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    jil85045373

    @jil85045373

    軽めのものもポンポンアップできる場所として。
    使い勝手がよさそうならベッターのもこっちに移行するかも……?

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    jil85045373

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    高銀前提のオメガバ設定の何か。アルタナ杉(記憶なし)がでます。
    未亡人坂田が書きたくて……。悲恋的な感じです。

    高銀前提のアルタナ杉でオメガバ的な悲恋(高銀)「あんたが俺のつがいだと聞いた」
    そう言って自分を見上げるふたつの眼に、銀時が抱いた感情は「ざまぁみろ」だった。
    死に損なって苦しんでいた奴が、また死に損なってやがる。
    ざまぁみろ。
    笑い話にしては上出来だ。
    「昔の話だよ」
    銀時は笑う。
    笑わなければ、いけなかった。
    「でも、俺があんたを番に選んだんだろ?」
    記憶よりも小さく柔らかい手が、銀時の手に触れる。ためらいもなく手を取って、包み込む。
    「だから、知りたくなった。あんたを……坂田銀時ってのが、どんな男なのか」


    「てめぇは本当にろくでもねぇ男だなぁ」
    そう言ってふたつの眼が、ソファーに寝転がる銀時を冷たく見下ろす。
    「パチンコで負けて競馬で負けて、家賃は払わず仕事もしねぇで毎日毎日ゴロゴロと」
    小言を言いながら、黒髪の子どもは銀時のつむじをつつく。
    「うるせぇなぁ、小姑かテメェは」
    その手を軽く払いながら、銀時は鼻を鳴らす。
    子どもは払われた手を白いうなじに這わせ、冷たいオメガ用のチョーカーをカリカリと爪でかく。
    「だーめ」
    「…………」
    「俺の項は先約済だからさ」
    「いつまで死んだ男に操立ててやがるんだ」
    「え、お前がそれ言うの?」
    ケタケタと銀時が笑う。
    「未亡人のつもりかよ」
    「ガキのくせにマセたこと知ってんじゃん」
    「ガキ扱いしてんじゃねぇよ」
    「ガキだよ。マセガキ」
    言いながら、銀時はあっけらかんと笑う。子どもは呆れたように、眉間にシワを寄せる。
    「なんで俺はお前を番に選んだんだ?」
    「さあね。俺のことが好きだったんじゃねぇの?」
    「お前は、俺のこと好きだったのか?」
    「好きだったのかもしれねぇなぁ」
    「なんで、そんな曖昧なんだ」
    「絆されちまったのは、たしかだよ」
    「……俺にはいつ絆されてくれんだよ」
    「甘えんな、クソガキ」
    銀時は、その小さな額を指先でピンと弾いた。


    その日は、朝からむせ返るような匂いがしていた。
    体の奥をざわめかせるような、疼かせるような、たまらなく奪いたくなるような、そしてどうしようもなく泣きたくなるような、そんな匂いだ。
    子どもは銀時の姿を探して、決して広くはない部屋中を駆け回る。
    匂いが重い質感を持って体にまとわりつき、呼吸すらままならない。
    「なにやってんだよ」
    思わず床に膝をついた子どもの頭上から、かすれた声がした。
    顔をあげれば、赤い顔で額に汗を滲ませた銀時がいた。
    ひどく息苦しそうで、強い香りを全身から放っている。
    その手にあるのは、ある男が生前使っていた羽織だった。
    そのことに、子どもはなぜかひどいショックを受け、思わず泣きそうに顔を歪める。
    「ここから先は、R指定だよクソガキ」
    そう言って、銀時は子どもを一瞥すると、寝室に一人で入り、襖を閉める。
    それでもなお、匂いは漏れ出て、子どもは思わず襖に手をかける。
    「開けるなよ」
    凪のような声だった。
    「ここは、開けるなよ」
    ひどく穏やかで、それでいて絶対的な命令だった。
    何の変哲もない、ただの襖だ。
    鍵がかかっているわけではない。
    横に引けば、簡単に開くことができる。
    それなのに、襖を開けることはできなかった。
    ただ、無様に膝を折り、耳をそば立てることしかできなかった。
    「たかすぎ」
    と、襖の向こうで男の名前を呼ぶ声がした。
    匂いが強くなる。
    銀時の匂い。愛しい匂い。悲しい匂い。
    頭の中がぐるぐると回り出す。
    衣擦れの男、荒い息遣い。
    子どもの脳裏に、銀時があの男の羽織を裸身に身につけながら、孤独に自分を慰めている姿が浮んだ。
    匂いなどすっかり落ちてしまった、あのたった一枚て、薄い巣を作って、そこに篭っている。
    そう思うと、たまらなく切なくなって、叫びたくなった。
    「お前を奪い取ってやりたい」
    気が付けば、涙が溢れ出ていた。
    「別にガキをこさえたい訳じゃねぇ」
    ぼろり、ぼろりと大粒の涙が小さくて白い頬を伝っていく。
    「ただ、ただ……お前を……、お前が……」
    喉を震わせて、しゃくりあげながら、子どもは薄く平たい襖に縋る。
    「項は噛まない。番にもならない。だから、お前のそばにいてもいいか?」
    銀時からの答えはなかった。
    ただ、酷く優しい声色で、
    「開けるなよ、“春風“」
    と言っただけだった。
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