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    nicola731

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    nicola731

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    顕道(顕蘆)現パロ
    顕光殿がヤーさんで道満が腹心兼愛人みたいなポジの話。らくがき。https://twitter.com/nicola731/status/1367080549974609922?s=21 設定は上記の通り。参考文献は「デストロ246」と「来世は他人が良い」です。

    #顕道
    keyence

    そろそろ鰆の旨い季節だと思いながら、顕光は夜の執務室で決算書類を処理していた。表稼業の不動産と輸入会社の書類だけで机は一杯になる。なのに裏稼業のほうまで膨大な書類になるのだからうんざりしてしまう。ただサインをするだけなのに朝からやってまだ終わらない。
     万年筆を広い机に放り、顕光は立ち上がった。卓上の電話で隣室にいる秘書に内線を掛ける。
    『はい、橘で御座います。お茶ですか? 旦那様』
    「まだ何も言ってないだろ。今日はもう仕事しないぞ俺は。疲れた、飯食ってくる」
    『お供しましょうか?』
    「いや、お前はもう帰りなさい。道満と寿司食ってくる。あれは今どこにいるんだ?」
     顕光が一番の腹心の居所を聞くと秘書は『地下で作業中です』と答えた。顕光は秘書に礼と労いを言い、電話を切った。上着を羽織って彼は執務室を出る。顕光が所有するこのビルには地下がある。執務室は最上階、道満がいる作業場は地下の一番下にある階だ。エレベーターに乗り、一番下へと下りていく。
     スマートフォンで最寄りの寿司屋を探している内に、エレベーターの箱は地底へと辿り着いた。
    「寿司、寿司屋……舟盛り出してもらえるところが良いな……道満が腹一杯になるところ……」
     うんうん悩みながら顕光はエレベーターを出た。暗い地下のその階は最低限の明かりしか付いていない。この作業場があるこの階の、あの分厚い防音扉までのこの廊下は、連れて来られた人間の心をへし折るために作られている。その廊下を顕光は歩いて行く。防音扉の前に立ち、脇の壁に埋め込まれた電話機の受話器を持ち上げて耳に当てる。繋がったので「俺だ」とだけ告げる。それだけで防音扉のハンドルは回り、内側へと開かれる。その瞬間に濃い血と糞尿の臭いが広がった。それと男の苦悶の叫び。
    「おーい道満、寿司行こう」
     顕光は朗らかな声でそう言いながら部屋の中へと入った。床と壁は清掃し易いようにとタイル張りになっている。天井からはペンダントランプが下げられている。その明かりに加えて、工事現場で使用される大型のスタンドライトが部屋の中央を照らしていた。強烈な光に二人の男が照らされている。二人とも全裸で血塗れで、一人は粗末な木の椅子に縛り付けられて虫の息だった。もう一人は椅子の上に立たされて、天井の梁から垂れ下がるワイヤーロープの輪に頭を潜らせている。絞首刑スタイルの男が立つ椅子は足が一本だけ長く、バランスを取らないとすぐに倒れてしまうようになっている。男は爪先立ちになって「ひぃーっ、ひぃーっ」と詰まりそうな呼吸を繰り返している。
     防音扉を開けた部下が頭を下げて顕光を迎える。顕光はそれに片手を挙げて応える。巨躯の道満は明暗の激しい部屋の中でも目立つのですぐに見付かった。顕光の可愛い養い子はニコニコしながら進行中の絞首刑を眺めていた。脇にあるスチールワゴンの上は血で汚れた工具が大量に乗っていた。道満が仕事半分娯楽半分で遊んでいたことを理解する。
     顕光の声を聞いて道満はすぐに彼に気付いて近付いてくる。道満は背が酷く高いので顕光は見上げると首が痛くなる。だから道満は養い親の前に跪く。道満が小さな子供の時は顕光に抱き上げてもらうこともあったのに、今では膝枕が精々だった。
    「顕光殿! こんなところまでどうなされたのです?」
    「寿司食べたくなったから、お前もどうかなって。なあ、彼奴等なんだっけ」
    「ホラ、一昨日捕まえてきたチンピラですよぅ。川を越えてきたばかりのようで、此処が何方様の庭かも分からぬ無作法で無礼な連中で御座います」
    「あー思い出した思い出した、俺んトコでガンコロ転がしてた馬鹿二人だ。え、なんでまだ生かしてんの?」
     顕光の問いに道満は「久し振りに遊びたくて♡」などと宣う。顕光は呆れた顔で溜息を吐いた。
    「しょうがないな全く……で、寿司は? 行くのか?」
    「ンンンンンン、今すぐ行きたいところで御座いますが、儂はまだ遊びとう御座います……」
     道満は困った顔をする。その美しい顔は確かに困った表情を浮かべているが、同時に仄暗い欲情と色欲を孕んでいる。興奮を隠すことも無い道満の答えに、顕光は眉間に皺を寄せる。相変わらず男の苦悶する声が部屋の中に響いている。
     徐に顕光は椅子の上に立っている男のほうへと近付き、不安定に揺れる椅子を蹴飛ばした。ガタンッ、という激しい音がして椅子が床の上を滑っていった。ワイヤーの撓る音がして、続いて限界まで張る音がする。男がばたばたと宙で暴れている。
    「ーッ! ーッ!」
     喉が締まって声が出せない男は暫くそうして手足を振り回していたが、最後にはびくりと跳ねて死んだ。道満はがっかりしたような声を上げる。
    「顕光殿、あんまりではありませぬか」
    「煩い。俺は腹減ったんだよ」
     顕光はそう言いながら控えていた部下からファブリーズを受け取って自分や道満に掛ける。部屋を出る前に片付けを命じて、道満を連れてまたエレベーターへと向かった。広いエレベーターだが、道満と乗ると圧迫感を感じる。加えてベタベタと道満は彼に長い手を巻き付けてくる。顕光は子供の空きにさせる。
    「ねえ顕光殿。御食事は後にして、家へ戻りませぬか?」
    「んー? なんで?」
    「あは、お分かりのくせに……酷い御方ですねェ」
     熱い息を耳介に吹き掛けて道満は養父を誘う。顕光は締め落とされる前に道満の鼻をまあまあ強めに摘まんだ。
    「ギュェッ!」
    「俺は腹が減った。飯喰ってからにしてくれ」
    「ンンン、儂の鼻が……」
     「焦らしプレイですな!」と変な方向に道満が興奮し出したところでエレベーターは地上に辿り着いた。受付が頭を下げて二人を見送る。自動ドアの向こうには夜が広がっている。正面玄関のポーチにはベンツが停まっていた。秘書が言い付けてくれたのだろう。運転手が開けた後部座席に、顕光と道満は乗り込む。
     ベンツは滑らかに発進する。顕光が懐から煙草を取り出して銜えれば、道満は慣れた手つきでジッポーの火を差し出す。顕光の吐き出した紫煙が車内に広がる。道満を褒めるように彼はその美しい目元を撫でてやる。道満は猫のように彼の手に甘える。大きいのは図体ばかりで、顕光にとって道満はいつまでも我が儘で悪知恵の働く可愛い子供だった。
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    nicola731

