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    門梶 たかおみに赤リップを塗るゆ〜だいの話💄
    おねショタ風味になっちゃった

     何気ない会話の途中の、ふと笑った瞬間。突然、僕の下唇に鋭い痛みが走った。
    「痛……ッ」
     反射的に指先で痛みの元に触れると、そこにはうっすらと赤い血が付いていた。
    「どうした?」
    「唇切れちゃったみたいです」
     最近乾燥してたからかな。口を動かす度にピリピリと傷口が痛む。我慢出来ない痛みではないにせよ、口を開くと思い出したように痛むのが煩わしい。一緒に話していた門倉さんの心配そうな問いに、僕は余り口を開けないように口ごもりながら答えた。
    「ほーん。見せてみ」
    「や、大丈夫ですよ。舐めときゃ治りますこんなの」
     この程度、よくある事なんだし何でもない。必要以上に心配されるのも良くないと思った僕は、門倉さんの誘いを断り、まだ滲んでいるだろう血を手の甲で拭ってから、唇をペロリと舐める。まだちょっとだけ痛みは残るけど、とりあえずこれで水分は補給されたと思う。うん、口もさっきよりは動くようになっている。
    「アホか、そんな事したら余計酷なるわ。いいからこっち向きんさい」
     でも門倉さんはそれじゃ納得出来なかったようで、僕の顎に手をかけて上を向かせる。
     大丈夫だって言ったのに、とか僕に拒否権は無いのか、とか考えて、そういえば僕等の関係を知っている人たちは、門倉さんの事を過保護だと言っていたなと思い出した。
    「嫌やったら自分の面倒ぐらいちゃんと見てやれ」
     僕が何を考えているのかを察した門倉さんが、それでも何の躊躇も無く、僕の唇にリップクリームを塗り込んだ。多分、薬用成分とかが良い感じに配合されたやつ。お陰で僕の唇は、もう痛みを感じなくなっている。
    「ありがとうございます」
     やっぱり唾液なんて原始的なものよりも、文明の利器の効力は凄い。門倉さんの言う通りリップクリームくらい持ち歩こうかな、なんて手のひらを百八十度返したことを思いながらお礼を言ったけれど、門倉さんはまだ難しい顔をして僕を見つめていた。
    「……傷口が目立つな……。もうちょい待っとけ」
     少し考えた後、門倉さんは何やら鋭角的な、黒に金と銀の豪華な蓋が付いた、手のひらサイズのボトルのようなものを取り出した。
     そのボトルっぽい何かの蓋が開けられ、中身が露わになる。僕はそれを口紅だ、と思う前に門倉さんの色だ、と思っていた。門倉さんの唇をいつも鮮やかに彩っている、血のように赤くて、でもとても綺麗な色。
     その綺麗な色の塊が、僕の唇をくるりと一週し、離れていく。
    「見事なまでに似合わんのォ」
     僕の顔をまじまじと見てから門倉さんはそう言って笑い、口紅だと判明したボトルの蓋を閉めた。
     貴方に似合う色が、僕に似合うわけ無いでしょう。
     そう言ってやりたかったけれど、今の僕と同じ色をした唇が嬉しさを形作っているような気がした。だから僕は何も言わず、唇を手で拭ったり舐めたりもしないでおいた。
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    hiz_tb

    DOODLE門梶 たかおみに赤リップを塗るゆ〜だいの話💄
    おねショタ風味になっちゃった
     何気ない会話の途中の、ふと笑った瞬間。突然、僕の下唇に鋭い痛みが走った。
    「痛……ッ」
     反射的に指先で痛みの元に触れると、そこにはうっすらと赤い血が付いていた。
    「どうした?」
    「唇切れちゃったみたいです」
     最近乾燥してたからかな。口を動かす度にピリピリと傷口が痛む。我慢出来ない痛みではないにせよ、口を開くと思い出したように痛むのが煩わしい。一緒に話していた門倉さんの心配そうな問いに、僕は余り口を開けないように口ごもりながら答えた。
    「ほーん。見せてみ」
    「や、大丈夫ですよ。舐めときゃ治りますこんなの」
     この程度、よくある事なんだし何でもない。必要以上に心配されるのも良くないと思った僕は、門倉さんの誘いを断り、まだ滲んでいるだろう血を手の甲で拭ってから、唇をペロリと舐める。まだちょっとだけ痛みは残るけど、とりあえずこれで水分は補給されたと思う。うん、口もさっきよりは動くようになっている。
    「アホか、そんな事したら余計酷なるわ。いいからこっち向きんさい」
     でも門倉さんはそれじゃ納得出来なかったようで、僕の顎に手をかけて上を向かせる。
     大丈夫だって言ったのに、とか僕に拒否権は無 1185

    hiz_tb

    MOURNING #無言で途中放棄した作品をあげる見た人もやる

    出来立て門梶のゆ~だいがばくさんとお喋りする話 突然始まって突然終わる
    酔った勢いで……という訳ではない。
     当然である。
     何故なら、酒など一切飲んでいないのだから。


     なのでこれまた当然の事ながら、昨晩自分が何をしたかも全てしっかり覚えている。
     今現在横で寝息を立てている己の専属会員を散々喘がせ、泣かせ、弄くり倒した挙げ句に半ば意識を失うような形で眠りに就かせたという事を。
     目線だけで横を見やると、シーツから覗く梶の首筋に幾つもの鬱血の跡が残っている。

    (……幾ら何でもこれはやりすぎと違うかワシ……)

     賭郎会員とその専属立会人というお互いの立場を考えると誘いに乗るべきでは無かったと思う。
     そもそも門倉自体、本来ならば梶のような子供に誘われた所でそれに乗るような男ではない。
     ならば何故こんな事になったのか。
     子供の懇願を無碍にするのが忍びなかった、或いは性欲が溜まっていてその捌け口が欲しかった……それらしい理由は幾つか思い浮かぶ。
     だが、そんなものは言い訳にしかならない事を門倉は分かっていた。
     何故かなどと簡単な事だ。
     ただ単純に、梶に求められて嬉しかっただけ。
     惚れた相手に求められて断る術を持たなかっただけなのだ。
     しかし 2689

    hiz_tb

    DOODLE2021年かどかじ書き初め!
    丑年といえば、なお話し。些か不穏
    「今年って丑年なんですね」

     年が明けた日の昼間、何をするでもなくテレビを観ていた梶がポツリと呟いた。
     その声に反応して、門倉もテレビの方へ顔を向ける。

    「あぁ……そうみたいやねぇ」

     梶が観ているのはバラエティ番組の正月特番なのだろう。テレビ画面には、最近売れ出したばかりの芸人が今年の干支である牛の着ぐるみを着ておどけている姿が映っていた。
     干支などさして気にした事も無い門倉は適当に返事をしたが、梶はとてもバラエティ番組を観ているとは思えない神妙な表情でテレビ画面を見つめている。
     しかしその目に芸人の姿は写っておらず、門倉の声も届いてはいない。
     今の梶が見ているのは、彼の脳裏に焼き付いて離れない……青銅製の雄牛の姿だった。
     どれだけ経とうが忘れられない、忘れてはいけない記憶。自らが焼かれた熱、自らで火を着けた熱。
     鳴けなくなった雄牛の中から引きずり出された、もう動かない筈の巨体が恨めしそうに此方を見る。
     梶を見据えた巨体はゆっくりと口を開き、そしてーー

    「梶?」
    「……ッ!」

     そこから発せられるであろう呪詛を聞く前に、梶の意識は門倉の声によって現実へ引き戻さ 1290

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