于禁李典「暑すぎるので休憩しませんか」
「……」
気温は35度を超え、雲一つない快晴だった
いくら日傘や建物の影を選んで歩いても風も吹かないために涼しくはならなかった
「あ、スタバあるのであそこにー」
「レジに人が並んでいる、混雑具合から席も空いていないだろう」
「……」
李典は確かに店内をみるとレジには列ができており、満席のように見えた
生活用品を買い込んだため二人の手には大きめのエコバッグがある
できれば室内で涼しくてちゃんと荷物も置けて椅子に座りたい
「他探しましょう…」
「あそこなら座れるかもしれん」
于禁が指す方向には別の大手チェーンのカフェがあった
あそこなら座席も広くゆったりと過ごすこともできるだろうと李典はうなづいて二人は少し足を早めた
店内に入ると席が空いており無事に一息つくことができた
出てきた水を飲み、李典がメニューを開く
「于禁殿何飲みます?」
「ブレンド」
「はいはい、俺はどうするかなー」
ページを何度か行き来し李典がテーブル上のボタンを押すと店員がやってくる
「ブレンド1つと、デザートセットでアイスコーヒーとシ◯ノワールください」
店員が注文を繰り返し、その場から離れる
メニューを片付ける李典が水に手を伸ばすと于禁が少し笑っていることに気がつく
「なんです?」
「冷たいもの2つで腹を壊すぞ」
「大丈夫ですよ、外歩けばまた暑いんですし」
「室内はこんなに冷えているぞ」
「半分は于禁殿が食べてくれれば問題ないですよ」
「甘いものの気分ではない」
「はちみつかけなきゃ甘くないですよ」
注文の品が届きテーブルに置かれる
于禁は届いた豆を皿に移していると李典はデニッシュの上に置かれたソフトクリームを口に運んでいた
「たまーにソフトクリームって食べたくなりません?」
「ない」
「そーですか」
フォークでデニッシュを小皿に移し、ソフトクリームも少し添えて于禁の前に置かれる
「はい、デニッシュもあったかくて美味しいですよ」
にっと笑う李典を見て、デニッシュを口に運ぶ
ソフトクリームは冷たく、デニッシュは温かかったので不思議な感覚だと思いながら飲み込む
思ったよりも甘くないと、皿を見つめていると于禁の方に皿が寄せられる
「気に入ったのならもっと食べて下さいよ」
李典は二人で分けるために通常サイズを頼んだとは口に出さなかった
于禁は一切れデニッシュとソフトクリームすくいとり小皿に移していた