絡まったその糸もきっと願った赤になる「サニー」
「………………」
窓から柔らかい月の光が差し込む夜半前。
そっと呼び掛ければ、コアラのようにひっついていたその人に頭をぐりぐりと擦り付けられた。
ついでにお腹の少し上に回された腕の圧も強くなる。
「僕、明日早いんだ。だからもうそろそろ寝なくちゃいけないんだけど……」
何とか穏便にこの腕を解いてもらおうともう三度目になる呼び掛けをするも、一向にその願いは叶わないばかりか、また抱き締められる力だけが強くなっていく。
本来なら願ってもない状況の筈なのだが、アルバーンはそんな今に密かなため息をついた。
今日は平日のとある日。
かけがえのない愛しい恋人はここ暫く連勤で、なんでもすばしっこい犯人を捕まえるのに相当苦労していたみたいだ。
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