    DOODLE顕道(顕蘆)まで行かない現パロ
    元ネタ
    https://twitter.com/nicola731/status/1382088577497001984?s=21
    「現パロ晴明さんの職業を映画監督にするともれなく主演俳優の道満がずっと「何言ってんだコイツ」って顔してるメイキング映像が浮かぶ(テネットのあれ)」
    今後道満は同級生の納言ちゃんに「それは推しだよ」とか教えてもらう。
    夏休みの間に行われる夏期講習は半日で終わってしまった。高校一年生だから今から必死に受験勉強をするのも、と教師はやんわりと生徒達を宥めた。道満もその一人で、真夏の昼過ぎに学校の外へと放り出された。図書室や自習室を使えれば良かったのだが三年生達で一杯だった。仕方なく道満は日陰を渡り歩いて駅まで向かう。
     まだ高校で友人はできていないし、そもそも道満はあまり人付き合いをしなくても平気だったから遡って友人らしい友人がいたことはない。だから一人で図書館にでも行こうと思った。駅まで真っ直ぐ大通りを進んでいく。道の日当たりは良くて、歳の割りにかなり身長の高い道満の頭はじりじりと灼かれた。酷く熱くて参ってしまう。
     涼しいところに行きたいと思った。それでふと駅の近くにある劇場の掲示が目に入った。平時であれば何とも思わないが、暑さのせいで変な気紛れを起こした。財布にはチケット代分の金額が入っている。高校生になったのだから「観劇」を経験してみるのも良いだろうと思った。子供らしい背伸びだった。
     チケット売り場で当日券を買い求めて、フライヤーと共に受け取って席へと向かうと最前列だった。道満は「マズい」と思っ 2331

