張角と張宝「兄上、また太平の要と会っていたのですか」
「……ああ、みたのか」
「ええ、麓の村で二人並んでいたでしょう。太平の 要と黄巾党の長が一緒にいる所なんて見られでもしたらー」
「見られたら、どうなんだ」
「……長が鸞を手に入れたと喜ばれるか、長が裏切ろうとしているのどちらかの声が上がります」
張角は目線をようやく張宝に向ける
視線があったので張宝は大袈裟に肩を落として話を続けた
「黄巾党は今二つに分かれているのはお分かりでしょう、あまり刺激するようなことはされないほうが良いかと」
「そうだな、すまなかった」
「ところで二人で何を?」
「何も」
「何も?」
「ああ、ただいつの間にか隣にいた」
「何も話さずにただ座っていただけだと…、そんなことは信じられません」
「今度聞いてみるといい」
「兄上!」
「太平の要を知っているのはごく僅かだ、会って話すだけであれば誰も何も気にしまい」
「そう、かもしれませんが…」
張角は本から目を離さなかったので会話はそこで終わった
後日、太平の要と遭遇したので渋々ながら張角といた際に何を話したかを尋ねた
「……なにも?」