先輩の苦悩「リケーレ先輩!書類のチェックお願いします」
「ん、どれどれ……うん、何も問題はなさそうだな。OKだぜ」
「ありがとうございます!」
「ちょうどお昼時だし、一緒に飯でも行くか」
「いいんですか?是非!」
◯◯商事に勤めるこの二人、先輩後輩という仲ではあるが社内では付き合っているのでは?と噂されることもありその度に名前は否定するが、何故かリケーレのほうは毎度満更でもなさそうにそう見えるか?と嬉しそうに聞き返す。つまり先輩である彼のただの一方通行である。
今日もこうして彼女にとっていい先輩であり続けるリケーレはご飯を奢り名前の信頼度を上げようと健気に頑張ってはいるが、中々それ以上の関係に持ち込めないのがむず痒くなってきていた。
そんな時、昼食の帰りで偶然にも雨に降られた二人。
「嘘!?雨降ってる…」
「マジかよ…傘なんて持ってねえし…名前、走るぞ!」
「はっ、はい!」
土砂降りの中を走って会社に戻った二人は勿論びしょ濡れになってしまい、一旦業務に戻る前にタオルを借りて休憩室で濡れた服をなんとかしようとしていた。
「結構濡れたな…名前は大丈夫か?」
「はい、私も濡れちゃったけどこれぐらい平気です」
「そりゃ何よりだが風邪引かないように───」
大事な後輩の心配をしていた彼の目が、彼女の胸元に移ってしまう。名前の下着が見事にスケスケになっていたのだ。
「先輩?」
「…いや、なんでもない。それより名前、濡れて寒くなってきただろ?これ貸すから今日一日着てろよ」
「えっ?悪いですよ、全然寒くないし大丈夫…」
「いや~大丈夫じゃないって。大事な後輩に風邪でも引かせたら悪いしさ」
「じゃあ…お言葉に甘えて…ありがとうございます。」
「気にすんな、服が乾いたら業務に戻ろう」
「はい!」
きっと名前は先輩って気が利いて優しくていい人だな~ぐらいにしか思ってないんだろうな。
お前の下着見ただけで今夜のオカズにしようだなんて考えてる最低な先輩なのに…と乾燥機の前で風にあたりながらそんなことを考えるリケーレであった。