    nicola731

    DOODLE生前の顕光殿と道満の顕道。捏造。息抜き。
    おれのかんがえたさいきょうの顕光殿。
    内裏から帰る道中、顕光はうとうとしながら牛車の揺れに身を任せていた。もう日が暮れ始めていた。牛が一声吼えた。早く帰らなければ、夜はすぐに迫って来る。牛にさえ、夜の都は恐ろしいのだ。外の従者達も不安であろうと主人は案じる。
     顕光は微睡みを振り払おうと頭を振った。その時、揺れる牛車の音に混じって女の啜り泣きが聞こえた。空耳かと思って耳を澄ます。やはり、若い女が啜り泣いている。
    「おい、止めてくれないか」
     顕光が声を掛ければ車は止まる。家令が外から主人を呼んだ。
    「顕光様、何かありましたか?」
    「何処かで娘が泣いておらんか? 声が聞こえる」
    「見当たりませんが。もう黄昏ですよ。この辺りに住まう者であれば疾く帰る時分です」
    「お前、少しその辺を探してみなさい。いなければいないで構わんから」
     家令は主人の言葉に溜息を吐く。それから従者達の中から一人呼んで、二つ先の通りまで見に向かった。
     鬼の出る都で女の啜り泣きが聞こえる。娘を持つ顕光にとっては他人事ではないのだ。心配にもなる。
    「本当に心配だ。聞き間違いであればそれが一番良いのだが」
     誰に聞かすわけでもなくそう呟けば、若い女の声が物見 2814

    nicola731

    DOODLE顕道(顕蘆)現パロ
    顕光殿がヤーさんで道満が腹心兼愛人みたいなポジの話。前回の話
    https://poipiku.com/IllustViewPcV.jsp?ID=1112421&TD=4197
    https://twitter.com/nicola731/status/1367080549974609922?s=21 設定は上記の通り。参考文献は「デストロ246」と「来世は他人が良い」です。
    顕光は表向き、ビル屋の社長で中古車販売も手掛けていて飲食店を小規模ながらチェーン展開している、つまり実業家だった。だからその付き合いでパーティーに呼ばれることもする。人付き合いは疲れるが華やかな場は好きだ。可愛がっている自分の腹心を飾り立て、隣に侍らして来場客全員に自慢できる折角の機会が与えられる。可愛い養い子を自慢できるとなれば顕光も俄然行く気になる。秘書の呆れた視線を気にすること無く仕立屋を呼んであれこれと生地を体に当てさせて、それこそ道満が飽きてふて寝するまで注文を付ける。月一でパーティーにお呼ばれしたいくらいだった。
     反面、裏稼業の会合やら商談やらは嫌になる。駆け引きも面倒だし金勘定で一々ケチを付けてくる奴もいるので苛立つ。顕光は自分が賢い人間だとは思わないが馬鹿馬鹿しい話し合いはうんざりする。それに護衛の数は限定されるのでいつも道満を連れて行くのだが、相手方が道満を見て怯えるのもムカつく。


     今夜は嫌いな裏稼業の会合がある。顕光は行く前から嫌だったし、会場に到着してからも気分は底に落ちていた。壁の花を決め込んで、供に連れてきた道満の顔を眺めていないとやっていられない。道 1746

    nicola731

    DOODLE顕道(顕蘆)現パロ
    顕光殿がヤーさんで道満が腹心兼愛人みたいなポジの話。らくがき。https://twitter.com/nicola731/status/1367080549974609922?s=21 設定は上記の通り。参考文献は「デストロ246」と「来世は他人が良い」です。
    そろそろ鰆の旨い季節だと思いながら、顕光は夜の執務室で決算書類を処理していた。表稼業の不動産と輸入会社の書類だけで机は一杯になる。なのに裏稼業のほうまで膨大な書類になるのだからうんざりしてしまう。ただサインをするだけなのに朝からやってまだ終わらない。
     万年筆を広い机に放り、顕光は立ち上がった。卓上の電話で隣室にいる秘書に内線を掛ける。
    『はい、橘で御座います。お茶ですか? 旦那様』
    「まだ何も言ってないだろ。今日はもう仕事しないぞ俺は。疲れた、飯食ってくる」
    『お供しましょうか?』
    「いや、お前はもう帰りなさい。道満と寿司食ってくる。あれは今どこにいるんだ?」
     顕光が一番の腹心の居所を聞くと秘書は『地下で作業中です』と答えた。顕光は秘書に礼と労いを言い、電話を切った。上着を羽織って彼は執務室を出る。顕光が所有するこのビルには地下がある。執務室は最上階、道満がいる作業場は地下の一番下にある階だ。エレベーターに乗り、一番下へと下りていく。
     スマートフォンで最寄りの寿司屋を探している内に、エレベーターの箱は地底へと辿り着いた。
    「寿司、寿司屋……舟盛り出してもらえるところが良いな……道 2576

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