカスを協力狩りに誘う話。
    カップリング要素はありません。

    ※まだマーカスがランクマ解禁されていない時期に書きました。現時点でマーカスが協力狩りに参加できるか不明ですが、行ける前提で書きました。
    ※ジェフリーとマーカスの口調がよくわかっていないです。
     マーカスはジェフリーと共に、期間限定の星空の公共マップを訪れていた。
     空には見惚れるほどの満点の星が輝いていて、辺りには花火も打ち上がっている。
     幻想的な光景に、思わずマーカスも表情を緩めてしまう。
    「マーカス」
     呼びかけられ、マーカスはジェフリーに視線を移した。ジェフリーは空を見上げながら話を続ける。
    「俺も勝てるように、たくさん試合に行くよ。だから、いつか……」
     マーカスは無言で先を促す。
    「いつか、一緒に協力狩りに行こう」
     マーカスは咄嗟に答えることができなかった。協力狩りが、どういうものなのか知らない。
    「協力狩りとは、何だ?」
    「あれ? 知らないのか。協力狩りっていうのは、ハンターが2人、サバイバーが8人で行う試合だ。暗号機も普段の試合より多いし、ハンターもサバイバーもアイテムが買えたりと、少し特殊な試合らしい。俺も行ったことがないけど」
    1886

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