秋デート朱色や黄金色で彩り始めた木々を逆さまに映す水面。水面には紅葉の波紋と大倶利伽羅とへし切長谷部。
半歩近づけばお互いの手が触れる距離。
秋色の遊歩道をただ並んで歩くというだけなのに“デート”と名前を付けただけで心が沸き立つ。
大倶利伽羅は湖に沿って置かれたベンチに座った。長谷部ひとり分のスペースを空けて。
長谷部も大倶利伽羅に倣ってベンチに座った。
隣のベンチに。
「っいい天気だな」
「…ああ」
「か、風が気持ちいいな」
「そうだな」
そらされたままの視線、途切れがちな会話。
それから、紅葉色の耳朶。
「…悪くない」
「っそうだな」
秋色に染まる長谷部と静かに微笑む大倶利伽羅なのでした。